アニメ・コミック

2010/01/17

とある飛空士への追憶

Img559 原作・犬村小六、作画・小川麻衣子。ゲッサンにて2009年より連載中、単行本1巻まで以下続刊。

 中央海をへだてた神聖レヴァーム皇国と帝政天ツ上という大国同士の戦いは、天ツ上の開発した戦闘機「真電」の出現によって一変する。それまでは戦況を有利に保っていたレヴァームだったが、制空権を奪われ天ツ上本土領地であるサン・マルティリアも爆撃を受け、サン・マルティリアを管掌するディエゴ・デル・モラル公爵が死亡するなど、状況は悪化の一途をたどっていた。そんな中、デル・モラル空挺騎士団エースである青年、狩乃シャルルは、軍司令部より極秘指令を受ける。それは、死亡したディエゴ公爵の一人娘であり、半年後にレヴァーム皇子との婚姻を控えたファナ・デル・モラル嬢を、複座式の偵察機でレヴァーム本土へ送り届ける、というものであった。レヴァームと天ツ上との混血児として生まれ、9歳の時には孤児となるなど不遇な人生を歩んできたシャルルだったが、実は彼は幼き日に偶然ファナに出会い、生きる希望を貰ったことがあった。もし天ツ上に狙われているとも言われるファナをこの苦境から救い出すことができたなら、いつ死のうとも後悔せずに済むのではないだろうか。そう考えたシャルルは、ファナを連れて単機レヴァーム本土を目指すことを決意する……。

 そんな出だしの、飛空挺を舞台とした冒険ファンタジー。同名のライトノベルのコミカライズ作品です。お姫様との二人旅、という設定はまぁありがちだとは思いますが、展開や表現がラノベにしては非常にストイックで、原作はなかなか面白かったですね。ネット上では評判になってましたし、読んだ方も多いんじゃないでしょうか。そしてこのコミカライズ版ですが、全体的に原作に忠実で、ストーリー的には安心して読めるつくりになっています。そしてコミカライズの利点である視覚的な部分ですが、個人的には成功してるんじゃないかと思います。特に二人で飛び立って、ファナの表情が出るようになってからがいいですね。ファナは元々は感情を押し殺した表情を持たないお人形というキャラで、作中で徐々に感情を表すようになっていくわけですが、文字だけでは物足りなかった表情という部分をこのコミカライズ版では見事に補填していると言えると思います。こうなると、2巻以降の展開になる天ツ上空軍との戦闘や、来るべきエンドシーンにも期待が持てるというわけではありますが……ここに一つ、不安要素があります。それは、今作は映画化が決定しているということ。

 アニメなのか(無いとは思いますが)実写なのかはわかりませんが、ファナの表情を視覚的に表す、という利点がコミカライズ版だけのものではなくなってしまうのは確実です。そしてこれはまだ絶対ではありませんが、コミカライズ版連載中に映画版が公開されてしまえば、話題は映画版にさらわれてしまうのは必死で、コミカライズ版は本当にオマケ程度の扱いというか、映画版の宣伝材料の一つ程度になりかねません。個人的にはそれは非常に悲しいので、なんとか作画担当の小川麻衣子には、終わってみればコミカライズ版も素晴らしかったと世間に言ってもらえるよう、頑張ってもらいたと思っています。

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2010/01/07

フタガミ☆ダブル

Img557 矢吹健太朗 著。週刊少年ジャンプ2010年05、06合併号掲載読み切り。

 ごくごく普通だと自分では思っていたし、その日までは実際その通りだった中学生、双神想介は、ある日背格好から服装まで何もかも自分そっくりの人間を見てしまう。さらに自分がいないはずの場所にいたと姉やクラスメイトたちから続けざまに言われ、彼はそれが自分で見てしまったら死ぬと言われているもう一人の自分、ドッペルゲンガーではないかと考えはじめる。ところがそこに、想介が密かに憧れていたクラスメイト、雨音結花が現れ、それはドッペルゲンガーの正体である幻人(イド)という残留思念の集合体であり、早く捕まえないと面倒なことになってしまうと言うのだったが……。

