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2009/08/16

トガリ

Img411 夏目義徳 著。週刊少年サンデーにて2000年~02年にかけて連載、単行本全8巻完結。

 親も無く、身寄りも無く、名前すらも無かったその少年が生きるには、欲しい物を他人から奪うという以外の道は無かった。食い物、金銭、「トーベエ」という名前、そして命と、あらゆる物を奪い続けた彼であったが、ついに16歳の時に役人に捕らえられ、衆目の下斬首刑に処されてしまう。ところが地獄へと落ちたトーベエの魂は、どれだけ罰を受けても改心することは無く、何度捕まっても再び脱走を企てるなど、そこでも一向に変わる様子は無かった。そして現世での300年が経った頃――地獄の首魁であるエマは、トーベエの前に現れると、一本の木刀を差し出してこう言った。この「咎狩(トガリ)」を使い、現世にて108日間で108個の罪を回収してくれば、お前の罪は消えるでしょう、と……。こうして108個の罪を集めるため、現世へと戻ったトーベエであったが、彼は知らされていなかった。今までも咎狩を手にした罪人は何人もいたが、全員が途中で命を落とすか、もしくは咎狩に呑まれてしまったのだということを……。

 そんな出だしの、伝奇アクション。罪を持っているのは悪意を持つ人間で、それらを倒すトーベエはけして正義の味方というわけではなく、より大きな悪意である、という設定です。決めゼリフは「お前の罪をよこせ」 教育を一切受けていないトーベエには、何が悪で何が悪じゃないのかがわかっていない、という部分があるわけですが、ヒロインである浅木いつきの一家と付き合っていくことで、徐々に人の心の温かさを知っていく、という成長物語でもあります。ただ、トーベエの悪意が弱くなれば、同時に咎狩の力も弱くなってしまうため、すごいさじ加減の難しい作品でもあると思います。中盤以降は、10年前の刑事だったいつきの父が殺された事件にも絡んでいる強大な敵が現れ、その一味と戦っていくことになり、どのように設定を破綻させずにラストまで持っていくのかと毎週楽しみに読んでいたのですが……罪を108個集めきることなく、志半ばにて打ち切られてしまいました。本当に残念です。ラストまでの構想はもうできてたと思うんだけどなー。

 面白い作品だったとは思うのですが、果たして少年誌での作品か? と聞かれると、やや疑問な部分は確かにありました。それを克服しようとした次作「クロザクロ」は、少年漫画らしい弱さを克服することをテーマとした作品でしたが、正直トガリほどの盛り上がりもないまま全7巻で終了、その後サンデーでは音沙汰無しだったんですが……goodアフタヌーンの最新号(5号)にて久しぶりの新連載「モチモチ」を開始とのことで、ホント良かったです。ただ、ちらっと絵を観た限りでは、なんかすごいポップな作品という印象を受けるんですよね。私はトガリの暗い部分を強調する作風が好きだったので、ちょっと不安なのも事実です。いや、もちろん読みますけどねー。

 あと一応、今回調べて知ったのですが、クロザクロからモチモチの間も、活動をしてなかったというわけでは無いらしいですね。アメリカの出版社で、バットマンの外伝? とか描いてたみたいですし、ヤングジャンプにボクシング物の読み切りとかも載ってるらしいです。全然知りませんでした。

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コメント

ところがトガリ完結編の噂が持ち上がってるんですよ今。
夏目先生のブログ(今は閉鎖)でもそれを仄めかす発言がちらほら。

投稿: | 2009/08/19 21:40

おー! ビッグニュースですね!
ブログ削除ということはまだまだ予断は許さないんでしょうが、楽しみに待ちたいと思います。
情報ありがとうでしたー。

投稿: やの | 2009/08/21 18:12

予告出ました。
「咎狩 白」夏目義徳
http://www.comic-flapper.com/flapper_latest.html

投稿: | 2009/09/05 11:13

おおー! すばらしい!
夏目先生のHPの掲示板にも、ご本人の書き込みがありますね。いやー、こういう事ってそうそう無いと思うし、非常に嬉しいです。
情報ありがとうございましたー。

投稿: やの | 2009/09/06 01:54

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