2009/12/22

宇宙のSPARROW

Img541 高橋一郎 著。週刊少年ジャンプ2010年03、04合併号掲載読切。

 日頃から目立ちたくないと思っている高校2年生、椿龍太は、ある朝車にはねられて一度死んでしまい、車を運転していた宇宙人、スパロウの命をもらうことで生き返る。ところがその副作用か、彼は軽く力を加えるだけでどんなものでも壊すことができるような、怪力を手に入れてしまっていた。もしバレれば、クラスで完全に浮いた存在になってしまう。そう危惧する椿だったが、そこにスズメに魂が乗り移ったスパロウが現れ、彼が椿に接触している限り、そのスーパーパワーは抑えることができると言う。こうして怪力に関しては事なきを得た椿だったが、今度は四六時中スズメを肩や頭に乗せていなければならず、結局目立ってしまうことに変わりはないのだった。もう変人のレッテルを覆すことはできない。そう嘆く椿に対し、それならスーパーパワーを活かしてヒーローにでもなったらどうだ? とスパロウは提案するだったが……。

 そんな出だしの、ヒーローコメディ、でいいのかなー。いきなり不満点を挙げますが、ちょっと違和感があるというか、筋が通ってないように見えてしまいました。中盤以降で明確にされる椿の願いは「変人としてクラスで浮いた存在になりたくない」というものなわけなんですが、それって序盤の「目立ちたくない」とはそのままイコールじゃないですよね。だって目立ったら必ず変人になるわけじゃないし。ストーリーのキモは、他者にいくら変人と言われようと、物事の本質には関係が無い、と椿が気付く部分なわけであり、それはまったく問題ないのですが、その結論に持っていくなら、伏線として序盤に学級代表のエピソードのような、もっと強いエピソードを入れておくべきだったと思います。単に目立ちたくないと言っているだけでは、少なくとも私には、伏線になっているようには見えませんでした。

 それ以外は、目立ちたくないのにスズメをいつも連れていなければならないとか、スズメを離すと怪力が使えるようになるとか、設定としては悪くないと思います。というかストーリーだって、終盤のシリアスとコメディーの入り交じった展開はそれなりのレベルだとは思うのですが、上記のような違和感をずっと持ちながら読み続けることになってしまうせいで、今一歩楽しめなかった、というのが正直なところでしょうか。序盤の違和感が全てをだいなしにしてしまった、非常に惜しい作品だったんじゃないかと思います。

 調べるまでまったく気付きませんでしたが、作者は「バレーボール使い 郷田豪」の作者だったんですね。スポーツマンガではなくちょっとシュールなギャグマンガという感じで、展開が予想できなくて見た目よりは面白かったなー、という記憶は残っています。この読み切りも十分連載に耐えうるつくりだとは思いますが、個人的にはあまりコメディー寄りにせずに、ストーリー重視の作品の方がいいんじゃないかなー、なんて思うのですがどうでしょうか。

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2009/11/28

宇宙家族カールビンソン

Img513 あさりよしとお 著。プチアップルパイにて1984年連載開始。85年に少年キャプテンでも連載開始に伴い、プチアップルパイ版は「元祖宇宙家族カールビンソン」と改題するも、同誌休刊に伴い未完のまま終了、単行本全1巻。少年キャプテン版は連載を続けるが、これまた同誌休刊に伴い未完のまま終了、単行本全13巻。その後アフタヌーンにて1999年に仕切り直しで連載開始、現在は中断中、単行本1巻まで。画像は少年キャプテン版第13巻。

 星から星を渡り歩く旅芸人の一座が、宇宙の辺境で起こした接触事故の相手は、未知の文明圏の宇宙船だった。破片をまき散らしながら墜落していった宇宙船を救助すべく、一座は惑星アニカへと降り立つが、生存者はたった一人、赤ん坊の女の子だけ。宇宙船のデータベースも破損してしまっていたため、女の子を母星へ送り届けることすら叶わなかった一座は、いつか誰かが捜しにくるまで女の子の親代わりとなって、この星で待つことを決意する。「わたしたちは芸人だよ! できないものか! この子の親を演じてやるんだ!」 こうして一人の女の子のための、一座あげての大芝居が、幕を開けたのであった……。