 そんな出だしの、学園オカルトコメディー。上記あらすじ通り、「ドッペルゲンガー」と「イド(自我)」というネタを合わせ、それをふくらませてつくったという感じのお話です。ドッペルゲンガーを見た者は死ぬ、というのは現実にある都市伝説ですが、それに対するオリジナルの答えも作中で示してあり、単にドッペルゲンガーという設定を流用しただけでなく、ネタとしてきちんと組み入れてあるな、という印象をうけました。作品設定としては使い回しが効くし、キャラも問題なしとすぐにでも連載できそうな勢いではありますが、そもそも作者は「BLACK CAT」や「ToLOVEる」と言った人気作を手がけていたわけですし、これくらいやってくれないと困る、というのが本当のところかもしれませんけどね。

 そして今回調べていて、離婚騒動のことを初めてちゃんと知りました。ToLOVEる連載終了時に妻がどーこーとかネタになっていたのをちらっと見た覚えはありますが、まさかこんな展開だったとは。どこまでが本当なのかとかはわかりませんが、こうして高評価の読み切りの発表もできたことですし、これからもぜひがんばってほしいと思います。

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2009/12/30

りびんぐゲーム

Img554 星里もちる 著。ビッグコミックスピリッツにて1990年~93年にかけて連載、単行本全10巻完結。

 社長を含めて従業員5人という小さな会社に勤める25歳の会社員、不破雷蔵の目下の不満は、住んでいる部屋がとにかく狭いということ。意を決して引っ越した先は、家賃は高いが広々とした2DK、しかも後日決まった会社の引っ越し先であるビルの目の前という好立地だったのですが……。なんと会社の引っ越し当日になって、会社が入る予定だったそのビルが手抜き工事で傾いてしまい、入れなくなってしまいます。元のビルには戻れないし、かといってある程度の広さがあって、すぐに荷物が置けて仕事が始められる場所なんて……。というわけでまさかのまさか、その条件にぴたりと当てはまった不破の新居に、会社が転がり込んできてしまったのでした。狭いのは嫌だと訴える不破でしたが、現状他にどうしようもなく、最終的には我慢するしかありません。ところがただでさえ狭いそこに、以前から約束していたからと、新人を入れると社長が言い出します。もう机を入れるスペースも無いと不満を募らせる不破でしたが、島根から出てきたばかりという15歳の女の子、氷山一角(ひやま いずみ)の希望とやる気に満ちあふれた台詞を聞いているうちに、不破は自分がまだ新人だった頃、仕事に広さは関係ありませんと熱意を持って言っていたことを思い出すのでした……。

 そんな出だしの、ホーム(住宅事情)ラブコメ。ストーリーはこの後、15歳ということで部屋探しがうまくいかないいずみちゃんが、最終的には不破くんの部屋(兼会社)で一緒に暮らすようになり……という感じで進んでいきます。そのあたりはとにかくいずみちゃんが健気で可愛いということもあり、展開的にもシチュエーション的にも読んでいて非常に楽しかったのですが、残念ながら中盤以降の三角関係部分にちょっと不満が残りました。具体的に言うと、今作では不破くんといずみちゃんはずっと両思いなのですが、そこに新キャラを出してどっちかに近づけさせて誤解から話がこじれて……、というパターンの繰り返しなんですよね。中盤までの時子絡みの三角関係はキャラも立ってたし設定もきちんとしてたし問題なかっただけに、中盤以降は非常に残念でした。

 しかしその部分にさえ目を瞑れば、いずみちゃんは健気で可愛いし、住宅事情ネタというのは当時の時流にもあっていましたし、いずみちゃんは健気で可愛いし、丸っこい輪郭の画は私好みだし、いずみちゃんは健気で可愛いしと、もう壊れたレコードのようになってしまうくらい、文句なしに私好みの作品でした。なんというかですね、この作品は私のマンガ人生の元となる作品(の片方)である、と断言してしまうくらい、私にとって重要な作品だということです。ああホント、いずみちゃん可愛かったなー。当時は萌えなんて言葉はありませんでしたが、今思うに私が初めて萌えたキャラというのは、このいずみちゃんだったのでしょう。

