« 乙嫁語り | トップページ | よいこのしごと »

2009/10/19

新暗行御史

02 原作・尹仁完、作画・梁慶一。月刊サンデーGXにて2001年~07年にかけて連載、完結済。単行本全17巻+外伝1巻。

 むかし、聚慎という国に、暗行御史(アメンオサ)という特殊官吏があった。彼らは王の特使として秘密裏に地方を回り、悪政を糾弾し庶民を救うことを仕事としていた。だが時が経ち、聚慎が滅びたことで、後ろ盾を失った暗行御史たちもいなくなったという……。ところがその頃、とある村に暗行御史がやってくるという噂が流れる。その村の女村長は領主からの増税に異議を唱えたために捕まってしまい、処刑の日を待っているという状態だった。村長の娘、ロロは母を助けるため、暗行御史がやってくるのを心待ちにしていたが、そんな時、一人の誠実そうな旅人が、領主の部下、文秀によって取調べを受けている場面に遭遇する。ロロはその旅人こそが暗行御史なのではないかと一瞬思うが、彼のどこを探しても、暗行御史の証である馬牌は見つからなかった。そして数日後、ついに村長が処刑される日がやってくる。暗行御史は結局現れず、ロロは一人、母を救うために役人に挑みかかるが……。

 そんな出だしの、過去に朝鮮半島で実在した役職、伝説をテーマとした、伝奇アクション。上記あらすじは第1話の中盤までですが、実は旅人は領主が変装している姿であり、本当の暗行御史は潜入捜査をしている文秀だったりします。暗行御史というのは実在した役職であると同時に物語の題材としてもよく扱われ、イメージ的には日本の水戸黄門みたいなものだそうです。印籠の代わりに馬牌を出し、「この紋所が~」の代わりに「暗行御史のおでましだ!」と言うのだとか。ただし暗行御史の持つ三馬牌には、幽玄兵士というこの世ならざる軍団を呼び出す力があり、これによって大軍相手にも渡り合える、という設定になっています。あと山道という護衛と、房子という従者もセットのようです。どこまでが暗行御史での設定で、どこからがこの作品オリジナル設定なのかは、正直わかりません。

 そんな感じの、原作も作画も韓国人という、日本人にはあまりなじみのない設定、スタイルなわけですが、これが非常に面白い作品でした。勧善懲悪というのは文化が違えど普遍のものである、といういい証拠だと思えましたね。残念ながら中盤以降はちょっと(かなり)中だるみ感がありましたが、(原作者の)日本での初連載としては、大成功だったのではないでしょうか。絵は画像を見ればわかるとおり、その山道の服装はどうよと思ってしまう部分はありますが、そこにさえ目をつぶれば書き込みも細かいし動きもいいしと、何の問題もありませんでしたね。むしろ山道も、その格好だからいいというかなんというか(だいなし

 作者は現在、同じ原作、作画の組み合わせで、週間少年サンデーにて「DEFFENSE DEVIL」という作品をシリーズ連載中。魔界を追放された悪魔の弁護士が、罪人の弁護をして無実を証明することによって、魔界へ復帰しようとする、という感じの話なのですが、今のところはフツーに面白い感じです。しかし暗行御史を完結させた実績から考えると、正直まだまだ物足りないと思っていますので、もう少しはじけてほしいなー、なんて思っています。週刊連載のページ数にまだ慣れてないんじゃないかなー、なんて気もしますね。

|

« 乙嫁語り | トップページ | よいこのしごと »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 乙嫁語り | トップページ | よいこのしごと »