2009/12/16

逢魔ヶ刻動物園

Img535 堀越耕平 著。週刊少年ジャンプ2010年2号掲載読み切り。

 今まで何も人並みに出来た事なんてないという女子高生、蒼井華は、役立たずな自分を変えたいと思い、逢摩ヶ刻動物園のアルバイト募集に応募する。ところが面接のため動物園を訪れた彼女が見たものは、ライオンに食べられそうになっている顔がウサギの園長という、わけのわからないものであった。もう帰りたいと思う華だったが、アルバイト募集の貼紙を見てどう思った? という質問に、摩が魔になってましたと答えたところ、何故か採用と言われてしまう。園長は変だけど動物園としてはフツーだし、とりあえず頑張ってみようと華は覚悟を決めるが、その時彼女はまだ知らなかった。この動物園の園長は呪いをかけられた人間、動物たちはみな魔力を持って生まれてきた者たちであり、午後4時44分の閉園時間を過ぎた後、逢摩ヶ刻動物園は逢「魔」ヶ刻動物園となるのだということを……。

 そんな感じの、えーと……超常バトル? ストーリーマンガというよりは、設定説明マンガと言った方が近い気がしますが、読み切り作品(もしくは連載第1話)としてはそれでまったく問題ないでしょう。具体的に何を説明してるかというと、園長の呪いの解き方と、園長にいいように利用されてるように見える動物たちの本心、の2点。今作は読み切りですからそこまでで終わりですが、仮にこれが連載となるなら、それをふまえた上で物語が始まる、という感じで問題なく持って行けると思います。読み切り作品として、または連載第1話として、オーソドックスではありますが基本がしっかりしている作品、というふうに感じました。

 しかしながら、気になったのはストーリーの肉付け部分。ウサギ園長は魔力を操ることによって色々戦ったりするわけですが、どうにもそのあたりがごちゃごちゃしすぎです。色々設定はあるみたいなのですが、動物の力を使って戦うことができる、くらいのシンプルさの方が良かったのではないでしょうか。「権限発動」というのも決めゼリフのようではありますが、正直意味がわかりかねます。設定に凝るのはもちろんいいのですが、わかりやすくなくてはいけないと思いますので、そのあたりは今後直していってもらいたいなー、なんて思いました。

 作者の経歴はよくはわかりませんが、2006年に手塚賞の佳作に入ったのが最初なのかな? テーマも悪くないですし、もう少し描き慣れて無駄な演出を省いていくことができれば、もっともっと面白くなっていくと思いますので、期待しています。

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2009/11/19

お湯屋へようこそ

Img504 湖西晶 著。まんがタイムラブリーにて2004年~05年にかけて連載、単行本全1巻完結。

 温泉旅館「奥山」の若女将は、元OLにしてアルコール大好きの奥山ゆや。小さな旅館で経営も苦しいため多忙な毎日ではありますが、経理担当倹約家の夫や、口うるさい大女将、真面目で腕のいい板長たちに支えられて、毎日を楽しく過ごしています。今日もゆやは若女将として、持ち前の脳天気さやある意味突飛な発想を生かし、精一杯「奥山」をもり立てます!

 そんな感じの、ひなびた温泉旅館を舞台としたコメディー4コマ。作者の作品はどれもそうですが、ノリのいい登場人物たちの掛け合いが読んでいて非常に楽しい作品です。全1巻と短いですが、テーマが絞り込まれているので、こじんまりとしながらもまとまり感はありますね。しかし別にこれ以上話を広げるのが難しかったということも無いでしょうし、できることならもうちょっと続けて欲しかったなー、とは思いました。ただ、ちょっと時系列はわかりませんが、作者はこの頃連載を増やしすぎて自爆していたり、出産にともなう休載とかもしていたはずなので、そのあたりの関係で終わりにせざるをえなかったのかもしれませんけどね。

 作者の現在の連載は、代表作である「かみさまのいうとおり!」のみ……かな? しかもかみさま~も2度目の出産に伴う休載中とのことですが、再開は確実にするとのことなので、楽しみに待ちたいと思います。

