« みりたり! | トップページ | XBLADE »

2009/09/22

マイガール

Img451 佐原ミズ 著。週刊コミックバンチにて2006年より不定期連載中、単行本3巻まで以下続刊。

 無くしてしまったシャープペンシルのフタの代わりにつくった、消しゴム製の天道虫。付属高校1年生の笠間正宗と、4つ上の大学生、塚本陽子の出会いのきっかけは、そんな些細な物だった。やがて交際を始めた2人だったが、正宗が3年の時に、陽子は待っていなくていいと言って、異国の地へ留学してしまう。ずっと、待ってます。そう言って毎日のように天道虫の小物を同封した手紙を送る正宗だったが、陽子からの返事は一切なく、やがて2年が経った頃、彼女がそのまま向こうで就職した事を知る。これでようやく、諦められる。そう気持ちを切り替えたものの、陽子が留学してから5年が経った現在も、正宗は未だ彼女の事を忘れられないでいた。ところがそんなある日、正宗の元に陽子の母親から、陽子が交通事故で他界したという連絡が入る。そして葬儀の場を訪れた正宗を待っていたのは、陽子にはコハルという名の、5つになる娘がいるという事実であった。そんな前からふられていたのか。そう思う正宗だったが、陽子の母親は正宗に対し、父親は貴方だと聞いています、と言うのであった……。

 そんな出だしの、父子家庭ストーリー。物語はこの後特に波風立つことなく、正宗とコハルが一緒に住み始め、少しずつ少しずつ心を通わせていく、という感じのものです。特筆すべきポイントとしては、物語の基本はもちろん正宗とコハルの関係を描いているわけですが、その2人と、2人を取り巻く人々、の関係がこれまた非常に心地よく描かれてる、という部分でしょうか。具体的に言うと、正宗の両親と陽子の母のエピソードで、もちろん一悶着はあったものの、結局は誰もが正宗とコハルに対し好意的であり、読んでいてとてもほっとできます。また、大家の老夫婦やコハルの小学校の友だちの姉のエピソードなども、正宗とコハルの2人に微妙に絡みつつ、良い読後感を味わわせてくれるでしょう。ただ個人的には、もうちょっとこう、コハルの年相応なところが見たいなー、という感じです。あまりに人間ができすぎているというか、色々我慢して、しかも我慢しているところを見せない、というのはホント偉いのでしょうが、もっと同年代の子と無邪気に遊んだり、我が儘も言わせてあげたいです。きっと正宗と心の底から親子になれれば、そういうエピソードも出てくるに違いない、と信じています。

 ある日突然、存在すら知らなかった子供と一緒に住み始める。というと、やはり宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」を語らないわけにはいかないのですが、受ける印象はだいぶ違ったりします。これは考えるに、今作において正宗とコハルは実の親子であり、2人の間には陽子という存在があることに対し、うさぎドロップのダイキチとりんは親子ではない(叔母、甥の関係)ので、他の存在が間に入らないということだからなのかなー、と思っています。なので実際には、思い出してしまったのは金田一蓮十郎「ニコイチ」の方でした。しかしニコイチはコメディなので、スタート地点以外はこれまた全然違うんですけどね。

 作者の他の作品は多分読んだことが無いのですが、透明感のある絵柄は読みやすく、また作風にも非常に合っていると思うので、これなら他の作品も読んでみたいなー、と思っています。

|

« みりたり! | トップページ | XBLADE »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« みりたり! | トップページ | XBLADE »