 そんな出だしの、(疑似)家族コメディー。物語は上記あらすじから4年後、生き残った女の子、コロナちゃんがある程度大きくなったところから始まります。惑星アニカは原住生物はいるものの町などは無く、一座はコロナちゃんを可能な限り母星の習慣に沿って育てるため、学校、警察、商店等を備えた町までつくりだすわけなんですが、登場人物たちが皆どこかしらおかしいため、演じるべき日常もかなりおかしくなってしまっている、という感じのコメディー作品です。基本的な軸は2つあり、作られた世界という部分に触れる話と、単なるご町内コメディーの話とがあるわけですが、その比率は下手をすると1:9くらい? コロナちゃんの母星絡みの話は、ほとんど進んでませんしね。SF的な設定と日常コメディーがうまくかみあった、非常に楽しい作品でした。

 さてこの作品、一番最初にも書いた通り、経歴が非常に複雑だったりします。私は上記のように認識していますが、間違っている可能性もあることをご承知ください。アフタヌーンでは現在中断中らしいのですが、そのアフタヌーンで連載していた「るくるく」は完結しましたし、現在は果たして再開するのかしないのか、という感じでしょうか。正直他誌(少年キャプテン)で10年以上連載した作品を、また仕切り直して再連載、というのは、モチベーションが果たして保てるんだろうか? という気はします。ただおとうさんの謎等、解明されていない部分も多々ありますので、いつか再開してほしいなー、とは思っていますけどね。

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2009/11/23

うちは寿!

Img508 小池恵子 著。月刊まんがくらぶにて2006年より連載中、単行本2巻まで以下続刊。

 寿家はその名の通りのおめでたい一家。長女にして一家の大黒柱でもある万里は、仕事はできるが家ではグータラ脳天気という32歳。次女で一家の炊事洗濯をこなす女子高生、美鶴は良く言えばクールだがマニアックで年寄り臭い面も。早く大人になりたい小学生の長男、千宏の趣味はそんな家族の観察日記。そして3人の孫に囲まれる祖母のかめは、若いイケメンとの再婚を夢見る気持ちは乙女の80歳。さぁ今日もそんな寿一家の、おめでたい日常のスタートです!

 そんな感じの、家族コメディー4コマ。各人の名前は鶴は千年亀は万年から。ファミリー物ではありますが、寿家の家族構成は上記の通り長女、次女、長男、そして祖母の4人であり、父と母は出てきません。作中では存在が過去形で語られているので、死んでいるのかなーとは思いますが詳細は不明。また、姉弟の年は長女と長男で25も離れているのですが、実の姉弟ではあるようです。以上のように設定にはちょっと? となる部分がありますが、読んで気になるほどということはなく、むしろファミリー物なのに両親ネタ無しでこれだけできるのか、とちょっと驚きです。ただそのせいで、ファミリー物と言うよりは、非常に気持ちが若い祖母も含めた4人姉弟物と言った方が正しい気はしますけどね。

 作品としてはフツーに面白いのですが、特徴的なのはそのコマ割り。4コママンガのメリットの一つに、コマ割りを考えなくていいというものがあるわけですが、それは逆にコマ割りで状況を表現することができないというデメリットでもあるわけです。ところがこれに限らず作者の作品では、頻度が多いわけではないのですが、時折4コマのコマサイズや形が違ったり、2つのコマが繋がってたり逆に2つに分かれてたりと色々変化があって、上記デメリットの対策をしていると言えるでしょう。ただ正直言うと、これって描く方にはそれなりに手間だと思いますし、そこまでするなら4コマじゃなくて1ページマンガとかの方がいいんじゃないかなー、とは思いますけどね。

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2009/11/02

宇宙兄弟

Img487 小山宙哉 著。モーニングにて2007年より連載中、単行本7巻まで以下続刊。

 子供の頃に月に向かっていくUFOを見たとき、南波兄弟の弟、日々人は、将来宇宙飛行士になって月へ行く気がする、という予感を口にする。それを聞いた兄、六太は、先に言われたと思いつつも、お前が月に行くなら兄ちゃんはその先、火星に行く、と答える。そして19年後――日々人はNASAの宇宙飛行士として、月面長期滞在計画の一員へと選ばれていた。そして自動車開発会社に勤めていた六太は、上司に弟の事を悪く言われたことで頭突きをかましてしまい、無職となっていた……。なんでもできる、スゴイ兄貴になりたかった。だけど弟は月に行くことが決まり、自分は無職という現実に、六太は布団に突っ伏し涙を流す。ところがそんなある日、六太の元に突然JAXA(宇宙航空研究開発機構。乱暴に言うと日本版NASA)からの封書が届く。それは、出した覚えの無い、新規宇宙飛行士選抜試験の、書類選考合格通知であった……。