 ちなみに私のマンガ人生の元となるもう一つの作品は、椎名高志「ゴーストスイーパー美神 極楽大作戦!!」です。2009年の最初にGS美神の感想を書き、最後にこのりびんぐの感想を書くというのは、初期の頃から考えていたことですが、無事達成できてほっとしています。閑話休題。

 作者はその後、いくつもの作品を連載、完結させ、現在はビッグコミックスペリオールにて「光速シスター」を不定期連載中。どの作品もつまらないとまでは言いませんが、徐々に面白みは減ってきてるかなー、というのが私の正直な感想です。そんな状態なので、りびんぐの続編を書いて欲しいとはちょっと怖くて思えませんが、いつかまた、りびんぐ並みに面白い作品を描いてくれることを信じて、これからも読み続けたいと思っています。

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2009/12/29

SPRIGGAN

Img553 原作・たかしげ宙、作画・皆川亮二。週刊少年サンデーにて1990年連載開始、その後掲載誌を週刊少年サンデー増刊号に移し、96年完結。単行本全11巻。画像は文庫版全8巻。

 高度に発達しすぎてしまったが為に滅んだと言われる、超古代文明。彼らが残した様々な遺産は、現代の科学力では到底解明できないような、恐るべき力を秘めた物ばかりだった。そんな折に深海の底から発見された、年代も材質も不明の金属プレート。それには古代ヘブライ語で「我々が残した様々な遺産を、悪しき目的の者から守ってほしい」というメッセージが刻まれていた。全世界規模の巨大財閥、アーカム財団に所属するS級エージェント、通称スプリガンの一員である男子高校生、御神苗優の仕事は、そういった古代文明を守り、封印すること。例え背後にアメリカやロシアといった巨大国家がついていようとも、相手の目的が古代技術の戦争利用である限り、一歩も引くことは許されないのだ……!

 そんな設定のSFアクション。神話に出てくるような様々な古代技術は、超古代文明が残した遺産だった、という設定のもと、それを奪おうとする様々な組織と、優たちスプリガンの戦いを描く、という感じの内容です。扱う遺跡、遺物は、メギドの炎、ノアの箱船、バベルの塔、水晶髑髏、オリハルコン、賢者の石、等々一般に知られているものが多く、対抗組織もアメリカやロシアを筆頭とした知名度の高いものばかりなので、「もし本当に古代文明から現代の科学力を超える技術が発見されたらどうなるか」を考えたとき、本当にこのマンガのようになってもおかしくはない、と思えるようなつくりになっています。むしろ一番現実的でないのはアーカム財団なのでしょうが、そのあたりの話も作中で語られており、ある程度満足はいきます。まぁ、そういった政治的駆け引き部分よりも、最前線で戦う御神苗優たちが繰り広げる人間ドラマとバトル、が一番面白い部分だとは思いますけどね。

 作者はその後、複数の作品を発表していますが、個人的にはアニメ化もされた「ARMS」と現在連載中の「ADAMAS」が、スプリガンの後を継ぐ作品と言えるんじゃないかなー、と思っています。なのでどっちかと言うと、私は原作担当のたかしげ宙よりも、作画担当の皆川亮二の方が好きなんでしょうね。原作と作画が違うマンガの場合、たいてい私は原作びいきだと自分では思っているだけに、めずらしい結果だと思っています。

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2009/12/28

ひなぎく純真女学園

Img552 ふくやまけいこ 著。月刊COMICリュウにて2006年より連載中、単行本2巻まで以下続刊。

 ひなぎく純真女学園高等部2年生の樫宮アミは、勉強も得意、運動も大好き、友人にも恵まれ、家も裕福という、すべてにおいて恵まれたお嬢様。およそ物事においてうまくいかなかったことなど一度も無く、それ故に悩みというものに縁の無かった彼女でしたが、ある朝校内でぶつかったジャージ姿の女生徒のことが気になってしかたなくなってしまいます。実はクラスメイトであったその女生徒、木成ユイとなんとか親しくなりたいと思うアミでしたが、何故か彼女に対してはまともな受け答えができず、ぶつかったお詫びにと持ってきてくれたおにぎりも、本当は欲しいのにいらないと答えてしまう始末。果たしてこの気持ちの行方、どうなってしまうのでしょうか……。

