2009/10/13

一番湯のカナタ

Img472 椎名高志 著。週刊少年サンデーにて2002年連載、単行本全3巻完結。

 この銭湯は絶対に潰さない……! 子供の頃に固くそう誓った星乃湯の跡取り息子、星野涼。彼が今日も高校をサボって開店前の掃除をしていると、突然湯船に複数の人影が現れ、次の瞬間爆発。それに巻き込まれた涼は致命傷を負ってしまうが、実は湯船に現れたのは、オーバーテクノロジーを持った宇宙人の一行であった。トルマン王家の王子だという少年、カナタとその姉ユウリ、そして2人のお供であるタコのような生き物に助けられた涼だったが、実はカナタとユウリの星は家老のクーデターにより制圧されてしまい、2人は命からがらこの辺境の星へ逃げ出してきたのだという。壊れた銭湯をあっというまに直してしまったり、別の宇宙人も現れたりしたことで、涼も最終的にはカナタたちの話を信じ、父の提言もあって彼らを友だちとして家に住まわせることにする。ところが王家の者であるカナタと友になるということは、カナタの王家と軍事、経済における同盟を締結し、いわば運命共同体になるのだということを、涼は後から知るのであった……。

 そんな出だしのSFコメディー。ストーリーは最終的には母星に帰って家老を倒す、という感じになるのでしょうが、そのためにまずはカナタのガード・ロイヤルという試練を達成する、という感じで推移していきます。達成するためには、地球の平和を守ってポイントを貯めなければならないのですが、この地球の平和を守るの意味が非常に広義であるため、いろんなネタを使えるという、うまい設定だと思いました。ところがそういった広げた設定はほとんど活かすことができないまま、残念ながら打ち切り終了。最終回は最終回という感じの終わり方では全くなく、フツーに次週も載っていそうな感じの終わり方だったのですが、無理にふろしきを畳むつもりなんか無い、という作者のせめてもの抵抗だったのかなー、と思っています。

 サンデー本誌で人気が取れなかった理由ですが、私が考えるに、主人公カナタの性格付けが一番大きかったんじゃないかなー、と思っています。思考も幼く、覇気もあまり無く、他人に頼りがちというカナタの性格は、感情移入する対象としてはあまり好ましくないでしょう。逆に、この物語を実質仕切っている涼の性格付けは、主人公としてまったく問題ないものでした。おそらく作者は、カナタ+涼でダブル主人公という形にしているんでしょうが、それならばもっとはっきりと、涼を主人公にすべきだったんじゃないのかなー。あとはアレですね、カナタが王子じゃなくて可愛い女の子とかだったりしたら、もっと違ったのかも……(だいなし

 と言いつつ、カナタを王女にして一行で一番偉い人にしてしまう、というのはそんなに的を外してないかもですね。涼はナイト的立場に収まれるし、それ以外は特に変える必要も無いし、読者も喜ぶし万々歳な気がします(だまれ

 設定に関してはそのくらいにしてストーリー部分ですが、打ち切られるほどつまらないとは私は思っていませんでした。特に単行本でまとめて読むと、構成がしっかししてるのがよくわかって面白かったです。抜群に面白いわけではないけれど、少しずつ物語が収束地点に向けて積み重なっていくのが読んでいて面白い、そんな感じの作品と言えるでしょう。でも、続いてれば相当面白い作品になったと思うんだけどなー、というのは、やっぱり言っちゃいけないんですかねー。

| | コメント (0)

2009/10/11

いきばた主夫ランブル

Img470 星里もちる 著。ヤングキャプテンにて1988年連載開始、同誌休刊後月刊少年キャプテンに移り、1989年完結。単行本全1巻。

 会社は倒産し、社長は金を持って逃げてしまった。メカが得意なアニメーターの工藤直人は、泊まり込みの仕事中にそう言われてしまう。幸いにも同棲している新人少女漫画家、信崎千秋の収入で当面の生活費はなんとかなりそうだったが、部屋は汚れ放題で食事も満足に取っていないという彼女のために、直人はとりあえず部屋を片づけ、ヤキソバをつくろうとする。だがニンジンの皮は剥かない、麺は湯通ししないというやり方を、知り合ったばかりの隣室の高桐に見咎められるのだが、直人は彼の手際いい家事のこなし方よりも、彼が誇りを持って専業主夫をこなしている、という生き方の方に衝撃を受けるのだった。やがて直人は、忙しい千秋の代わりに炊事洗濯をこなしていくうちに、自身が家事好きだということに気づきはじめるが、女に働かせて自分は専業主夫をやるという関係が、プライドと世間体も邪魔をして、どうしても認められないでいた……。

