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2009/10/09

辺境警備

Img468 紫堂恭子 著。プチフラワーにて1988年~92年にかけて連載、完結。その後ファンタジーDXにて1995年~96年にかけて短編を発表。単行本はプチフラワー版が全6巻、ファンタジーDX版が全6巻(プチフラワー版とほぼ同内容)+外伝1巻(ファンタジーDX版の内容)。現在は文庫版が全4巻にて発売中。

 ルウム復活歴996年、女性関係が元で都を飛ばされたサウル・ガダフは、辺境警備隊の隊長として、王国北西部のドレングの町へと到着する。だがそこは、北方諸国との交流は絶えて久しく警備隊の役目など無いという、国境とは名ばかりの単なる辺境の地であった。当初は何をして暇をつぶせばいいのやらと思うサウルであったが、素朴な町の人々や9人の陽気な隊員たち、そしてこの地方の神官を務める若きジェニアス・ローサイらとの交流を経て、彼は少しずつこの地を気に入っていくのであった……。

 そんな出だしの、いわゆる剣と魔法の世界を舞台とした本格ファンタジー。場所は辺境ですが特に何も警備はしないので、タイトルに偽りは有り。しかもこの後のストーリーも、実はジェニアスは将来を嘱望された神官であり、ついに王都へ呼び戻されるが、実は彼の出生には秘密があり……という感じで、まったくもって警備はしません。ホント、なんでこのタイトルなんでしょうね。しかし内容はというと、主に人間関係を扱ったシリアスあり、コメディあり、ほのぼのあり、陰謀ありと、非常に面白い。古い作品ですが指輪物語のような本格ファンタジーなので、絵柄以外は今でも違和感無く読めるであろう点もポイント。そして圧巻なのは、ファンタジーDXに掲載された完結編。プチフラワー版最終回も、辺境にサウルがやってきて、色々あった挙げ句ジェニアスの一件を片づけ、そして辺境から去る、という感じの余韻を残す良い終わり方だったんですが、完結編は回収されていなかった伏線を全て回収しきり、そして一つの時代が終わるという、これまた見事なものでした。でもこれって多分、プチフラワー版最終回の直後に発表されてたら、ある意味蛇足に感じたと思うんですよね。何年か経って発表されたものだからこそ、ここまで感動できたんだと思います。ただ、何年か経ってから完結編を描くなんて、普通はできないんでしょうけどね……。

 作者の作品は実はこれしか読んだことがないのですが(そもそもこれを読んだきっかけも覚えて無い)、今でも複数の連載を持っているとのこと。そして今回調べていて知ったのですが、この作品と世界設定を同じにした他の作品があるらしいんですよね。この辺境警備は文句なく面白い作品ですし、とりあえずはその同じ世界設定の作品から読んでいきたいと思っています。

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