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2009/09/25

サイコスタッフ

Img453 水上悟志 著。まんがタイムきららフォワードにて2006年~07年にかけて連載、単行本全1巻完結。

「努力に勝る才能なんかない」をモットーとする一見平凡な高校3年生、柊光一は、大学受験を間近に控えた12月のある日、生まれて初めてのラブレターをもらう。だが、体育館裏で待っていた桜木梅子という光一好みの可愛い女生徒は、開口一番、あなたを惑星ルルイエ宇宙軍超能力部隊にスカウトしにきました、と電波懸かったことを言うのであった。もったいないと思いつつも即座に踵を返す光一だったが、梅子はしつこく光一につきまとい、受験勉強中の彼の家にまで押しかけてくる始末。梅子が言うには、光一には大学受験なんてバカらしくなるような、巨大な超能力の才能があるらしいのだが……。受験勉強で忙しい光一は、これ以上付き合っていられないと梅子を突き放そうとするが、それなら梅子は自分が宇宙人だという証拠を見せると言って、光一の目の前で突如大型ロボットを出現させる。まさか本当に宇宙人だったとは……。光一は超能力で空中に待避しながらそう言うと、改めてスカウトに応じる気は無いと言い、そのまま飛んで逃げようとする。梅子は光一が力に目覚めていたことに驚きつつも、出現させたロボットに光一の捕獲を命じるが、50億人に1人というBクラスサイキッカーの力を持つ光一の前には、そのような強硬手段はまったく通用しないのであった……。

 そんな出だしの、平凡な生き方を望む超能力者とそんな彼を連れて行こうとする宇宙人のドタバタコメディー。SF要素とラブコメ要素も有り。話は単行本1冊分全7話と短く、いくらでもできそうな寄り道展開はほとんどありませんが、それ故に一気に読める、きっちりまとまった良い作品でした。面白かったです。

 キャラも良いし展開もまぁまぁ、終わり方も満足できる出来だったわけですが、一つだけ注文を付けるとすると、ラストの「誕生日」が絡むネタは、SF作品としては果たしてどうなんでしょうか。サイキッカーが次の誕生日を迎えると云々、というネタなんですが、これが宇宙規模で考えるとあきらかにおかしい。誕生日とは、地球時間で1年が経つと再び巡ってくるものであり、1年とは、地球が太陽のまわりを一周するのにかかる時間、なわけですが、水星の1年は地球の1年より短いし、木星の1年は地球の1年より長いのは当たり前。となると、宇宙規模で考えた場合、次の誕生日、という定義方法は出身星によってまちまちなものになってしまうわけで、今作においてサイキッカーが次の誕生日を迎えたら云々、って話は設定として使うには不適当だと思うんですよね。星座は地球から見るから星座になるのであって、宇宙規模で考えたら存在しえない、というのと多分同じです。

 明らかに重箱の隅ですし、この一件でこの作品の評価が下がるわけでもありませんし、さらに言えば所詮は素人のSF考証なので、何かが決定的に間違っているという可能性も大いにあるわけですが、私は「誕生日」という設定にどうしても違和感を感じてしまった、というお話でした。

 作者はこの作品よりも、ヤングキングアワーズ「惑星のさみだれ」の方が有名ですかね。面白いという話は聞いていたので、読もうかなーと思いつつまだ手が出ていなかった、という状態だったのですが、この作品がこれだけ面白いのなら、他の作品もぜひ読んでみたいと思います。

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