 そんな出だしの、宇宙飛行士になった弟と、宇宙飛行士を目指す兄の、近未来SFストーリー。主人公は兄、六太であり、ストーリーは現在のところ、六太の宇宙飛行士選抜試験と、そこでの人間関係を軸に進んでいます。そういう意味では、先日最終巻が出たばかりの柳沼行「ふたつのスピカ」にかなり近いと思います。ただしスピカが十代の少年少女が主人公なのに対し、こちらの主人公、六太は31歳ということで、対象読者層がけっこう違うかなー、という感じです。これはまぁ、掲載誌の違いも大きいんでしょうけどね。そしてリアリティという意味で考えると、正直どっちにリアリティを感じるのか……悩み所です。

 この宇宙兄弟で私が一番疑問に思うのは、一般公募で集めた素人が8人も宇宙飛行士になれるのか、というところです。もちろん、最終的に宇宙に行けるのは1人か2人なのかもしれないし、もしくはすでにこの世界では、年間数十人もが宇宙に上がっているので、そのくらいは普通、ということなのかもしれません。ですが、現時点での公表されている情報から考えると、どうしても違和感は残ってしまうんですよね。その点スピカは、なんだかんだ言って宇宙には1人しか行けなかったわけで、リアルの宇宙開発を考えると、その点においてはスピカの方がリアリティを感じてしまうわけです。ただまぁ、完結したスピカと連載中の宇宙兄弟を比べるな、と言ってしまえばおしまいなんですけどね。

 以上のような細かい違和感はありますが、すでに弟が宇宙飛行士になっているという設定は非常にうまいと思いますし、選抜試験を中心とした話も十分面白いです。単行本7巻にして未だ選抜試験は終わってないわけですが、果たしてこの物語の行き着く先は月なのか、火星なのか、それともそれ以外なのか。そういう意味も含めて、今後も楽しみに読んでいきたいと思っています。

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2009/09/10

うる星やつら

Img437 高橋留美子 著。週刊少年サンデーにて1978年~87年にかけて連載、単行本全34巻完結。画像はワイド版全15巻。

 まれにみる受難の星を背負った浮気性の高校生、諸星あたるが、同級生の三宅しのぶにはふられ、旅の僧、錯乱坊(チェリー)には死相が見えると言われつつ、家の近くまで帰ってくると、そこには何故か新聞記者や野次馬の人だかりができていて、家の中にはなんと巨大な鬼が待ちかまえていた。なんでも鬼は宇宙人であり、ランダムで選んだ地球人と勝負をして、地球人が敗けたら地球を侵略するのだという。自分が地球人代表として選ばれたと知り、断固拒否しようとするあたるだったが、勝負の内容が相手の角を触れば勝利の鬼ごっこであり、捕まえる相手がビキニ姿の可愛い女の子だと知ったことで、合法的に抱きつけると考えたあたるは挑戦を受諾。ところがその女の子、ラムは空高く跳ねるように飛んで逃げてしまうため、あたるは一向に捕まえることができず、無駄に日々は過ぎていってしまう。そして迎えた全10日のうちの9日目も無為に終わり、心が折れかけていたあたるだったが、その夜発せられたしのぶの「勝ったら結婚してあげる」という言葉に一念発起。翌日の最終日、あたるは前々日に奪っていたラムのブラジャーを囮にラムを捕まえ、見事角に触ることに成功。こうして未曾有の侵略戦争は、地球側の勝利で終わりを告げたのであった……。ところが、あたるが「これでやっと結婚できるのだー!」と叫びながら自分を抱きしめていたため、プロポーズされたと思いこんだラムは結婚を受諾。しのぶはまた浮気されたと思いこんで発言も撤回してしまい、諸星あたるの受難の星は、一向に収まる気配を見せないのであった……。

 解説するのも烏滸がましいような、言わずと知れた超有名ドタバタギャグ。高橋留美子の出世作にして代表作の一つであり、その中でも一番ストーリー色が薄く、ギャグの濃い話であると言えるでしょう。基本は一話完結ギャグであり、ほぼすべての話にあたるとラムが出てくる以外は、もうなんでもあり。数々の個性的なキャラクターたちが縦横無尽にかけずり回るその様は、まさしく極上のスラップスティックコメディーであると言えるでしょう。中盤以降はストーリー色が若干濃くなっていきましたが、最後まで基本スタイルは変わることなく、迎えた第1話ありきの最終章「ボーイ・ミーツ・ガール」編は、感慨深いという意味も含めて、涙無くしては読めませんでした。いつまでも続けられる物語の終わり方としても、最高の物だったと思います。こんな作品が読めて、幸せでした。

