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2009/04/27

この世界の片隅に

Img299 こうの史代 著。漫画アクションにて2006年~09年にかけて連載、単行本全3巻完結。

 昭和18年末、広島市江波に住む絵を描くことが好きな少女、浦野すずは、幼少時に一度出会ったことがある北條周作の求婚を受け、呉市上長ノ木町へと嫁ぐことになる。時は大東亜戦争(いわゆる太平洋戦争)まっただ中、東洋一と名高い軍港のある呉は、すずが生まれ育った江波と比べると、当然の如く戦争が身近な町であった。呉鎮守府に勤める夫とその両親との、すずの新しい生活が始まる。

 太平洋戦争中期~末期の呉を舞台とした、すずと戦争の物語。主婦としての視点からの戦争なので、空襲を除いた直接的な戦闘の様子が描かれることはなく、配給品を買いに行ったり、闇市に行ったり、防空壕を掘ったり、空襲にあったり、等々、戦時下でも当然のように営まれる日々の生活を描いた作品です。テーマは暗いですが、すずのうっかり屋で天然で物事を良い方に考える性格のおかげで、ほのぼのとした作品に仕上がっています。敗色濃厚となり本土空襲が始まる終盤はさすがに重苦しい話が続きますが、最終回の終わり方も、ホロリ涙がこぼれる非常に良い、未来を感じさせるものでした。このあたり、同じ戦時中で原爆の投下される広島を舞台とした「夕凪の街 桜の国」とはちょっと趣が違いますね。夕凪~は映画化もされた名作ですが、この作品も派手さはないものの間違いなく名作と言えるでしょう。

 こうの史代と言えば、スクリーントーンとベタをほとんど使わずに手書きで処理する漫画家として、私の中では有名です。そのせいで絵柄はやややぼったいものとなりますが、それがまたいいと思える様になれば、立派なこうの史代ファン……なんじゃないかと思います。いやいやホント、一目でこうの史代とわかる、味のある絵柄ですよ。

 この作品が完結し、現在は次回作へ向けて準備中というところでしょうか。もちろん、次も期待しています。

 さんさん録(サイト内レビュー)

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