 そんな感じの、女子校を舞台としたストーリー4コマ。上記あらすじ後しばらくは樫宮さんと木成さんが徐々に仲良くなっていく過程を描いていますが、仲良くなってからは学園ライフ、という感じですね。そしてその学園ライフ部分が、読んでいて非常に楽しい作品です。樫宮さんはいわゆるツンデレの範疇に入るのかもしれませんが、ツンデレと言うよりは、単に好きな子の前では素直になれない、というタイプなだけですね。百合っぽい要素はありますが、少なくとも現時点では木成さんは樫宮さんの気持ちに気付いておらず、仲の良い友だち同士以上の関係ではないでしょう。おそらく今後関係は進展していくのだとは思いますが、そうなると連載が終わりに近づいてしまう気もするので、個人的にはずっとこの状態のまま、延々連載が続いてもいいんだけどなー、なんて思っています。

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2009/12/27

復活の地

Img551 原作・小川一水、作画・みずきたつ。月刊コミックフラッパーにて2009年より連載中、単行本1巻まで以下続刊。

 王紀440年5月44日夕刻、レンカ帝国の首都トレンカを、未曾有の大地震が襲う。建物は崩れ橋は落ち、国会がまさに開催中であったグノモン宮議事堂も崩壊。引き起こされた火災は旧市街を中心にまたたくまに広がり、メイポール祭の日でもあったため人で溢れかえっていたメインストリートは、阿鼻叫喚の地獄絵図と化してしまう。鉄道、道路、通信は断絶し、政府省庁をはじめとした行政機関も壊滅。かろうじて陸軍や天軍が独自の救助活動を始める中、総督が亡くなってしまったために臨時のジャルーダ総督となった帝国高等文官、セイオ・ランカベリーは、公僕としての矜持に従い、民を救うために動き出す……。

 そんな出だしの、災害パニックSF。ハヤカワ文庫JAから出版されている同名小説のコミカライズ作品です。原作者の小説がコミカライズされるのはこれが2作目なんですが、1作目の「第六大陸」に比べると、こちらはまずマンガとしてしっかりしています。そして忠実度度合いですが、こちらも第六大陸に比べると原作に忠実であり、変に凝って失敗したりはしていないので、原作を知っている人にならばこちらの方が受け入れられやすいでしょう。ただし、この場合の忠実度が高いというのは、マンガならではの表現が少ないということでもあり、なら原作を読めばいいんじゃないの? という風にも思えてしまうんですけどね。このあたりはコミカライズ作品が持つ難しさの一つであり、どう原作と違いを出すかは作者の腕の見せ所なんでしょうが、今のところは大きく冒険することもないので、失敗もしていない、という感じでしょうか。

 ストーリーはトレンカを大地震が襲い、そこからの復旧をとある志し高き官僚の視点で描く、というものなわけで、綿密に計算され、かつストイックな原作の展開は、読んでいて非常にひきこまれるものです。このコミカライズ版も現時点ではそれほど違いはなく、良く言えば原作に忠実、悪く言えばマンガである必然性が薄いわけですが、一つだけ大きな違いがあります。それは、物語のヒロインであるスミル内親王が、未だまともに出てきていないこと……。あれれ? 小説に対してマンガの一番のメリットは、当然絵があることなわけですが、なのに見た目にも映えるヒロインを出さないってどういうこと? 確かに時系列的には出番はまだ先なんですが、小説ではプロローグという扱いにして、一番最初に出番を持ってきているというのに……。最初にヒロインを出さないメリットがあるとは思えないんだけどなー。