 作者は現在も同誌にて、「境界のRINNE」という霊能ラブコメを連載中。さらには昨年完結した「犬夜叉」のアニメ完結編もこの秋より放映開始と、未だ衰える様子を見せません。この調子でまだまだずっと、サンデー誌上で活躍してくれることを期待しています。

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2009/08/31

伝染るんです。

Img427 吉田戦車 著。ビッグコミックスピリッツにて1989年~94年にかけて連載、単行本全5巻完結。

 いつまでも根に持つ性格のかわうそと、小心者なかっぱとの友情の行方は……。いろんなものにシークレットシューズを履かせ、それに騙される人を見るのが好きな奥さんの次の標的は……。不人気食材のしいたけは、今日も食べてもらえるよう涙ぐましい努力をするが……。鬼才、吉田戦車の送る、オムニバスギャグ4コマの金字塔!

 現在巷に溢れる、いわゆるシュール系、不条理系4コマの、おそらくは起源となる作品。NHK教育が大好きなヤクザの会話とか、一般大学生としての青春にあこがれるカブト虫の斉藤の日常とか、設定である程度笑わせようとしている連作物が多いのが特徴。もう20年近くも前の作品ではありますが、今読んでも問題なく面白いという、まさに傑作です。今はこういう不条理系4コマも描きやすいのでしょうが、当時は編集の理解が無ければ雑誌掲載は難しかったでしょうし、その下地をつくった吉田戦車は、まさに時代をつくったと言ってもいいのでしょうね。

 内容もすごいのですが、単行本はその装丁もすごかったりします。一見すると乱丁、落丁に見えるようなつくりになっていて、遊び心満載なわけですが、これ、万が一本当に落丁、乱丁が出ていたらどうするつもりだったんでしょうね。だってこれ、買った人には狙った装丁なのか落丁、乱丁なのか区別できませんよ。まぁ、そもそもそういうスタイルの作品なので、こういう装丁でも許された、ということなんでしょうけどね。

 それと、この作品は現在アニメ化されている最中でして、8/21に1巻が発売されたばかりだったりします。正直、この手の4コマ作品を映像化して面白いとは思えないのですが、どうなのかなー。買うのは抵抗があるので、レンタルとかで借りれればいいのですが。

 作者は現在、ビッグコミックスピリッツにて「ひらけ相合傘」を連載中。伝染るんですは希代のヒット作でしたが、その打ち立ててしまった金字塔が高すぎるため、未だにその影響下から抜け出せていない、というイメージが私にはどうしてもぬぐえないでいます。平たく言えば、名前が変わっただけじゃんと思ってしまう、ということですね。それでもけしてクオリティは低くないのですが、ここらでもう一つ、大きな花火を打ち上げてくれることを期待しています。

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2009/05/28

うしおととら

Img329 藤田和日郎 著。週刊少年サンデーにて1990年~96年にかけて連載、単行本全33巻完結。

 中学二年生の蒼月潮は、ある日自宅の蔵の地下室で、槍によって壁にはりつけられている化け物を見つける。人間でないと抜くことができないと化け物が言うその槍こそが、潮が住職である父から教えられていた獣の槍であり、化け物は500年前からそこにはり付けられているのだった。潮は化け物からなんでも言うことをきくから槍を抜いてくれと頼まれるが、自由になったら人を食うと聞かされて言うことを聞くはずもなく、地下を後にする。だが、潮が地下への扉を開いてしまったことで、閉じこめられていた化け物の妖気が地上に流れ出て、魚妖や虫怪と言った小妖怪がすでに集まりだしてしまっていた。槍を抜けば退治してやると言われ、潮は悩んだ末に槍を抜くが、化け物は当たり前のように潮に襲いかかる。だがその時、潮が手にしていた獣の槍が力を発揮、髪が伸び目は窪み身体能力を著しく向上させた潮は逆に化け物を追い立て、見事なコンビネーションでついに魚妖が集まって巨大化した化け物を撃破する。こうして化け物は隙を付いて潮を食らうため、潮は自らが解き放ってしまった化け物を好きにさせないため、奇妙な共同生活が始まるのであった……。

