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2009/10/21

ブラックジャックによろしく

03 佐藤秀峰 著。モーニングにて2002年より06年まで連載、単行本全13巻完結。現在はその完全な続きである「新ブラックジャックによろしく」が、ビッグコミックスピリッツにて連載中、単行本6巻まで以下続刊。

 この春、永禄大学医学部を卒業し、そのまま永禄大学付属病院の研修医となった斉藤英二郎の現在の待遇は、1日平均労働時間16時間という激務にして、月収はわずか3万8千円という超薄給。日本の医療は自分たちが支えているという自負はあったが、その給料では家賃も払えないため、実家がけして裕福ではない斉藤は、病院の当直のバイトなどをして生計をたてていた。だが3ヶ月の基礎研修を終え、第一外科の研修に入った斉藤は、その頃から徐々に自分の熱意と医療現場の現実との差、極論すれば、大学病院の医療は患者のためではなく、医者のためだという現実を、認識し始めていた……。

 そんな出だしの、医療現場を舞台としたヒューマンドラマ。研修医である主人公の斉藤は、第一外科、第一内科、小児科、第4外科、etc……と研修先を転々とするのですが、行く先々で揉め事を起こし、それを不器用ながらも、一つずつ乗り越えてく、という感じでストーリーは進んでいきます。そしてその揉め事の内容ですが、一般人が知りえなかった日本の医療の現実、医療は患者の都合ではなく医者の都合によって行われる、というものに対し、同じ医者である斉藤が反意を抱く、というものであり、私のような医療関係者ではない人間が読む分には、非常に興味深く読める内容でした。この内容を1から10まで全て信じてしまっていいのか、という疑問は残りますが、これはフィクションであるマンガ作品である、と最初から意識していれば問題はないでしょう。

 作中のどのシリーズも、そのシリーズ最終話は一応ハッピーエンドという形で終わってはいるのですが、個人的にはその道中があまりにネガティブな展開が多いのが不満点。現実なんてそんなものだ、最後がハッピーエンドなだけましだ、というのはわかりますが、なんというか、辛いのは現実だけでいいじゃない? という感じです。斉藤先生の悩みは確かに共感できるものなんですが、現実以外でもそんなに悩みたくないよ、というのは、私の心の弱さの問題でしょうか……。

 この作品は、当初は講談社のモーニングで連載されていたものが、小学館のビッグコミックスピリッツに移った、という点でも話題になった作品でもあります。その手のトラブルにしてはめずらしく内情もだいぶ語られているので、なるほど、そういうこともあるのかー、と思えてよかったのですが、こうなると期待するのは、マンガ家を主人公としたブラックジャックによろしくを描いてくれるのかどうか、ですよね(笑) ネタは医療関係よりは少ないでしょうが、雷句誠等の出版社を移った他の漫画家にも取材して、ぜひそのうち形にしてほしいと思っています(笑)

 なおタイトルである「ブラックジャックによろしく」についてですが、手塚治虫「ブラック・ジャック」は医療を手段としたヒューマンドラマであることに対し、今作は医療現場の現実と戦う研修医、というスタイルなので、同じ医者である、という事以外はあまり関連性が無いと思います。あえて深読みするなら、ブラック・ジャックのように、病院や医局といったしがらみから抜け出して患者とその病気に向き合いたい、という想いからきてるタイトルなのかもしれませんね。

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コメント

この漫画 1巻の1話だけ 読みました。痛烈というか 厳しい世界すぎると思いました。
医者になるということは 中高の学歴での 厳しい戦いがあって その厳しさの中で 人の命を 救うという仕事を 任せられるのだけれど この漫画すごいですね。漫画同好会(名前検討中 政治研究会(名前検討中 学校教育研究会(名前検討中
これでは 日本人の 医者が 減っていく?
私は 手塚世代の人間です。なんで 手塚先生の漫画タイトル使うのか なんとなく 気にはしたけれど いままで 読まなかった作品です

投稿: 村石太レディ&仁&キテレツ&文部大臣&ダビンチ | 2012/01/18 20:43

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