 そんな出だしの、ホームコメディ。発表されたのがもう20年も前なので、設定に関しては古くささは否めませんが、昔のマンガだと思いながら読む分には文句なく面白い作品です。ストーリーは上記あらすじ通りに、直人が悩みながらも主夫業を続けていく、という感じで、それ以上でも以下でもありませんが、ラストの締め方も満足がいくレベル。掲載誌が休刊ということで連載継続もきっと大変だったんでしょうが、きちんと完結してよかったと思える、良い作品でした。

 作者と言えばおそらく代表作は、出世作でもあるビッグコミックスピリッツ連載の「りびんぐゲーム」だとは思いますが、それ以前に描かれた徳間書店での作品が、どれもこれも本当に面白いんですよねー。漫画の山の中から発掘するのが大変なのですが、見つかったらそれらの感想も書きたいなー、と思っています。

| | コメント (0)

2009/09/29

1ねん3くみ桃ちゃん先生

Img457 ひな。 著。月刊少年エースにて2000年~01年にかけて連載、単行本全1巻完結。

 本日晴れて高校生となった栗本くん、期待に胸をときめかせながら校門をくぐると、そこには何故か幼稚園くらいの女の子が1人。こら、ここは高校だぞ。そう言いながら女の子を捕まえる栗本くんでしたが、なんと周りの先生や生徒たちは、皆そろって女の子に向かって「桃原先生」と朝の挨拶をしているのです。ちょうどそこに現れた、栗本くんの片思いの相手、柿崎さんまで、桃原先生、美人だもんね、なんて言う始末。もしかして、僕以外には普通に見えてるってことなのか? だけど何度目をこすってみても、栗本くんの担任となった桃原先生は、段ボールを足場に教壇に昇って授業をするという、幼稚園児にしか見えない先生なのでした……。

 そんな出だしの、1ページギャグ。2:8くらいの比率でラブコメ要素もあります。子供が先生、というネタは古今東西色々あるわけですが、その中の1パターンと言えるでしょう。栗本くんからすれば、桃原先生=桃ちゃん先生は見た目も言動も幼稚園児であり、ほっておけなくてついついかまってしまうのですが、栗本くん以外にはちゃんと大人に見えているらしく、あらぬ噂を色々立てられてしまう、というのが序盤の展開。だけど徐々にその設定は有名無実化していき、中盤以降は単なる幼稚園児先生に振り回される栗本くん、という感じになっていきます。とは言ってもやってることは変わらないので、読んでいる分には全然気になりませんけどね。主人公にだけはそう見えているんであって、実際には違う、という設定を逆手に取った、うまいロリコンマンガだと思いました(だいなし

 今回久しぶりに、「ちまちまぱぺっと」や「ぎょ!っとパライダイス」等の作者の古い作品をまとめて読んだのですが、一番面白かったのがこれでした。作者との出会いはもう覚えていないのですが、この作品が面白かったので他の作品も買った、ということかなー、と都合良く考えています。作者は一時期連載の空白期間があり、ちょっと不安な部分もあったのですが、現在は作風もほとんど変わることなく2作品を連載中と、ほっと一息です。今後とも読み続けますよー。

| | コメント (0)

2009/09/26

いいひと。

Img454 高橋しん 著。ビッグコミックスピリッツにて1993年~98年にかけて連載、単行本全26巻完結。

 自分の周りの人たちを幸せにしたい。その夢の実現のために、スポーツブランド最大手のライテックスを第一志望とした就職活動を行っている彼の名は、北野優二。ところが彼は、大事な面接の当日に、迷子の女の子のお母さんを一緒に捜したために飛行機に乗り遅れ、電車に乗り損ねそうになっていたお婆さんを助けたために自身がドアに挟まれ、急いでいる人にタクシーの順を譲ったために渋滞に巻き込まれ、会社の前でコンタクトにゴミが入って泣いている人を助けたために結局面接に遅刻してしまうという、これ以上ないくらいのいいひとだったのです……。