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2009/10/18

乙嫁語り

Img475 森薫 著。Fellows!にて2008年より連載中、単行本1巻まで以下続刊。

 19世紀中央アジア、カスピ海周辺の地方都市に定住するエイホン家に嫁いできたのは、アミル=ハルガルという二十歳の若いとは言えない女性だった。十二歳の花婿、カルルクは聞いていた話と違ったことで驚いてはしまったが、それでも式を挙げ、二人は一緒に暮らしはじめる。やがて、少し変わったところはあるものの、裏表の無い真っ直ぐな性格のアミルは、エイホン家の大家族に受け入れられていく。ところが、カルルクとアミルが遊牧をしている叔父、ウマク家を訪ね、絆を確かめ合っていたときに、事件は起こる。なんとアミルの兄、アゼルの一行がエイホン家に現れ、あの結婚は手違いであったので、アミルを連れて帰る、と言うのであった……。

 そんな出だしの、中央アジア(カスピ海の東側地域)を舞台とした、アミルとカルルク(とその家族)の物語。タイトルはおそらく乙女+嫁+物語の合成であり、新婚物と言ってもいいのでしょう。副題も The Bride’s Stories ですしね。上記あらすじ後半のような筋となりうるストーリーはありますが、やはり真骨頂はその辺りとはまったく関係のない、日常生活をただ描くという部分。裏表が無さ過ぎてやや融通に欠けるアミルと他者の会話はそれだけで楽しいですし、馬に乗ったり、弓を射たり、ザクロを取ったり、キツネを捌いたり、歌を歌ったり、パンを焼いたりといった本来なら単なる日常の一場面も、緻密な柄や細工を描くのが大好きな作者の手にかかれば、あっというまに素敵な物語に変わってしまいます。読む作品というよりは、なんだろう、かみしめるじゃなくて、読みしめるような作品。読めば読むほど、単なる日常生活だというのに、味が出てくるわけですよ(落ち着け

 前作にして代表作「エマ」と比べると、舞台は英国から中央アジアへと変わり、メイドさんも一切出てこなくなったわけですが、森薫はまったく変わっていなかった。ぜひ今後も、このまま行って欲しい。心からそう思える作品です。

 ちなみに、この当時、地方での女子の結婚適齢期は15~6歳とのことなので、アミルはだいぶいきおくれということになるようですが、何故いきおくれているのかは不明。そういった隠された設定も色々あるようですし、今後とも楽しみにしたいと思います。唯一の不安は、掲載誌が持つかどうかってことかな……(涙) まぁ仮に持たなくても、コミックビームという受け皿はありますけどね。

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2009/08/14

帯をギュッとね!

Img409 河合克敏 著。週刊少年サンデーにて1988年~95年にかけて連載、単行本全30巻完結。

 事故にあって自転車は大破したものの、自身は無傷だったという抜群の運動神経を持つ中学生、粉川巧。彼はギリギリ間に合った柔道の昇段試験で、偶然にも伝説と呼ばれる技「山嵐」での一本勝ちを収めてしまう。続く試合には負けてしまうが、午後の試合では見事5人抜きの「抜群」を決めて初段を取得。その時は5人いた、中学生で抜群での初段取得者の中に名を連ねることとなる。そして半年後、巧と、巧の友人で同じく抜群で初段を取得していた杉清修は、地元ということで浜名湖高校へ進学するが、そこには半年前の試験で抜群にて初段を取った残りの3人、斉藤浩二、宮崎茂、三溝幸宏の姿があった。そこに巧の彼女である近藤保奈美と、その親友の海老塚桜子を加えた7人は、それぞれの思惑を胸に柔道場へ向かうが、そこで彼らは、この学校には柔道部が無いという事実を知るのであった……。

 天才系柔道マンガ。以上が第3話までのあらすじで、普通ならここで部員集めが始まるところですが、すでに5人そろってるので部もすぐできますし、あらすじのヒキとしてはイマイチですね。まぁ今作での柔道部が無いという設定は、イコール先輩がいないということの方が重要なのであり、話作りをしやすくするための手だったのでしょう。そしてその後の内容はと言えば、もう面白いの一言。絵は正直いつまでたってもこなれてこない感じでしたが、それでも一番重要な試合シーンのスピード感、臨場感はありましたし、ストーリーの面白さを加味すれば、問題ないレベルと言えるでしょう。褒めてないように見えますが褒めてますよ? 今でも基本的な印象は変わっていませんが、デッサンがおかしく見えることは無くなりましたしね(だから褒めてますってば

