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2009/08/01

殺戮姫

Img396 みさき速 著。週刊少年チャンピオンにて2007年に短期集中連載、単行本全1巻完結。

 臆病でものぐさな高校生、石動王士(おうじ)を慕う、いつも手袋をしている女子高生、森川流(るう)。彼女は実は、人間のことを嫌だと思ったとき、そこにいる人たちを無差別に殺してしまうという、凶悪な殺人鬼だった。自分が虐げられても耐えられるが、自分以外が虐げられた時に発する苦痛を感じ取ったとき、殺人鬼へと変貌してしまう流。それに勝る感情は、王士への愛情のみ。必然的に王士は、全世界を流という殺人鬼から守る救世主ということになってしまうのだが……流が人間を嫌と思うきっかけをつくりだすような、法で裁くことが難しい凶悪犯罪者たち。流の兄は、彼女のガス抜きのためにと、流にそういった犯罪者を殺させようとする。そして流を唯一止めることができる王士は、そこではたと思い悩む。はたして自分は、そういった者たちならば、流の魔の手から守らなくてもいい、と言ってしまっていいのだろうかと……。

 そんな設定のヒューマンドラマ。スプラッター要素多々有り。基本的には、法で裁けないような悪人を裁く、というスタイルなわけですが、そこに上記のような、凶悪犯なら殺してもいいのか? という葛藤が加わる感じです。さらにそこに、流は一定期間ごとに人を殺してガス抜きをしないとやばい、という正当性も加えている感じですね。あるていど長期の連載になれば、最後はついに覚醒してしまった流に対し、王士は……という形の最終章になるんでしょうが、残念ながらそこまでは行かずに終了となってしまいました。短期集中連載が当初の予定通りだったにしても、人気があれば続いていたんでしょうし、ちょっと残念でしたね。ただまぁ、凶悪犯の描写はなかなかにグロいし、読んでスカッとするタイプの話でもないので、人間の陰鬱な部分ばかり読まされてもなぁ、という感想になってしまいがちなのも、正直なところだったんですけどね。さじ加減の難しい作品だったということでしょうか。

 作者は現在、ヤングチャンピオンにて「酒は辛口 肴は下ネタ」という作品を連載中とのこと。「曲芸家族」の一キャラが主人公らしいので、単行本が出たらぜひ読んでみたいと思っています。あと、今週の週刊少年チャンピオン(2009年35号)にて、「特攻天女」の番外編が掲載されていたりします。特攻天女は読みたいとは思っているんですが、まだ読んでないんですよねー。文庫版でも刊行されれば、それを機会に読むんだけどなー。

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