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2009/08/30

魔人探偵 脳噛ネウロ

Img426 松井優征 著。週刊少年ジャンプにて2005年~09年にかけて連載、単行本全23巻完結。

 ある日、ドアと窓が内側から施錠された密室内で、一人の男が全身を無数の刃物でめった刺しにされて死んでいるという、密室殺人事件が起こる。死亡した桂木誠一の娘であり、無尽蔵の胃袋を持つ女子高生、桂木弥子は、取り乱してこそいなかったが、これ以上ないというくらいの混乱状態に陥っていた。超好きな王美屋のフルーツケーキをもらったが、食欲も無く一口食べただけでふさぎ込んでいた弥子だったが、ふとその時、「貴様は泣くのではなく、笑うべきだ」という言葉が耳に届く。ついに幻聴まで聞こえ始めてしまったかと頭を振る弥子だったが、遺影と仏花を不気味に笑わせながら、突如弥子の前に出現した男は、「至近距離に美味しそうな謎があるのだぞ? 我が輩なら嬉しくて、笑いが止まらない」と、嬉しそうに言うのであった。謎を求めて魔界から人間界へやってきたと言う男の名は、脳噛ネウロ。謎を解くと放出されるエネルギーを糧として生きる、魔人であるという……。

 そんな出だしの、探偵マンガ。事件解決部分は読者が推理しようという気が起こらなくなるくらいの破天荒な展開やトリック等が仕込まれており、一切予測はつきません。これは意図的にやっているとのことで、単行本1巻に「推理物の皮をかぶった、単純娯楽漫画です」と書いてありますが、まったくもってその通りだと思います。ですが、常識はずれの事件が起こり、常識外れの人物が犯人で、それを脳噛ネウロが常識はずれの展開で解決する、という、実は筋の通った作品であるとも言えます。間違いなく作者の中では、これはやっていいネタ、これはやっちゃいけないネタ、とはっきりした線引きができていて、だからこそフツーじゃないけど筋が通っている、と読者に思わせることができるのでしょう。

 また、キャラがどれも魅力的だったのが、人気の一因であるとも思います。特に、中盤最大の敵だった「Ⅹ(サイ)」編が個人的に秀逸。正直このⅩ編で終わっていいとすら思っていたのですが、その後も連載は続き、迎えた「シックス」編ではなんとサイはシックスのクローンであると公表され、サイはシックスの部下となって再びネウロと対決することに。サイに比べればシックスは明らかに小物だったこともあり、非常にしょんぼりな展開だったわけですが、ところがラストはシックスの呪縛から逃れたサイが事件解決の鍵の一端を担うという、期待通りの展開。最初からその予定だったのか、それともキャラ人気を併せ観てこういう展開に変えたのか、内情はわかりませんが、私にとっては満足な終わり方でした。

 作者はこの作品が連載デビューであり、現在は次回作の構想を練っている最中、という感じだと思います。話作りは問題ないですが、次回作ではやはりネウロ同様の魅力あるキャラクターが生み出せるかどうかが勝負ではないでしょうか。期待していますので、がんばってください。

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