 原作を知っている身としては、今作は現時点ではとりあえず読める、という感じでしょうか。ただ話は今後、人間関係がどんどん複雑になり、政権争いとかも出てくるので、そのあたりをどうマンガで表現するのかなー、というのが期待でもあり不安でもあります。あとはアレですね、小説とマンガは密度が違いますから、コミカライズする際には削れるエピソードは遠慮無く削る必要があると思うのですが、今作においてはそういうった削っている部分がまだあまり無いんですよね。なので、正直このペースだと、完結までにけっこうな時間がかかってしまうんじゃないかと思います。個人的にはそれでもいいんですが、でもマンガには途中打ち切りがありますし、やっぱり難しいんだろうなー。

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2009/12/26

HUNTER×HUNTER

Img545  冨樫義博 著。週刊少年ジャンプにて1998年より連載中、単行本27巻まで以下続刊。

 くじら島で叔母のミトと二人で暮らしていた少年、ゴン・フリークスは、知らずのうちに子連れのキツネグマの縄張りに入ってしまい、殺されそうになったところを、ハンター、カイトに助けてもらう。その場で、事故で死んだと聞かされていた父、ジンは存命であり、彼こそが世界最高のハンターだとカイトから聞かされたゴンは、それ以来、いつか父に会うために、ハンターになることを目指すようになっていた。そして3年後――12歳を間近に控えたゴンは、渋るミトとの約束であった沼の主をついに釣り上げ、ハンター試験を受けるために島を後にする。だが彼はまだ気付いていなかった。このハンター試験会場の街へ向かう船までもが、実は本予選前の予備予選なのであり、ハンター試験はすでに始まっているのだということを……!

 そんな出だしの、アドベンチャーバトル。ハンターとは国家を超越した資格で、1回の試験で数人しか合格しないような狭き門ですが、それがあればどこへ行ってもVIP扱いになり、ありとあらゆる便宜を図ってもらえるというものすごい資格です。ハンターになった後、何をするかはその人次第ですが、財宝ハンター、遺跡ハンター、幻獣ハンター、美食ハンター等、基本的には名前の通り、何かをハントする、という感じですね。世界公認のインディ・ジョーンズ、みたいなものと考えれば近いんじゃないかと思います。

 上記あらすじの頃はまだ知恵と勇気で戦うバトルマンガという感じだったんですが、ハンター試験編が終わったあとに念能力というオリジナルの超常能力が登場し、能力バトルにシフトしていきます。そして、それまでも十分面白かったのですが、この作品が本当に面白くなったのは、この念能力が出てからだと私は思っています。オリジナルの能力のため、作中にけっこうな頻度で設定の説明が入るんですが、それすら読んでいて面白いというのがすごいですよね。また、こういったオリジナル能力同士のバトルというのは、意図的な部分が丸見えになってしまいがちなわけですが、今作においてはそういうこともほとんど無く、これも作者の構成力の高さがあってこそなんじゃないかなー、なんて思っています。褒めすぎですか? 褒めすぎですね。でもしょうがないんです、だって面白いんだもん!

 ハンターハンターと言えば、休載がとにかく多いことでも有名であり、最近は10週(単行本1冊分)連載しては長期休載するという繰り返しで、漫画家としての態度的に問題にはなっています。確かに毎週きちんと描いている人と比べたらどうなの? という気持ちはわからないでもないですが、私はもう信者と言って差し支えないレベルですので、どんなスタイルでもいいから連載が続いてくれて、そして物語がきちんと完結してくれさえすればいい、と思っています。何年かかっても読み続けますから、ぜひよろしくお願いしますねー。