 そんな設定の、ヒューマンドラマ。主人公ゆーじは仕事ができるわけでも、頭が回るわけでもないのですが、とにかく性格がいいひとであり、彼に関わった人たちが皆それによって良い方に変わっていく、という感じの作品です。作品の性質上、展開は必ず良い方に良い方に転ぶわけで、ご都合主義過ぎると言える部分は多々あるのでしょうが、エンターテインメント作品としてはむしろこうすべきでしょうし、問題は無いのでしょう。自分の信念に基づいて努力している人が報われる世界、というのは読んでいて気持ちがいいものですしね。あとごく初期を除き、1シリーズが長めの展開ばかりなのですが、そのシリーズ終盤は常に気持ちよく読むことが出来るという、プロットが綿密な作品だなー、とも思いました。主人公ゆーじの変わらない信念と、彼が関係することで変わっていく世界というのが、読んでいて非常に心地良い作品でした。面白かったです。

 私的な作者の代表作は本作ですが、世間的にはこの後同誌で発表した、「最終兵器彼女」の方が有名なのかなー。そしてその後週刊少年サンデーで発表した「きみのカケラ」は、本誌では連載がとっくに終わっている(中断?)というのに、今度最新7巻が出るそうです。事情が色々あるんだろうなぁ……と余計なことを考えてはしましますが、作品が出続けることはいいことですし、これからも読み続けたいと思っています。

| | コメント (0)

2009/07/24

委員長お手をどうぞ

Img388 山名沢湖 著。COMIC HIGHにて2004年連載開始、同誌休刊に伴い一時中断し、2005年のコミックハイ!創刊に伴い再開、その後完結。単行本全2巻。

 保健委員長、風紀委員長、図書委員長、etc……。そして、各クラスに戻った彼ら、彼女らをまとめる、学級委員長。学校には、クラスの数+委員会の数だけ、委員長がいるんです。好きで委員長になった人は、使命感に燃えているかもしれませんが、理想と現実のギャップに苦しんでいるかもしれません。押しつけられて委員長になった人は、やっぱり嫌々委員長を続けているかもしれませんし、なってみたら意外に楽しんでできているかもしれません。そんな彼ら、彼女らの、ほのぼの委員長ストーリー。

 主人公が何かしらの委員長である、という条件下でのオムニバスストーリー。舞台は共通したとある一高校で、最終話のみそれまでの委員長がオールスターでそろいぶみです。タイトルの語呂はとてもいいのですが、これ、主人公を委員長に限定してしまっているせいで、話作りは非常に難しいと思うんですよね。しかもどの話もほのぼの(時にラブコメ付き)なので、さらにネタは限定されてしまいます(まぁこれは作者の性格上、ほのぼの以外にしろと言われる方がきついんでしょうが)。そんな一見厳しい条件下での短編集ですが、どれもとてもほのぼのしていて、かつ読後感もいいという、素晴らしい作品です。褒めすぎ?

 作者の作品はどれもこれもこんな感じでどれもこれも好きですが、一番はやはり同誌で去年まで連載されていた「つぶらら」でしょう。最終回まで読めて、幸せな作品でした。現在は芳文社での不定期連載だけのようですが、またコミックハイに戻ってきてくれる日を、楽しみに待っています。……と言いつつ、コミックハイのカラーには微妙に合ってないとは思いますけどね。つぶららも正直言って、扱いは不遇だったと思いますし。

| | コメント (0)

