2009/12/24

サイボーグ009

Img543 石ノ森章太郎 著。週刊少年キングにて1964年連載開始、その後週刊少年マガジン、月刊少年ジャンプ、週刊少年サンデー等掲載誌をいくつも渡り歩き、1985年まで断続的に掲載。画像は文庫版全23巻。

 時はアメリカ、ソビエトによる東西冷戦のまっただ中、両国による宇宙開発競争は激化の一途をたどり、戦争は新たな地へ場所を移そうとしていた。そこに目を付けた秘密組織、黒い幽霊団(ブラック・ゴースト)は、未来戦計画を発動。それは、宇宙空間等の過酷な状況下でも自由に動き回れるサイボーグ兵士を開発し、各国に売りつける、というものであった。混血の日本人、島村ジョーは、少年院から脱獄したところをブラック・ゴーストにさらわれ、9体目の試作型サイボーグ、009に改造されてしまう。だが改造直後の機能テストを終えたところで、突如001から008までの8人と、彼らを改造したアルザック・ギルモア博士がブラック・ゴーストに対して反旗を翻す。当初は優れた未来の人間をつくるためと言われて協力していたギルモア博士は、未来戦計画の実体を知ってしまい、これ以上荷担はできないと逃げ出すことにしたのだ。ジョーを加えた一行は一時は脱出に成功するが、すぐにブラック・ゴーストの追っ手が現れ、彼らは休むことなく戦いを余儀なくされる。ブラック・ゴーストから本当に逃げ出すためには、奴らの基地を破壊し首領を殺すしかない。そう考えた009たちは、自らの自由を勝ち取るため、ブラック・ゴーストの基地へと潜入する……。

 そんな出だしの、近未来SFアクション。改めて説明するまでもないようなタイトルであり、そのキャラクターは多くの人が知っていることでしょう。発表された時、場所によって設定がけっこう違うらしく、上記あらすじは少年キング版の「誕生編」のもの。009のイメージって、単に悪の組織と戦う、というものだったんですが、初めてこの誕生編を読んだときは、ちゃんとそこに至るまでの過程が描かれていたんだなー、と感心したものでした。というか正直初めて読んだ子供の頃は、サイボーグという見た目の派手さに目を奪われて、その本質であった暗いテーマが理解できていませんでしたね。望まず人間離れした能力を身につけてしまった彼らが、誰に頼まれたわけでもなく、その能力を活かした戦いに身を投じていく。明朗快活なわかりやすいヒーローを否定するわけではありませんが、やはり個人的には、こういった陰のあるヒーローのほうが人間くさくてかっこいいなー、と思ってしまいます。まーでもそう思うのは、年を重ねたせいもあるんでしょうけどねー。

 構想ではこの作品には神との戦いを描く最終章があったらしいのですが、作者の死によって、永遠の未完となってしまいました。確かにストーリーには、神話や古代文明をモチーフにしたものが多く、いずれそういう展開になっていたとしても、きっと驚きはしなかったことでしょう。すべてを描ききって死ぬ、なんて都合のいいことはそうそうできることではないでしょうし、仕方のないことなんでしょうが、でもやっぱりその最終章は、読んでみたかったですね。

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2009/12/15

サラディナーサ

Img534 河惣益巳 著。花とゆめにて1985年~89年にかけて連載、単行本全9巻完結。画像は文庫版全5巻。

 時は西暦1571年、世界最強のスペイン海軍の中核を担うフロンテーラ公爵家の跡継ぎとして生まれた10歳の少女、サラディナーサは、レパントの英雄にしてスペイン王弟であるドン・ファンから、結婚を申し込まれてしまう。王弟という身分ながらフロンテーラ家に対しても礼を欠くことなく、また父レオンに匹敵する剣の腕を持つドン・ファンを、サラディナーサは徐々に慕うようになっていく。だが、自分こそがサラディナーサの本当の父であると考えるスペイン王フェリペ二世はそれを認めず、ドン・ファンをフランドル総督に任命し、遠くネーデルランドの地へと追いやろうとする。断れるはずもないドン・ファンはその命令に従い、こうして二人は、サラディナーサが17歳になった時に結婚をする約束をし、離ればなれとなってしまうのであった……。