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2009/12/25

ゴーゴー♪ こちら私立華咲探偵事務所。

Img544 渡辺航 著。週刊コミックバンチにて2006年~07年にかけて連載、単行本全4巻完結。

 子供のころ、川で溺れたときに助けてくれたような、みんなが頼れる探偵になりたい。そう思い、街の小さな探偵事務所に就職した金田一耕太郎だったが、その私立華咲探偵事務所の所長、華咲サヤは、殺しのからんだ難事件や、誘拐された姫の奪還、超セレブ王子の護衛など、ハードでエキサイティングでモエモエな仕事以外はやりたくないから断ってしまうという、選り好みしすぎの探偵だった。おかげで仕事はめったに無く、なんと事務所の家賃の支払いにさえ困っているという始末。理想と現実のギャップに悩む小金田一だったが、なんとそこに銀行の取り立てが現れ、一向に借金を返そうとしないサヤを筆頭に、小金田一を除く所員全員が捕まってしまう……。

 そんな出だしの、ドタバタ探偵コメディー。あくまでコメディーが主体であり、探偵っぽいこともしていますが、探偵マンガとしての整合性とかは期待して読んではいけません。作者の作品は主人公がトロかったり内気だったりと、自然テンポが遅くなるものが多いと思うのですが、今作は小金田一くんの視点で話が進み、かつサヤさんは面倒くさがり屋ではありますがトロくはないので、作者の作品にしては珍しくテンポのいいかけあいが楽しめるようになっています。とは言っても、サブヒロインのしおりちゃんという非常にトロくて内気な子もしっかり出てきますので、作者はそもそもこういうタイプのキャラが好きなんでしょうね。え、私ですか? もちろん好きですとも!(聞いてない

 サヤさんを筆頭としたキャラが良く、ラスト近辺の展開も衝撃的で、ドタバタコメディとしては十分面白かったとは思うのですが……残念ながら一年持たずに打ち切られてしまいました。その理由としては、一部展開に無理があったからなんじゃないかなー、と思っています。一応探偵物なんですから、ある程度展開にリアリティを持たせるべきだと思うんですよね。しかし全編にわたって何度も使われたロボットネタは、ちょっと(かなり)雰囲気を別方向にねじ曲げてしまっていたように思えました。また、いきなり掲載されていた番外編のような宇宙刑事ネタは、一体なんだったんでしょう。私は単行本でしか読んでないのですが、雑誌で読んでいれば、何かしらの説明があったんでしょうか……? 「制服ぬいだら♪」のノリをそのまま持ってきてしまい、失敗した、というのが一番しっくりくるような感じでした。

 作者は現在週刊少年チャンピオンで連載中の「弱虫ペダル」でついにブレイクした、という感じではありますが、個人的には今作のようなドタバタコメディーの方が合ってると思うんですよね。というかもしかしたら、総合的には私はこの華咲が一番好きかもしれません。最終巻後書きに、評判良かったら2の可能性も、なんてことも書いてあるので、その日がくるのを気長に待ちたいと思っています。

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2009/12/24

サイボーグ009

Img543 石ノ森章太郎 著。週刊少年キングにて1964年連載開始、その後週刊少年マガジン、月刊少年ジャンプ、週刊少年サンデー等掲載誌をいくつも渡り歩き、1985年まで断続的に掲載。画像は文庫版全23巻。

 時はアメリカ、ソビエトによる東西冷戦のまっただ中、両国による宇宙開発競争は激化の一途をたどり、戦争は新たな地へ場所を移そうとしていた。そこに目を付けた秘密組織、黒い幽霊団(ブラック・ゴースト)は、未来戦計画を発動。それは、宇宙空間等の過酷な状況下でも自由に動き回れるサイボーグ兵士を開発し、各国に売りつける、というものであった。混血の日本人、島村ジョーは、少年院から脱獄したところをブラック・ゴーストにさらわれ、9体目の試作型サイボーグ、009に改造されてしまう。だが改造直後の機能テストを終えたところで、突如001から008までの8人と、彼らを改造したアルザック・ギルモア博士がブラック・ゴーストに対して反旗を翻す。当初は優れた未来の人間をつくるためと言われて協力していたギルモア博士は、未来戦計画の実体を知ってしまい、これ以上荷担はできないと逃げ出すことにしたのだ。ジョーを加えた一行は一時は脱出に成功するが、すぐにブラック・ゴーストの追っ手が現れ、彼らは休むことなく戦いを余儀なくされる。ブラック・ゴーストから本当に逃げ出すためには、奴らの基地を破壊し首領を殺すしかない。そう考えた009たちは、自らの自由を勝ち取るため、ブラック・ゴーストの基地へと潜入する……。