2009/05/08

いぬまるだしっ

Img311 大石浩二 著。週刊少年ジャンプにて2008年より連載中、単行本1巻まで以下続刊。

 またたび幼稚園の新任教師、山田たまこ。期待に胸をときめかせた初の出勤日、送迎バスの中では園児たちを相手に、予習してきたポケモンやプリキュアやきら☆レボの話題でうまく盛り上がります。そして最後の園児が待つ場所へ行くと、そこでたまこ先生を待っていたのは、なんと常に下半身まるだしの、いぬまるくんという園児だったのです……。4歳という年齢に似合わないませた発言や大人が使うようなネタ、シュールで時にするどいボケとツッコミをかねそろえたいぬまるくんに対し、たまこ先生もいつのまにか、下半身まるだしという事実を無意識のうちに受け入れていってしまうのでした。

 幼稚園児ショートギャグ。ジャンプのショートギャグというとネタが下品な方向に転がるというイメージがあるのですが、意外や意外、下半身まるだしという以外は、そんなに下品なネタはありません。下半身まるだしも、アホ毛みたいな一種の特徴レベルの扱いだと思いますし。ギャグとしては時事ネタ、芸能ネタの比率が比較的多く、それに繰り返しを多用したりする感じでしょうか。ギャグマンガはネタを受け入れられるかどうかが勝負なわけですが、幼稚園児がシュールなネタを言う、というギャップも手伝って、私はそこそこ面白く読めています。ちなみに一番笑ったのは、同じくジャンプで連載中の「バクマン」の台詞「僕が嫌いなマンガを一つ終わらせる権限をください」をネタにした回。本誌でバクマンとこの作品を両方読んでないと笑えないネタだとは思いますが、もう最高に笑いました。正直、このネタがあったから単行本を買う決意をした、というのはあります。

 作者はこの前作が、同じくジャンプで連載していた「メドン・ド・ペンギン」というオムニバスギャグ。キャラを多数立てて並列でネタをつくっていくという古いタイプのギャグマンガでしたが、つまらないわけじゃないけど特別面白くもない、という印象でした。それにたいしてこの作品は、いぬまるくん+たまこ先生という主人公をきちんとたてているわけですが、やはりこの2人のキャラの勝利なんでしょうね。あとはいかにネタを続けられるかだと思います。ピューと吹くジャガーという看板作品がある以上、ジャンプでショートギャグを長期連載するのは難しいとは思いますが、がんばってほしいです。

| | コメント (0)

2009/04/13

1ポンドの福音

Img283 高橋留美子 著。週刊ヤングサンデーにて1987年~2006年にかけて不定期掲載、単行本全4巻完結。

 減量が苦手というか理性で食欲を抑えることがまったくできないプロボクサー、畑中耕作。デビュー戦は1ラウンドKO勝ちしたものの、続く4試合をことごとく減量失敗のあげくKO負けした耕作だったが、今日もロードワークの合間に好きな物を食べていた。そんな耕作のよく行く場所は、近くの教会の懺悔室。そこで一昨日は何を食べてしまった、昨日は何を食べてしまったと許しを請うのだが、本当の目的は片思いしているシスターアンジェラに会うことだった。だが、ふとしたことから耕作が減量しなければならないのに飲み食いをしていることがアンジェラにバレてしまい、あなたはどういうつもりで懺悔に来ているのかと問いつめられる。耕作はアンジェラが好きだったからと正直に告白し、とまどうアンジェラにキスをするが、頬を打たれたあげくに根性無しとののしられてしまう。俺は根性無しじゃないと奮起する耕作であったが、その勢いのまま、屋台のラーメン屋に向かってしまうのであった……。

 ボクシング(減量)をテーマとしたラブコメディ。耕作の理想のボクシングは、腹一杯食って力一杯やる、というものなので、減量そのものが不要だと思ってるんですよね。だから減量にもなかなか本気になれない、と。1巻後半のエピソードで実際にその条件で試合を行うんですが、いざやってみるとそれだと身体が思うように動かないことを痛感し、それ以降は減量失敗で敗けると言うことは無くなります。通して読めばここまでわかるとは思うのですが、1巻だけだと耕作は本当に口先ばかりの根性無しなので、好き嫌いの分かれるところでしょうね。

