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2009/08/29

逆境ナイン

Img425 島本和彦 著。月刊少年キャプテンにて1989年~91年にかけて連載、単行本全6巻完結。

 逆境とは、思うようにならない境遇や、不運な境遇のことを言う! 夏の甲子園大会地区予選を間近に控えたある日、全力学園野球部主将を務める3年生、不屈闘志は、校長から「廃部だ!」の一言を突きつけられてしまう。弱いから廃部。あまりにも簡潔な校長の言葉に、不屈は逆に発憤。この校長室の隅に、甲子園優勝旗を飾りたくありませんか?! という言葉と共に、その証拠として10日以内に地区最強の甲子園常連校、日の出商業を叩き潰すという誓いを立てる。不屈を含めて9人しかいない野球部員たちは、当初はできるわけないと反発するものの、最終的には不屈に同調。だが、地獄のような特訓を経て迎えた決戦の3日前、野球部員9人のうち5人が怪我や補習でリタイア。さらに翌日1人が風邪、1人が逃亡してしまい、残ったのは投手の不屈と捕手の大石のみ。さらにあろうことか、試合前日夜に今度は不屈が、利き腕である左腕を脱臼してしまう……。

 そんな感じの、熱血系野球マンガ。逆境があって、それを乗り越える、というのを繰り返すわけですが、魔球は出てくるわ100点差を逆転するわと、設定や展開は明らかにトンデモ系。しかしそういった表面部分とは裏腹に、不屈を筆頭とする登場人物たちの言動、さらに言えば生き様が無駄に熱すぎるという、本質的には熱血系の作品です。変にひねってしまって、あれれ? これはどうなの? と思う部分もあるにはあるのですが、日の出商業との練習試合編、中間考査編、そして伝説の109点差をつけられた地区予選決勝、対日の出商業編あたりなんかはもうとにかく熱すぎます。全国大会決勝戦前日の桑原さんとの会話とかも最高。男とはこうであらねばならない、みたいな理想論を掲げ、そのまま最後まで突っ走ってしまったという、完結したのが奇跡のような類い希なる傑作でした。本当に面白かったです。

 この作品自体は全6巻で完結(最終回の終わり方もまた見事です)ですが、不屈がこの後プロ入りした後の話を描いた「ゲキトウ」という作品が存在します。……が、正直逆境ナインを超えることは全然できないまま、残念ながら打ち切り。逆境ナインの熱さというのは、青春の熱さ、という風に例えられると思うんですよね。無骨で融通が利かないけど、でもどこまでもまっすぐな熱さ。そしてその青い熱さは、プロという商業の世界では生きていけないものでもあると思うんですよ。再開の可能性もあるとのことですが、もし再開するのなら、そういった熱さをまた読める展開になっているといいなー、と思います。

 それと、この作品は、2005年に実写映画化もされていたりします。知ってはいたのですが、実写映画だろうがアニメだろうが、この原作を超えることはできないだろう、という思いが私の中にあったため、意図的に観ませんでした。こういうネガティブな考え方は、やめたほうがいいとは思ってるんですけどねー。

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