 そんな出だしの、近未来SFアクション。改めて説明するまでもないようなタイトルであり、そのキャラクターは多くの人が知っていることでしょう。発表された時、場所によって設定がけっこう違うらしく、上記あらすじは少年キング版の「誕生編」のもの。009のイメージって、単に悪の組織と戦う、というものだったんですが、初めてこの誕生編を読んだときは、ちゃんとそこに至るまでの過程が描かれていたんだなー、と感心したものでした。というか正直初めて読んだ子供の頃は、サイボーグという見た目の派手さに目を奪われて、その本質であった暗いテーマが理解できていませんでしたね。望まず人間離れした能力を身につけてしまった彼らが、誰に頼まれたわけでもなく、その能力を活かした戦いに身を投じていく。明朗快活なわかりやすいヒーローを否定するわけではありませんが、やはり個人的には、こういった陰のあるヒーローのほうが人間くさくてかっこいいなー、と思ってしまいます。まーでもそう思うのは、年を重ねたせいもあるんでしょうけどねー。

 構想ではこの作品には神との戦いを描く最終章があったらしいのですが、作者の死によって、永遠の未完となってしまいました。確かにストーリーには、神話や古代文明をモチーフにしたものが多く、いずれそういう展開になっていたとしても、きっと驚きはしなかったことでしょう。すべてを描ききって死ぬ、なんて都合のいいことはそうそうできることではないでしょうし、仕方のないことなんでしょうが、でもやっぱりその最終章は、読んでみたかったですね。

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2009/12/23

あさぎちゃんクライシス!

Img542 弓長九天 著。まんがタイムラブリーにて2005年より連載中、単行本2巻まで以下続刊。

 中学3年生の支倉あさぎの家庭教師、河野一郎は、ちょっとヘンな大学生。趣味はツボ押しや鍼といった東洋医学で、あさぎが腰が痛いとか目がかすむとか疲れたとかやる気出ないとか言うたび、その知識と技能をいかんなく発揮し、あさぎの身体の各所を刺激しまくります。一歩間違えなくてもセクハラレベルの行動ですが、本人は親切心から行っているのであり、実際近所のお年寄りたちには非常に好評であるため、あさぎもあまり本気では怒れません。また家庭教師としても、まともな勉強も教えてくれて成績自体は上がりましたが、豊富な雑学知識のせいですぐ話が突飛な方向に脱線したり、行動が読めなかったり神出鬼没だったりと、こちらでもあさぎは振り回されっぱなし。あさぎの母やクラスメイト、河野の友人たちも巻き込んで、今日もちょっと(かなり?)変な家庭教師の時間、はじまります!

 そんな感じの、家庭教師コメディー4コマ。実質的には勉強ネタが多い日常コメディーだと思いますが、中学生から大学生という広い年齢層で日常コメディーをやろうとした場合、家庭教師というネタはポピュラーではありますが違和感なく使えていいですね。主人公は心情がよく描かれるあさぎちゃんで間違いはないとは思いますが、ネタ的には河野先生がいなければ成り立たないものがほとんどなので、主人公は河野先生とあさぎちゃんの2人体制と言っていいんじゃないかと思います。二人とも……というか、登場人物全員が多かれ少なかれ天然で、彼ら彼女らのボケとボケとボケとあとたまにツッコミが楽しい作品。前作「さゆリン」と同様、独自の空気を持った作品なわけですが、これはもう作者のセンスの勝利と言っていいような気がします。

 あとこの作品、単行本にも書いてありますが、元々は1999年から1年くらい連載した同名作品の、リメイク? なんだだそうですね。ぜひその当時の原稿も読んでみたいですが、掲載誌を今から手に入れるのは無理でしょうから、いつか単行本化されるのを気長に待ちたいと思います。

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