 槍に選ばれた中学生、潮と、2000年以上生きている大妖怪、とら(命名、潮)のでこぼこコンビが織りなす、妖怪バトルアクション。うしとらは鬼門の方角です。序盤は互いに隙を覗いあいながらも妖怪退治を続けていく感じですが、そのうちに白面の者という強大な化け物の存在が明らかになり、獣の槍やとらの因縁全てがそこに収束していく終盤はまさに見事の一言です。特にとらの正体というか経歴? にはかなり驚かされました。第1話からそこまで考えてあったかどうかは謎ですが、そうでなかったにしても実に見事なものです。

 ストーリーや設定も良かったですが、個人的に特に良かったのは、サブタイトルとコマ背景の書き文字ですね。この作品は章タイトルと各話タイトルがあるのですが、同じ章では各話タイトルに統一性が付けられている事もあったりと、内容にマッチした秀逸なものが非常に多かったです。コマ背景の書き文字とはようするに擬音の事ですが、この作品ではシリーズのラスボスを倒す際の表現として、漢字一文字で擬音を表現することがよくあるんですよね。使う漢字はその時々によって違うわけですが「閃」「割」「削」と言った漢字を背景に背負ってのとどめの一撃は、爽快感に重みを含ませる見事な表現だったと思っています。

 あとは妖怪マンガとして、妖怪の造形もおどろおどろしく気持ちの悪いものが多かったのも良かったです。個人的に一番記憶に残っているのは、飛行機に取り憑いた化け物「衾(ふすま)」ですね。いやー、あれは本気で夢に見ますよ。ラスボスである白面の者をずっとシルエットで見せていたのも、いい演出でしたよね。

 とまぁまだまだ褒めたりないのですが、ひろげた風呂敷も見事に畳みきり、全編通して本当に面白い作品でした、ということで締めたいと思います。ホント、面白いですよ。

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2009/05/25

海腹川背

Img327 山吹ショウマ 著。コミックバーガーにて1995年連載開始、同誌休刊に伴い第1部完。単行本1巻まで。

 豪華客船でウェイターをしていた潮路晃一は、ある日船内で密航していた女の子、海原川瀬を見つける。見逃して欲しいと言う川瀬に対し、晃一は食料を差し入れるなどして密航に協力することとなるが、そんなとき、船が巨大なオコゼのような怪物に襲われ、沈没してしまう。沈む船に巻き込まれ息がもたなくなり、死を覚悟した晃一だったが、そこになんと海中であるにも関わらず息をしている川瀬がやってきて、口移しで空気をもらうことでなんとか助けてもらう。どうして水の中でも息が、そう訪ねる晃一に対し、川瀬は昔からこうだったからわからない、と答えるのであった……。

 密かな人気を持つラバーリングアクションゲーム「海腹川背」のコミカライズ作品。主人公の名前がタイトルと同じではなく海原川瀬なのは、誤植ではなく意図的なものだと思います。ゲームの方には正直ストーリーはありませんでしたが、こちらでは川瀬さんは水の中でも息ができるという不思議な体質を持っていて、そんな川瀬さんを捕まえて研究しようとする四方津重工と、四方津重工に捕まっている父を助け出そうとする川瀬さんの戦い、というような肉付けがされています。

 絵もやわらかいタッチでキャラもかわいいし、ストーリーもご都合主義な部分はありますがそれなりに面白く、続きも期待していました。ところがコミックバーガー(現コミックバーズ)の休載に伴い第8話で第1部完となってしまい、単行本は6話まで収録された1巻以降出ることはなく、ちょーがっかりな結果となってしまいました。残念です。なお、この作品には外伝があり、そちらはスーパーファミコン版海腹川背の攻略本に掲載されています。晃一と川瀬さんが一緒に行動しているのでコミック版の後の話なんでしょうが、それ以上の時系列は不明。海中に眠る財宝とそれを守る古代海獣を巡るお話でした。

 作者のその後ですが、公式HPはまるっきり放置状態というわけでは無いようなので、生きているのだとは思いますが、漫画家を続けているのかどうかはちょっとわかりません。この作品を読む限り、コミカライズ作品でなくても十分いけると思いますし、いつかまた作品を読めたらなー、と思っています。