 この作品は、足かけ20年かけて完結したという特異な作品なわけですが、てっきりはっきりした最終回は用意しないものだと思っていました。なので、数年ぶりに再開して完結したときには、嬉しいと同時に驚いたものでした。世に数多ある、なし崩し的に終わっている作品も、みんなこうやってちゃんと最終回を描いてくれるといいんだけどなー。まぁ、高橋留美子だからこそ、こうやって描かせてもらえる、というのもあるんでしょうが……。

 その高橋留美子ですが、もう現在のマンガ界の大御所の1人ですよね。「うる星やつら」「めぞん一刻」「らんま1/2」「犬夜叉」と、描けばなんでも大ヒット。そろそろまた週刊少年サンデーで新連載もはじまるようですし、まだまだ描き続けてくれることなんでしょう。これからも読み続けたいと思っています。ただ個人的には、めぞん一刻やこの1ポンドの福音のような、青年向けの連載をまたやってほしいなー、と思っています。

| | コメント (0)

2009/03/07

いでじゅう!

Miz1

 モリタイシ 著。週刊少年サンデーにて2002年~05年にかけて連載、単行本全13巻完結。

 かつては強豪だった県立伊出高等学校柔道部の新部長は、1年生の林田亀太郎。2年生部員がいないため大役を引き受けることになった林田だったが、部長就任と同時に半ば騙されて入部させられていた1年生の約半数が辞めてしまい、残った部員も基本的には善良だが度を越えたスケベだったり変態だったりと前途は多難。だがそんなペース握られっぱなしの中、林田が密かにあこがれていた同級生、森桃里がマネージャーとして入部することとなり、林田のテンションも大幅アップ。このようにして伊出高柔道部のわりとどうでもいい物語は、始まりを告げたのであった。

 スポーツ物と見せかけて柔道は単なる手段であるラブコメディ。登場人物に一般人が少なく、みんなどこかしら変なのですが、やってることは王道であり、そのギャップが笑えて楽しい作品でした。また全13巻、作中で2年という期間で、林田と森さんが出会って付き合うようになる過程が丁寧に描かれており、恋愛物としても良く描かれた作品だと思います。面白かったです。

 作者はその後、「RANGEMAN」という変身ヒーローラブコメを同誌にて連載、完結済み。やりたいことはなんとなくわかるんだけど、ちょっと変にひねりすぎでイマイチだったなー、というのが私の感想でした。変にひねらなくていいので、また王道の作品が読みたいなー、と思います。

| | コメント (0)

2009/02/01

一撃殺虫!! ホイホイさん

Img189 田中久仁彦 著。コミック電撃大王にて2001年~04年にかけて連載、全1巻完結。現在は電撃黒「マ)王にて続編「一撃殺虫!! ホイホイさんLEGACY」を連載中。

 西暦20××年、害虫たちは全ての駆除剤を克服していた。事態を重くみたマーズ製薬は、従来の駆除剤に変わる超小型害虫駆除ロボットの開発に成功。インターセプタードール「一撃殺虫ホイホイさん」(税込29800円)の誕生だった。物理的に害虫を駆除するホイホイさんはその能力を遺憾なく発揮し、対害虫戦において多大なる戦果を挙げる。だがそれらの能力とは別に、ホイホイさんはそのかわいらしい容姿とカスタマイズ自由度の高さから、別の人気も獲得していた。後発の「殲滅指令コンバットさん」や「殺陣烈風ペストXさん」なども登場し、インターセプタードール界は今、風雲急を告げる!

 殺虫ロボのホイホイさんと、そのグッズに際限なくお金をつぎ込んでいく社会人、油壺くんの繰り広げるショートギャグラブコメ。基本1Pですが、たまーに数ページになります。害虫(主にゴキブリ)を倒すシーンが大量に出てくるので、食事中に読んではいけません。私が一番好きな話は、リモートホイホイさんの話ですね。PCと無線で接続してホイホイさんに直接指示したり画面にホイホイさんの視界を表示したりできるのですが、駆除中の画面は阿鼻叫喚の地獄絵図……。

 作者の田中久仁彦は、マンガよりも小説の挿絵やゲームのキャラデザの方が有名ですね。しかしこのホイホイさんは基本1Pとはいえマンガとしてちゃんとできていますし、ぜひフツーの連載マンガも読んでみたいです。

| | コメント (0)