 柔道マンガと言えば、国民的作品にもなってしまった「YAWARA!」があり、連載期間も1986年~93年と帯ギュより2年早く始まって2年早く終わったという先駆者なわけですが、内容的には私は全然劣っているとは思っていません。差が付く部分があるとすれば、掲載誌が青年誌と少年誌だったという違いと、主人公の性別の違いだったのでしょうが……実はそれが、一番大きな問題だったのかもしれませんね。個人的にはアニメ化されても全然おかしくないと思っていましたが、その夢は次作「モンキーターン」にて果たされましたし、さらに現在連載中の「とめはねっ」はNHKにて2010年に実写ドラマ化決定と、まったくもって見事なものです。もっと売れて欲しいと思っていた漫画家が売れるのって、ホント嬉しいですねー。まぁ、めったにあることじゃ無いんですが……。

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2009/08/07

おうちがいちばん

Img402 秋月りす 著。朝日新聞土曜日版「be on Saturday」にて2003年連載開始、同年まんがライフオリジナルとの平行連載に移行し、現在はまんがライフオリジナルでのみ連載中。単行本4巻まで以下続刊。

 森つぐみは、わりとドジでおっちょこちょいな兼業主婦。大学助手の夫タカヒコと、小学1年生の長女ひわ、3歳の長男トキヒコとの4人暮らしです。住んでいるのは借家の一軒家ですが、大家は隣に住む実の母親、原はとこ。母と共に住む父つるたろう、妹ひばりもあわせて、三世代家族大集合のわいわいがやがやアットホームコメディ。

 そんな感じの、ファミリー4コマ。作者曰く、作者の考えるファミリー4コマの定義は、3世代の家族が出てくる4コマ、だそうです。確かにじーちゃんばーちゃんと孫まで揃って、初めてファミリー、という気はしますね。内容的には、作者の代表作「OL進化論」とやってることは同じです。OL進化論の中にこの作品が散見したとしても、全然違和感無いでしょう。ただもちろん、作品はオムニバス形式ではなく、主人公はあくまでつぐみであり、つぐみがからまない4コマはほとんどありません。作者の他作同様、のんびり気楽に安心して読める作品です。

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2009/07/21

AT Lady!

Img385 のむら剛(現在は岡野剛) 著。週刊少年ジャンプにて1989年~90年にかけて連載、単行本全2巻完結。

 東京の犯罪は年々科学的、組織的となっていき、その象徴とも言えるロボット強盗団の前に打つ手の無かった警視庁は、ついにロボット刑事の開発を決定する。警視総監よりその命を受けた知能指数600を誇る天才科学者、春田純一警部は、様々な能力を持った6人のロボット婦警、Automatic Tec Lady(機械じかけの刑事)を開発。彼女らはその能力を遺憾なく発揮し、犯罪は見事減少していく。そして今日、7人目のロボット婦警、A・T Lady 7号が誕生した……が、実は7号は6号までの開発部品の余りを主に構成されており、7万馬力という怪力を持つものの、それ意外には秀でた部分が特に無く、性格もドジでボケ体質で子供っぽいという、お荷物ロボット婦警なのであった……。

 そんな感じの、時代を先取りしすぎた萌え設定満載のドタバタギャグ。1号はお姉様、2号はクール、3号は肉体派、4号がボクっ子、5号が勝ち気、6号が無口、7号がドジっ子と、もうよりどりみどりです。というか、20年前の作品ですよこれ? 7号の動力が単三電池2本とか、ちょっとファンタジーすぎる部分もありますが、やさしさとひたむきさを武器にがんばるドジっ子、という構図は、今でも十分通用するでしょう。惜しむらくは、作者がまだまだ当時は構成力が低く、それらの設定を活かせる話をあまりつくれなかった、ということでしょうか。短期で打ち切られてしまったという理由もありますが、1号~6号なんて出番ほとんどありませんし、せっかくの設定をもっとうまく使えていれば、もっと面白かったのになー、と思わずにはいられない作品でした。

 作者はその後ペンネームを変え、真倉翔の原作で「地獄先生ぬーべー」を発表しますが、こちらの方が比べものにならないくらい売れましたね。現在はオースーパージャンプにてぬーべーのスピンオフ作品である「霊媒師いずな」を連載中。いつかAT Lady 2とか描いてくれないかなー、とか気長に期待しています。

