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2009/12/02

冬物語

Img516 原秀則 著。ヤングサンデーにて1987年~90年にかけて連載、単行本全7巻完結。

 落ちるはずがないと思っていた八千代商科大にまで落ち、それが元で彼女にもふられてしまった浪人生、森川光。仕方なく予備校の申込みへ向かった彼は、そこでとある同じ予備校生の女の子に一目惚れしてしまう。無意識のうちに同じコースに申込み、コースごとの説明会で隣の席を確保し、顔見知りになることに成功した光だったが、駅までの帰り道で彼はとんでもない事実にようやく気付く。それは、その女の子、雨宮しおりが目指しているのは東大であり、選んだコースも東大専科だということ。そして、八千代商科大ですら落ちた光にとっては、東大専科コースはついていくことすら不可能であるということであった……。

 そんな出だしの、浪人生たちの恋愛ストーリー。はっきり言って受験生は読んじゃいけないレベルの鬱マンガ。ただ、受験生が読むべきではないのは確かですが、この作品が鬱マンガである本質的な理由は、主人公が浪人生である境遇ではなく、性格にあるんじゃないかと思います。主人公の光は流されやすく優柔不断で、大学に落ちて彼女にもふられてうじうじしていると思えば、予備校で出会った別の女の子に一目惚れして確認もせずに東大専科コースを受講し、挙げ句の果てには悲劇の主人公ぶるという、リアルで知り合いだったらあまり近づきたくないタイプ。なんというか、全部自業自得じゃん、という感じなんですよね。主人公はもう少し応援できるタイプにしてほしいなー、と切に思いました。

 ただしこの作品、そういった受験の痛い部分がどうしても目立ってしまいますが、本質的には複数の男女の恋愛ストーリーであり、受験はあくまでストーリーを盛り上げるためのエッセンスでしかありません。そしてそれを念頭に入れて冷静になって読むと、青春群像劇としては問題なく面白いんですよね。じゃあなんでこんな鬱マンガになってしまったかと言うと、それは当然浪人生を扱っているからに他ならないわけで、こういったナイーブな問題をテーマに扱うのはやっぱり難しいのかなー、と思わざるをえませんでした。

 作者は現在、小学館の携帯マンガサイト「モバMAN」にて、「駅恋」という恋愛オムニバスストーリーを連載中とのこと。ヤングサンデーを購読しなくなってから自然と読む機会が減ってしまったのですが、こちらは単行本も出ているようですし、久しぶりに読んでみようかなー、と思っています。

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