2009/01/14

いばらの王

Img165_2 岩原裕二 著。月刊コミックビームにて2002年~2005年にかけて連載、全6巻完結。

 突如地上を襲った奇病、メデューサ。感染すると6週間で発症し、内蔵から皮膚にいたるまで全体組織が硬質化、6時間後には石になってしまうというこの病気に対し、人類は中世の古城をコールドスリープカプセルセンターに改装、カプセルをたった160個用意し、未来へ託す以外の方法を持ち得なかった。双子の姉妹、カスミとシズクは、二人でコールドスリープカプセルに応募するも、カスミだけが当選。シズクに説得され、カスミだけが未来へ向かうこととなる。

 そして、どれだけの時が経ったのだろう。目を覚ましたカスミが最初に眼にしたのは、コールドスリープカプセルが置かれた広間を覆い尽くさんばかりのいばらと、襲いかかるコウモリのような怪物だった。時を同じくして目覚めた何十人もの人間たちは、我先にとエレベーターホールへと逃げ出すが、そこには太古の恐竜を思わせる怪物が、動く物を捕食しようと待ちかまえていた。カスミを含めた7人がかろうじて生き延びるが、それは城を徘徊する怪物と、奇病メデューサの発症という、二つの恐怖の始まりであった。

 怪物からの逃走、ひいては古城からの脱出を目指すサバイバルホラーで、序盤はとにかく怪物から逃げるだけ。メデューサは最長でも6週間で発症してしまうため、逃げているだけでは結局は助からないという出口の無い状態。途中までは十分面白く、ラストはわりと衝撃の展開ではあったのですが、個人的にはやや尻すぼみかなー、と思ってしまいました。絵柄は線が太くベタを効果的に使った濃厚な感じで、この作品には非常にマッチしていたと思います。

 作者はもともとはアフタヌーン出身で、いくつかの出版社を渡り歩き、「地球美紗樹」「学園創世猫天!」などの完結済みオリジナル作品がありますが、私個人は「クーデルカ」というゲームの後日談をマンガにした同名作品が一番好きでした。初期読み切りを集めた短編集「狼の血」も良かったです。どちらかと言うと初期の方が面白かったと思うので、また初心に帰った感じの作品を発表してくれないかなー、と思っています。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

| | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | 単行本感想 | あさりよしとお | あずまきよひこ | いけだたかし | かがみふみを | こうの史代 | そにしけんじ | たがみよしひさ | ちばあきお | ひな。 | ふくやまけいこ | まるのすけ | みさき速 | むんこ | ゆうきまさみ | モリタイシ | 井原裕士 | 佐野妙 | 入江紀子 | 八木教広 | 叶恭弘 | 吉崎観音 | 和月伸宏 | 大井昌和 | 天野こずえ | 宇仁田ゆみ | 宮原るり | 小川一水 | 小池恵子 | 山口舞子 | 山名沢湖 | 山東ユカ | 岡崎二郎 | 岩原裕二 | 島本和彦 | 幸村誠 | 弓長九天 | 志村貴子 | 手塚治虫 | 施川ユウキ | 日本橋ヨヲコ | 星里もちる | 暁月あきら | 曙はる | 木尾士目 | 東屋めめ | 東村アキコ | 板垣恵介 | 林家志弦 | 栗橋伸祐 | 桂明日香 | 桜場コハル | 森薫 | 椎名高志 | 氏家卜全 | 水上悟志 | 渡辺航 | 湖西晶 | 皆川亮二 | 矢上裕 | 祥人 | 秋月りす | 竹内元紀 | 紫堂恭子 | 細野不二彦 | 緋采俊樹 | 羽海野チカ | 能田達規 | 芳崎せいむ | 荻野眞弓 | 藤田和日郎 | 西尾維新 | 近藤るるる | 重野なおき | 野広実由 | 金田一蓮十郎 | 長谷川裕一 | 雷句誠 | 青山広美 | 高橋留美子 | CLAMP | OYSTER | kashmir | アニメ・コミック | 日記・コラム・つぶやき | 読み切り