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2009/07/11

隠密☆少女

Img376 関根亮子 著。まんがタイムきららにて2002年~05年にかけて連載、完結。単行本は1巻まで、未完。

 私立清滝学園高校の転校生、服部詩乃の正体は、実は現代に生きる忍者。伊賀忍者の末裔である彼女は、あやしい影がうごめくこの学園に潜入すべく、密命を請けてやってきたのだ。ところが詩乃は、忍者としての能力は高いものの、遅刻はするし英語以外の勉強は全滅だし、すぐ忍術を使って楽しようとして失敗するしと、隠密行動をしようとする気配まったく無し。今日も詩乃は密命を忘れ、色々なことに勘違いしながら無駄に忍術を使い、さわぎを大きくするのです。

 そんな感じの、ドジっ子くの一学園ギャグ4コマ。フツーの学園4コマの主人公を、現代日本に中途半端に馴染んでる忍者にしてみました、という感じでしょうか。普通にやればいいところを無駄に忍術を使い、忍術自体は成功したけど結果は失敗、というパターンが基本軸であると同時に、一番面白いですね。あとは、忍者の末裔であるが故の、世間との感覚の違いをネタにする感じでしょうか。隠密行動は一切しないのでタイトルに偽りありだとは思いますが、そういうツッコミも含めて、面白い作品でした。

 ところが、うーん、編集部評価が悪かったのかアンケートが悪かったのか単行本が売れなかったのか、実質打ち切りで2巻も出してもらえないという、しょんぼりな終わり方となってしまいました。絵柄が現代の萌え風ではなくやや雑だったというマイナス点もあるにはありますが、でも4コママンガとしては平均以上に面白いタイトルだと思ってたんだけどなー。非常に残念でした。

 今回調べていて知ったのですが、なんと単行本未収録分を掲載した同人誌が作者本人のサークルから出ているんですね。数年前の情報なので今でもまだ手にはいるのかどうかはわかりませんが、可能なら手に入れたいと思っています。こういう、作者が同人誌で完全版を出すケースというのは、ホントに増えましたねー。いいことなんだか悪いことなんだか……。

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2009/06/28

大奥

Img362 よしながふみ 著。MELODYにて2004年より連載中、単行本4巻まで以下続刊。

 江戸時代初期、東国の山村で最初の感染者を出した赤面疱瘡は、またたくまに関東、そして全国へと拡大していった。感染するのはほとんどが十代以下の若い男子で、死亡率は8割というその病気の前に、全国の成人男子の人口は激減。そしてあまりの生存率の低さから、諸藩は世継ぎを得ることができずに改易の憂き目にあっていたが、それは将軍家とて同様だった。幕府はやがて各藩の世継ぎを女とすることを認め、同様に三代将軍家光の時代から、将軍は女が継ぐこととなる。――そしておよそ80年が経過した現在、男子の人口は女子の約4分の1で安定しており、将軍職もずっと女が継いでいるという状態であった。当然の如く、将軍の正室や側室、その子女や女中の居所である大奥も、女ではなく男が務める場へと変貌を遂げていた。時は正徳6年(1716年)、貧乏旗本の跡取り息子、水野祐之進は、両親への恩返しの為、俸禄を目当てに大奥へ上がることを決意する。やがて、御中﨟(将軍の世話係)へと取り立てられた水野は、八代将軍、吉宗のご内証の方(未婚の将軍の最初の夜の相手)へと抜擢されるが、ご内証の方は将軍を傷つけたという罪で、死ななければならない運命なのであった……。

 そんな感じの、歴史IF物。IFなのは只一点、正体不明の疫病により男がばたばたと死んでいき、男女比は1:4となってしまう、という部分だけであり、その設定の上で歴史を組み立てなおした作品である、と言えるでしょう。上記後半の水野祐之進のくだりは1巻のあらすじですが、この作品の主人公は、おそらくは徳川吉宗? 1巻ラストで、女が男名で家督を継いでいるということに疑問を抱いた吉宗が、家光の時代から生きている男が書き続けている「没日録」という日記を読むことで、その真実を知っていく、という感じなのですが、2巻以降はずっと過去編なんですよね。家光、及び春日の局の時代から始まって、4巻ラストでは綱吉の治世になっています。このまま吉宗の時代まで持っていって、過去編を終わりとするんでしょうが、果たしてその後どうなることやら、興味は尽きません。少なくとも私が読む限りは、非常にリアリティのある、スケールの大きな作品と言えるでしょう。ずばり言って、面白いです。

 大奥は女人禁制な為、自然男色の描写もそれなりにあります。掲載誌が女性誌であることも含め、読む人を選ぶ作品だとは思いますが、内容は非常に面白いため、もっともっと広く知れてほしい作品の一つではありますね。ただ、現在はまだ過去編の最中であり、しかも過去編の方が長いというのが玉に瑕。せめて過去編が終わってくれないと、ちょっと他人にも薦めづらいですね。

