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2009/09/27

ガケップチ・カッフェー

Img455 大前田りん 著。モーニングにて1992年~93年にかけて連載、中断中。単行本1巻まで未完。

 この何もない田舎町で、どうにかその日を生きていければいい。そう考えるサルタが経営するのが、人里離れた道路沿いにある、外観はボロボロ、中もまるで整頓できていないという、とても営業しているようには見えないドライブイン。ところがある日そんなところに、大きな荷物を持った1人の若い女性が、歩き疲れたようにやってくる。ありあわせの食材からテキパキと料理をつくってしまった彼女のことを、たった1日だけの奇跡と思うサルタだったが、予想に反して彼女は翌朝もまだそこにいた。ならばあと半日、財布の中身3600円で、その日暮らしの男のミエを貫き通してやる。そう考えたサルタは彼女を連れて町まで行き、朝食を食べた後に喫茶店へと行くが、さぁお別れという段になったところで、なんと彼女はまずは大掃除から始めないと、などと言いだしはじめる。よく見れば持っていた大荷物も置いてきたという彼女に対し、サルタはなんとか今日中に追い出そう、そうすれば男のミエを貫き通せるんだと考え、その軍資金として父親の形見の腕時計を質入れするのであった……。

 そんな出だしの、日銭を稼いで暮らしていければいい、くらいしか考えていないサルタのドライブインに、綺麗好き世話好きの訳あり女、ユリエがやってきて居着いてしまう……という感じのラブストーリー。ラブと言っても恋愛ではなく、近くにいる男女が引力に引かれるようにくっついていく様、という感じと言えばいいのでしょうか。わりと我が儘で気分屋だけど、今日に至る経歴は不明。そんな共通点を持った2人が織りなす物語なわけですが、これがなんとも不思議な読後感を持った作品で、後を引く面白さなわけです。察するにこれは、本作が読むと言うより感じる系の作品であり、かつ作者のセンスが私好みだからなのかなー、なんて思っています。

 そのへんをもっとはっきりさせるためには、続きもぜひ読みたいところだったのですが……。事情はわかりませんが作品は中断?してしまい、1巻には「1」の文字があるというのに2巻以降が出ることもなく、さらには作者はその後漫画家活動を行っていないらしいんですよねー。せめてもの救いは、1巻ラストが一応最終回のように見えなくもないこと。また復刊ドットコムにもけっこう票が入ってますので、きっといつか完全版が出てくれることでしょう。でもそれよりも、もう漫画家活動をしてないらしい、と言うことの方が本当にしょんぼりです。いつかこっそりでいいので復活してくれる日を、気長に待ちたいと思います。

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コメント

「いつまでも2巻が出ない1巻」講談社の青年系コミックに多いですよね。「りなことお兄ちゃん」とか「たぬきマン」とか…
大前田さんの作品は「上原よよぎ物語」(富士見)とか「十六桜」(角川)なんかも面白いですよ。おすすめです。

投稿: なぐ | 2009/12/01 01:11

 2巻以降が出ないパターンというのは、確かに大手では講談社に多い気がしますね。あとは秋田書店とかかなー。
 大前田さんの他の作品は読んでみたいとは思っているのですが、手に入れる手段が正直無さそうで困っています。文庫化とかしてくれるといいんですけどねー。

投稿: やの | 2009/12/03 19:07

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