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2009/10/06

アイシールド21

Img466 原作・稲垣理一郎、漫画・村田雄介。週刊少年ジャンプにて2002年~09年にかけて連載、単行本全37巻完結。

 気弱で貧弱、頭も良いわけではなく、幼稚園の頃からのパシリで鍛えられた足だけが特技と言える高校生、小早川瀬那。彼は入学早々クラスの不良たちから逃げ出していたところを、アメリカンフットボール部の主将、蛭魔妖一に見られ、その足を買われてアメフト部に強引に入部させられてしまう。そして顔が知れると運動部の争奪戦が始まると言うことで、色つきのアイシールドで顔を隠した謎の選手、アイシールド21として試合に出場することになるのだが、彼の所属する泥門デビルバッツは正式部員が3人という、弱小チームなのであった……。

 そんな出だしの、アメリカンフットボール漫画。当初は3人しかいないチームに、徐々に正式部員が増えていったり、強化合宿を行ったりと、基本ベースはオーソドックスなスポ根物。主人公セナの扱いは、アメフトに関しては素人だけど、走る速さと曲がりの鋭角さで選手として十分通用する、という形になっています。そしてフツーのスポーツ物との一番大きな違いは、この作品を実質牛耳っていると言えるアメフト部主将、蛭魔妖一のキャラクター性でしょう。スピードそこそこ、パワーはイマイチと体格はとても恵まれているとは言えないキャラなのですが、頭脳はトップクラス。だがその性格は陰湿、残忍で、他人の弱みを握って言うことを聞かせるのが日常。校長の弱みも握っているため、学校内でも好き勝手し放題、だけどアメフトに関しては、仁義をきちんと守る、という感じでして、こういうダーティープレイヤーが知恵と頭脳で強敵に戦いを挑む、という展開がこれだけ面白いものだとは、この作品を読むまで知りませんでした。ダーティーとは言っても、対戦相手を肉体的、精神的に攻撃するとかはしないので、主人公サイドの人間としても問題無し。確かにメイン主人公に据えられるキャラではないのですが、この作品で一番重要なキャラは? と聞かれたら、私は間違いなくこのヒル魔だと答えるほどのキャラでした。そしてそんなキャラを裏の主人公に据え、今ある力を駆使して弱者が強者を倒す、という一貫したスタイルで描かれたこの作品は、スポーツ漫画としては外れるわけもなく、本当に面白い作品だったと言えるでしょう。

 絵に関してですが、わりとオーバーな表現を多用する画風は、少年漫画らしく非常に面白かったと思います。特に試合中の、カットインの表現は良かったですね。テンポを犠牲にすることなく状況整理をしつつコミカルさも失わないという、非常に適したやり方だったと思います。単純に絵もうまかったですし、女の子も可愛かったし、絵に関してはまったく問題ありませんでしたね。

 7年という長期連載をきっちり完結させたわけですが、もちろん不満もあり、最たる物はその展開でしょう。読んでいた人ならきっと誰でも思うんでしょうが、やはり終わるのが遅すぎです。秋の東京大会を、まさかの3位通過はまぁいいでしょう。しかしやっぱり、関東大会準決勝、対王城ホワイトナイツ戦で終わりにすべきだったと考えるのは、私だけじゃないはず。続く決勝、そしてクリスマスボウル、さらに続くワールドカップユースは、それだって始まってしまえば十分面白いは面白かったのですが、やはり展開としては蛇足と言わざるをえないでしょう。ただそうしたおかげで、数々の伏線はほぼ全て回収することができ、かつ作品としてそれほどは悪くならなかった、というのは高い構成能力あってこそとも思いますけどね。

 あとこの作品は、単行本のオマケページの充実さ加減もすごかったですね。本誌最終回で、天然バカの滝夏彦が出てこないよー、とショックを受けていたのですが、最終巻のオマケページで最終回に出てこなかったキャラのその後、が描かれており、そこでちゃんとその後どうなったのか書かれていたのは嬉しかったです。

 現在は次回作に向けて構想中、という感じだとは思いますが、これだけ売れてしまった作品の後ということで、色々難しい部分もあるとは思います。さらに原作と作画でまた組むのかどうかもわからないわけですが、お二人の次回作を、楽しみに待ちたいと思います。

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