« さゆリン | トップページ | トリフィルファンタジア »

2009/11/02

宇宙兄弟

Img487 小山宙哉 著。モーニングにて2007年より連載中、単行本7巻まで以下続刊。

 子供の頃に月に向かっていくUFOを見たとき、南波兄弟の弟、日々人は、将来宇宙飛行士になって月へ行く気がする、という予感を口にする。それを聞いた兄、六太は、先に言われたと思いつつも、お前が月に行くなら兄ちゃんはその先、火星に行く、と答える。そして19年後――日々人はNASAの宇宙飛行士として、月面長期滞在計画の一員へと選ばれていた。そして自動車開発会社に勤めていた六太は、上司に弟の事を悪く言われたことで頭突きをかましてしまい、無職となっていた……。なんでもできる、スゴイ兄貴になりたかった。だけど弟は月に行くことが決まり、自分は無職という現実に、六太は布団に突っ伏し涙を流す。ところがそんなある日、六太の元に突然JAXA(宇宙航空研究開発機構。乱暴に言うと日本版NASA)からの封書が届く。それは、出した覚えの無い、新規宇宙飛行士選抜試験の、書類選考合格通知であった……。

 そんな出だしの、宇宙飛行士になった弟と、宇宙飛行士を目指す兄の、近未来SFストーリー。主人公は兄、六太であり、ストーリーは現在のところ、六太の宇宙飛行士選抜試験と、そこでの人間関係を軸に進んでいます。そういう意味では、先日最終巻が出たばかりの柳沼行「ふたつのスピカ」にかなり近いと思います。ただしスピカが十代の少年少女が主人公なのに対し、こちらの主人公、六太は31歳ということで、対象読者層がけっこう違うかなー、という感じです。これはまぁ、掲載誌の違いも大きいんでしょうけどね。そしてリアリティという意味で考えると、正直どっちにリアリティを感じるのか……悩み所です。

 この宇宙兄弟で私が一番疑問に思うのは、一般公募で集めた素人が8人も宇宙飛行士になれるのか、というところです。もちろん、最終的に宇宙に行けるのは1人か2人なのかもしれないし、もしくはすでにこの世界では、年間数十人もが宇宙に上がっているので、そのくらいは普通、ということなのかもしれません。ですが、現時点での公表されている情報から考えると、どうしても違和感は残ってしまうんですよね。その点スピカは、なんだかんだ言って宇宙には1人しか行けなかったわけで、リアルの宇宙開発を考えると、その点においてはスピカの方がリアリティを感じてしまうわけです。ただまぁ、完結したスピカと連載中の宇宙兄弟を比べるな、と言ってしまえばおしまいなんですけどね。

 以上のような細かい違和感はありますが、すでに弟が宇宙飛行士になっているという設定は非常にうまいと思いますし、選抜試験を中心とした話も十分面白いです。単行本7巻にして未だ選抜試験は終わってないわけですが、果たしてこの物語の行き着く先は月なのか、火星なのか、それともそれ以外なのか。そういう意味も含めて、今後も楽しみに読んでいきたいと思っています。

|

« さゆリン | トップページ | トリフィルファンタジア »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« さゆリン | トップページ | トリフィルファンタジア »