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2009/02/21

ワンダービット

Img216 島本和彦 著。ログインにて1991年~94年にかけて連載、単行本全4巻完結。現在は写真の文庫版全3巻発売中。

 好き嫌いが多い人や、食べ物を残す人をこらしめるため、科学者、首藤レイは食べ物が人を選ぶようになる機械を開発し、作動させる。機械は正常に作動し、食べ物を残すような人の前からは食べ物が消えたが、同時に首藤レイの前からは、彼が唯一嫌いなナス以外の食べ物が消えてしまった……。魔法のランプから出てきた魔神に、3つの願いを10000個にしろと男が言うと、なんとその願いは叶えられてしまう。喜び勇んで様々な願いを言う男だったが、すぐに願いたい事は尽きてしまい、男は願いを言うことすら苦痛になってしまった……。平行世界の自分に出会った男は、お互い示し合わせてわざと違う選択肢を選び、未来にどう影響が出るかを確かめようとした。結果は少しずつ、だが確実に出始め、やがて楽な選択肢を選び続けてしまった側の男は、自分がもう一人の自分に比べて、明らかに劣ってきたことを知ってしまった……。くだらないアイデアをSFっぽく味付けし作品にまで昇華させた、島本風無駄に熱血短編集。

 3つの願いを100個にしてもらう、とか誰でも考えると思うんですよね。で、そこからさらに発展させて、オチのある作品に仕立て上げてしまう。それを月2回ずつ連載していく(当時のログインは月2回発行でした)。そこがこの当時の作者のすごかったところでしょう。短編集だけあって、面白い話もあればそうでもない話もあるわけですが、総じて作品のレベルは高いです。私が一番好きだったのは、「怪奇カメムシ男」ですね。ヒーローにあこがれていた男がいたが、いつまでたっても悪の組織は現れない。それならばと自分で悪の組織を旗揚げし、息子をヒーローに育てあげ、息子に倒されようとするが、まだ息子が小さい時に、組織を乗っ取られてしまう……。この後の展開が最高です。あとは上でも描いた、平行世界を描いた「敵に勝つより己に勝て!!」とかですね。これもラストが最高。

 島本和彦と言えば代表作は山ほどあるわけですが、私としては「逆境ナイン」「燃えよペン」そしてこの「ワンダービット」がトップ3ですね。そういえばワンダービットには、確か本連載前のプレ連載の時に、この世にはマンガの釜があって、そこに手を入れてマンガを取り出す、というのがあって、そこに一度取ったマンガを落としてしまった島本和彦が、釜の女神から「あなたが落としたのはこの金の作品ですか? それとも銀の作品ですか?」と聞かれ、正直に答えて金と銀の作品をもらう、というネタがあったんですよね。で、片方がこのワンダービットだったと思うのですが、もう片方はどうなったんだろう。そしてその話は、文庫版のワンダービットには収録されてないんですよね。確か初期単行本の方には収録されていたと思うのですが、手元にないので確認もできません。残念。

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