 作者はこれよりも、現在モーニングにて連載中の「昨日なに食べた?」や、ドラマ化もされた「西洋骨董洋菓子店」の方が有名でしょう。この「大奥」も、今のところは非常に面白い作品だとは思うのですが、完結の仕方によって評価も変わってしまいそうです。果たして物語はどこへ行き着くのか、そもそも、ベクトルはどっちを向いているのか。それを知るため、今後とも読み続けていきたいと思います。

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2009/05/23

OL進化論

Img325 秋月りす 著。週刊モーニングにて1989年より連載中、単行本29巻まで以下続刊。

 職業OL、彼氏アリ、面倒なことは嫌いだけど、バーゲンと噂話と食べることにかけては別。日々を楽しく過ごしているけど、人並みに世の中に不満もあります。そんなフツーのOL、ジュンちゃんと、彼女の同僚や上司、家族や友人たちが繰り広げる、どこかアットホームな4コマストーリー。

 OL4コマの金字塔。現在の主人公は一応ジュンちゃんなのでしょうが、正直主役級と言えるキャラが何人もいて、ネタごとに主役とサブキャラが入れ替わる形と言う方が正しいです。基本的にはOLのあるあるネタなのですが、OLだけではなく社会人全体、さらにはその家族や友人、知人にまでネタはひろがっていくため、社会におけるあるあるネタ、というのが一番近いのかもしれません。晩婚化や失業率の増加等、社会の厳しさを表現するネタはありますが、それを暗い話のまま終わらせることは無く、読んで悲しくなったり、やるせなくなったりする、ということはほとんど無いと思います。安心して読める作品ですね。

 すでに連載開始から20年という長寿作品ですが、4コマはすべて独立しているため、どこから読んでもストーリーが理解できなくて困る、ということはありません。ただ登場人物はほとんど増えず、既存キャラが登場し続けている現状のため、過去に発表された設定を知っている知らないの差は当然出てしまいますけどね。私が一番好きなネタは、連載初期~中期によく掲載されていた「社長秘書 令子」シリーズでしょうか。また久しぶりに描いてくれないかなー。

 4コママンガで単行本が現在29巻と、作者にとってはもはやライフワークになっているのかもしれませんね。当初からそれを予期していたとは思いませんが、ジュンちゃんや美奈子ちゃんたちOLも、1巻当時とくらべればだいぶ進化したものと思います。いつまで続けられるのかはわかりませんが、続いている限りは読み続けますので、がんばってほしいものです。

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2009/04/17

おりんちゃん

Img287 川島よしお 著。漫画アクションにて2005年~2007年にかけて連載、単行本全2巻完結。

 お金がすべてと考える女子高生、育子が、姉の玲子と共に経営するひだまり荘に、ある日おりんちゃんという赤ちゃんとそのママが越してきました。ところがなんと、おりんちゃんは0歳児にして会話ができるどころか大人顔負けの知識を持つスーパーベビー、そしてママは逆にまるで子供のようで、いつもおりんちゃんに面倒を見てもらいながら仕事に行くという、立場逆転親子だったのです。だけどたとえ立場が違っても、ふたりが本当の親子であることには変わりありません。そして、そんな二人と接していくうちに、いつもお金のことばかり考えていて人相の悪かった育子も、少しずつ優しい性格へと変わっていくのでした。

 そんな感じの、昭和の香り漂う下町人情ギャグ4コマ。ただし昭和なのは雰囲気だけで、ネタ自体は古くありません。0歳児のおりんちゃんが母親の面倒を見たり教訓を語ったりする、というギャップが一番大きな特徴なんでしょうが、昭和の雰囲気で今のネタをやる、というギャップもまた特徴の一つなのかもしれませんね。シュールともちょっと違う不思議な雰囲気が、心にじわじわくる楽しい作品でした。

 作者は現在、まんがタイムにて「PEACH!!」という温泉旅館4コマを連載中。女子高生が部活で温泉旅館を経営してるという設定なんですが、これもまたギャップを特徴とした作品です。つい最近単行本の出た「おちけん」も、女子大生が落語をやるという4コマですし、作者はこういうタイプの作品を描くのが好きなんでしょうね。どれも不思議な面白さがありますし、今後も読んでいきたいと思っています。

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