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2009/10/26

ふたつのスピカ

Img480 柳沼行 著。コミックフラッパーにて2001年~09年にかけて連載、単行本全16巻完結。

 鴨川アスミがまだ1歳の赤ん坊だったとき、日本初の有人宇宙探査ロケット「獅子号」が打ち上げ直後に爆発し、市街地に墜落して多くの犠牲者を出すという事故が起こる。その事故に巻き込まれたアスミの母は意識不明のまま5年後に息を引き取り、獅子号の技術者だった父は事故処理後に宇宙開発事業団を辞め、土木作業などをしながら男手一つでアスミを育てていった。そして14年後……中学卒業を間近に控えたアスミは、ロケットの運転手になるという子供の頃からの夢を叶えるため、その足がかりといえる東京宇宙学校を受験しようとしていた。だが国立の専門学校とはいえ入学金は高く、さらにもし入学するのなら父を1人置いて寮に入らなければならないという事実に、アスミはその夢をあきらめようとするが……。

 そんな出だしの、東京宇宙学校という宇宙に関する事を色々学べる国立の専門学校を舞台とした、学園青春ドラマ。上記あらすじ後、アスミは結局東京宇宙学校に入学するわけですが、やっていることはオーソドックスな、高校生たちの「夢に向かって一緒に頑張ろう」系のお話です。ただしアクセントとして「獅子号という民間人にも多数の死者を出した痛ましい事故」と「マリカという同級生の身体に隠された秘密」というものがあり、登場人物のほとんどがこの二つに多かれ少なかれ絡んでいる、という繋がりがあります。これは言い方を変えると、登場人物のほとんどが何らかの形でもともと繋がっているというわけで、ちょっと偶然が多すぎるんじゃ? と思ってしまう部分もありました。終盤でマリカとシュウまでが繋がっていたことが解ったときは、正直ちょっと萎えましたねー。

 そのマリカの件ですが、これもちょっと疑問な部分がありました。症状の進行を抑えるための薬を飲んでるとのことですが、それって血液検査で出まくりなんじゃないでしょうか? そしてそんな検査結果では、とても入学することができないような……? 視力が悪くても問題にはなっていない、ってのもちょっとあれ? って思ってしまいました。うーむ。

 あともう一つ、この作品には獅子号のパイロットであった青年の幽霊(?)が出てくるのですが、何故かアスミだけが見たり話したりできるという、ちょっと謎な設定でした。立場的にはアスミの相談相手になったり彼女を導いたりという重要なものだったんですが、SF作品なのに幽霊とかをこんなメインキャラにしてしまう、というのがちょっと衝撃ではありましたね。単行本裏表紙のあらすじが「SFファンタジー」となっているのも、このあたりの所以なのかもしれません。

 そんな感じで気になる部分はあるにはありましたが、メインの青春ドラマ部分は問題なく面白く、卒業式のシーンはお約束とはいえうるっときましたね。素朴な絵柄というのも、作品の雰囲気に非常に合っていたと思います。そしてそうなると気になるのは、やはり次回作。個人的には今作はやや設定をクロスオーバーさせすぎ、という感がありましたので、次はもうちょっと簡潔な設定の方がいいんじゃないのかなー、なんて思っています。初連載作品だと思われる今作が8年という長期連載となり、アニメ化、ドラマ化までされてしまった以上プレッシャーは大きいとは思いますが、がんばってください。

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