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2009/02/09

うちの姉様

Img201 野広実由 著。まんがくらぶオリジナルにて2007年より連載中。まんがライフMOMO3月号より2誌連載に移行する模様。単行本1巻まで以下続刊。

 日高家長女の涼音は、東大首席という頭脳を持つ一方、マイペースで変わり者で感覚が人とはだいぶずれているという、困り者。歳の離れた小学2年生の弟、倫と、小学1年生の妹、るるのことを可愛がってはいるのですが、涼音の空気を読まない性格のせいで、二人はふりまわされっぱなし。だけど倫もるるも、新しい言葉を作ったりあげぱんばかりを食べたりミニスカートで走り回ったりする姉様のことが、心配しつつも大好きなのです。

 そんな感じの、精神的に子供っぽい涼音と、年齢的に子供の倫とるるが繰り広げる、ほのぼの姉弟4コマ。基本はマイペースな涼音に倫やるるがツッコミを入れる形ですが、倫とるるの子供としての部分をそのままネタに使ったりもします。涼音は常人とは微妙にずれているわけですが、るるもけっこうずれていて、その間に挟まれて苦悶する倫がかわいいです。

 サブキャラに、涼音のことが好きなツンデレストーカーの同じく東大生、遠野里一というのがいるのですが、このキャラはちょっとやばいです。涼音の性格のせいで大事には至っていませんが、大学から家までつけてきたりと、もう警察沙汰レベル。彼の扱いは近づけるか離すか、もうちょっとなんとかしてほしいと思います。

 あと、単行本巻末に涼音、倫、るるの誕生日が書いてあるのですが、倫が小学2年生で11月30日生まれ、るるが小学1年生で6月16日生まれって、ちょっと無理があるような気がします。るるが超未熟児とかならあり得るのかもしれませんが……もしかして実の姉弟ではないというフラグ?

 作者の作品は「パティシエール!」「ダブルパティシエール!」シリーズの方が有名ですかね。お菓子作りを題材にした4コマで、こちらも面白いです。うちの姉様も2誌連載に移行するようですし、これからも期待しています。

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2009/01/23

売ったれダイキチ!

Img177 原作・若桑一人、漫画・武村勇治。週刊少年サンデーにて2003年~04年にかけて連載、全4巻完結。

 天下一の商売人を目指すという心意気だけはあるが、知識と実力がまだまだ伴わない中学生、嵯峨野大吉。幼なじみの小倉あずきの祖母が経営する駄菓子屋が店を閉めると聞き、なんとか現状を打開しようとするが、やることなすこと空回り。だがそんな時、ダイキチは招き猫のモデルにもなったと自称する、齢800年の喋るネコ、ネコ先生(ダイキチ命名)と出会う。ダイキチよりもよっぽど商売のことを知っているが、もう人間と関わる気はないと協力をしぶるネコ先生からわずかなヒントをもらったダイキチは、回り道はしたものの見事駄菓子屋に客を取り戻し、同時に笑顔を取り戻すことに成功する。ネコ先生に一応認められたダイキチは、ネコ先生から商売のことを教わりつつ、商売による人助けをしていくのであった。

 ビジネスマンガ。ダイキチが商売に関するトラブルや事件に巻き込まれ、ネコ先生から色々な商売の法則を教えてもらいながら、それらを解決していく、という感じのお話。内容的には小中学生向けレベルであり、世の中こんなにうまくいかないよ? という見方もできますが、そこはそれ、あくまでこれはフィクションのマンガなのですから、マンガに適した表現方法だということで問題ないと思います。

 画は非常に私好みで、特に卵顔の女性キャラであるダイキチの姉や幼なじみのあずきがポイント高かったです。ストーリーとしては、世間的には評判の悪い松筑プロジェクト編も私は好きでしたし、ストーリー自体は最後まで楽しませてもらいましたが、登場人物の使い捨てが激しい点が不満でした。特に幼なじみという武器がありつつもあずきは後半出番無しですし、姉に至っては最初の数話以外はまったく出てこないという扱いのひどさ。商売マンガなのなら読者のニーズに応えた展開を!(言いがかり 魅力あるキャラは他にもたくさん出てくるのですが、それらを扱いきれなかったなー、というのが正直な感想です。でもホント、面白くて私は好きでしたよ。

 マンガ担当の武村勇治は、スピリッツで連載していたこれまた原作付きの「我が名は海師」の方が圧倒的に有名ですね。そして今回調べていて知ったのですが、現在は小学5年生及び6年生にて、「風の棋士ショウ」という将棋マンガを連載中だそうです。興味はありますが、ちょっと手に取るのは抵抗があるかなー、うーむ。

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