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2009/11/25

FADE OUT

Img510 いけだたかし 著。月刊サンデーGXにて2000年~04年にかけて断続掲載、単行本1巻まで未完。画像はメディアファクトリー版単行本全2巻完結。

 14歳の誕生日を迎えたその日、中学2年生の阿賀野こかげの身には、知らない声が聞こえたり、突然足が透けだしたりといった、不思議なことが起こり始める。父が言うには、実は阿賀野家は唯一残った幽霊族の末裔であり、長女が14歳になると、幽霊族としての力に目覚めるのだという。力に目覚めたことで見えるようになった祖母の話によれば、元々地球には霊界と物質界があり、幽霊族だけがその二つの世界を自由に行き来して栄えていたらしい。だがこかげにとっては、能力に目覚めたからと言って、ただ祖母の幽霊が見えるようになっただけの話にしか思えなかった。そんなある日、こかげはクラスメイトから、こかげの幼なじみであるトシアキを紹介して欲しいと頼まれる。話の流れで承諾せざるをえなかったこかげは、仕方なしにそのことをトシアキに伝えるが、こかげはその時まだ気付いていなかった。自分はトシアキの事なんか別にどうとも思ってないと意識するたび、能力に目覚めた身体は不安定となり、消えてしまいそうになることに……。

 そんな出だしの、ちょっとオカルトチックなハートフルストーリー。ストーリーはこの後、主に辺りを漂う残留思念等から人の想いを感じ取れるようになったこかげが、飛んだり霊と話をしたりといった能力を使って、人助けをしていく、という感じで続いていきます。コンセプトは悪くないと思うのですが、惜しむらくは展開がややちぐはぐだったこと。特に大きな不満点が2つあり、まず一つめは、突然吸血鬼が出てくること。この作品の大前提として、霊界と幽霊族というオリジナル設定があるわけですが、それらの設定では空想上の産物である吸血鬼が実在する、という説明には成り得ません。故に、キャラクターの統一性が感じられず、世界観を壊してしまっていると思います。もう一つは、幽霊族の先輩であるシイネや、人より強い力を持った存在という意味での吸血鬼が何度か口にする、「人間ごとき」というセリフに対する答えが最後まで無いということ。ラストまで引っ張れるテーマであっただけに、てっきり最後にその答えがあると思っていたんですが、無くてがっかりでした。一応最終回で、薄ぼんやりと言及しているようにも見えますが、もっとはっきり締めることができたであろうだけに残念です。ただ2つめに関しては、もしかしたら打ち切りということで、そこまでできなかった、ということなのかもしれませんけどね。

 そして最後に一点だけ。最終回のストーリーがガールミーツガール物なわけなんですが、この精神が時を経て「ささめきこと」に繋がっている、ということであれば、正直それだけでこの作品の価値が……なんて言うのはまったくフォローになっていませんねごめんなさい。そしてもう一点(しつこい)そのそのささめきことなわけですが、どうか話が無駄に引き延ばされたりしませんように……。アニメ化のせいで連載延長とかフツーにありそうで、ホント心配です。単行本表紙を春夏秋冬、そして再び春、とかで5巻で綺麗に終わってくれてよかったんだけどなー。

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