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2009/05/12

キャプテン

Img315 ちばあきお 著。月刊少年ジャンプにて1972年~79年にかけて連載、単行本全26巻完結。

 墨谷二中に転校してきた二年生、谷口タカオは、そこでも野球部へと入部するが、野球の名門青葉学園から転校してきたというだけで、プレーも見ないうちからとんでもなく野球がうまいのだと思われてしまう。だが実際には、確かに青葉学園の野球部に在籍してはいたものの谷口は二軍の補欠であり、守備も打撃も人並み以下なのであった。谷口は何度もそのことを皆に言おうとしたのだが、誤解は一向に解けることはなく、逆に期待は高まるばかり。困り切った谷口だったが、父親のアドバイスをきっかけに、それならば青葉のレギュラーとして通用するくらい腕を磨こうと決意、特訓を開始する。だがそんな急にうまくなるはずもなく、ノックも満足に取れないまま迎えた三年生の引退日、なんと谷口は新キャプテンに任命されてしまう。自分は青葉の二軍の補欠だった、キャプテンにふさわしくないと元キャプテンに伝える谷口。だが元キャプテンは、そんなことは当然のように見抜いており、その上で影の努力によって実力を身につけた谷口を、新キャプテンに任命したのだった。

 まさに王道直球の野球マンガ。ジャンプのキャッチフレーズ、「友情・努力・勝利」を地でいく作品ですね。30年以上前の作品であり、素質も才能も無い谷口が努力に努力を積み重ねてうまくなっていく、という、今時あまりないストレートなスポ根作品ではありますが、今読んでみても全然面白いです。たしかに絵柄やセンス、作品内の風景などが古くさいのは当たり前ですが、本質的な部分が面白いというのは、こういう作品のことを言うんでしょうね。ただ勝つだけじゃなく、チームワークがうまくいかなくて敗けることもあったりと、痛快なだけではない作品ですが、それでも一読の価値はあると思います。

 特筆すべきことの一つめとして、実はこの作品の主人公は谷口ではなく、谷口を筆頭とした「墨谷二中野球部歴代キャプテン」である、というのがあります。なので、谷口の出番は最初の5巻までしかなく、そのあとはほとんど顔を出しません。こういった、主人公が入れ替わっていくストーリーマンガって、今でもそう多くはありませんよね。新キャプテンは今まで部員だったサブキャラがなるわけで、作品内時間が経つにしたがって主人公が自動的に変更されていくシステムというのは、非常に面白いものなんじゃないかと思いました。

 もう一つは、この谷口はすぐにキャプテンの舞台からはいなくなってしまうのですが、今度は高校生になった谷口を主人公とした一種のスピンオフ作品「プレイボール」が週刊少年ジャンプで連載された、ということです。内容については近日中にレビュー予定なのでここでは省きますが、キャプテンの連載時期が1972年~79年、プレイボールが73年~78年ということで、スピンオフ作品としても同時連載とか正直ありえないですよね。まったくもってたいしたものです。それだけに、作者がその後自殺したという事実は、本当にショックでした……。

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