 そんな出だしの、いわゆる大航海時代のスペインとその周辺国を舞台とした海洋ロマン。上記あらすじが文庫版1巻の半分くらいまでで、これにてプロローグ終了。時代は6年後に飛び、フロンテーラの姫提督として才覚を発揮していたサラディナーサは、未だネーデルランドで苦戦しているドン・ファンに会うため、フランドルへ向かうが……という感じで話は進んでいきます。サラディナーサ及びフロンテーラ家は架空のものですが、それ以外はすべて史実が元となっており、特にキーマンの一人であるドン・ファンは、スペイン王弟でありレパント海戦の総司令官であり、後にネーデルランド総督になるという部分までが史実通りです(もちろんそういう経歴になる理由は違うでしょうが)。他に、スペイン王フェリペ二世やイングランド女王エリザベス一世を筆頭に、細かい実在の人物も多数出てきて、非常にうまく作品に組み合わせてあると言えるでしょう。以上のような理由から、大航海時代の様々な事象、「世界最強と謳われていたスペイン王国」「カトリック対イスラムの戦闘であったレパントの海戦」「スペイン支配下のネーデルランドにおける独立戦争」「対スペインに暗躍する新興国家イングランド」等を前情報として知っていれば、格段に興味深く読めるようになる作品となっています。そしてもちろん逆にそのあたりの歴史を知らない場合、おそらくはストーリーの理解が難しくなってしまうのでしょうが、こういった史実を元にした作品は、そのあたりは避けては通れない道なんでしょうね。

 あとは、サラディナーサがスペイン海軍所属である以上、来るべきアルマダ海戦をどうするのか、というのが当初は気になってしまうわけですが、このあたりは婚約者であるドン・ファンがネーデルランドに左遷させられたという設定も搦めて、非常に面白い返しとなっています。これも、史実を知っていてこそ楽しめる部分であるわけで、オンラインゲームである大航海時代onlineをサービス開始当初からプレイしている私にとっては、ピンポイントで楽しめる作品でした。

 こういった史実を元にした作品というのは、時代考証と歴史との整合性を高める作業が非常に面倒なんじゃないかと思うんですよね。ところがこの作品は、少なくとも私が読む分には特に違和感も無かったですし、作者のストーリー構築力は高いなー、と思わせるに十分なものではありました。こうなると他の作品も読んでみたいとは思うのですが、実はこの作者、絵が古いタイプの少女マンガという感じで、ちょっとその、普段の私だったらまったく手に取るような絵柄ではないんですよね。この作品も、大航海時代onlineで一緒に遊んでいる友人から教えてもらわなければ、まず読むことは無かったでしょうし……。長編にいきなり手を出すのはちょっと怖いので、機会を見つけて短編に手を出してみるのがいいのかなー、と思っています。

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2009/11/07

サディスティック・19

Img492 立花晶 著。花とゆめにて1990年~98年にかけて連載、単行本全7巻完結。

 その世界のあらゆる場所には、どこかおかしな人……もとい、存在があった。良家のお嬢様なのに、涼しい顔をして猟奇でサディスティックなことをする重政佳子。花粉症に悩む、妖怪百目の母娘。耽美をこよなく愛する究極のナルシスト、西神田夢彦。一般家庭に拾われ、なぜか馴染んでしまっている油すまし。そしていいわけ巫女は蛇に呑まれ、失意のへいマン(木下孝夫)は塀の上を走り、シュメール人のマスクそっくりのシュメールは男子生徒の心を鷲掴みにするのであった……。

 そんな感じの、オムニバス形式のショートギャグ。いわゆる不条理4コマのショートギャグ版、というのが一番わかりやすい説明かもしれません。ギャグはシュールやブラックなものが多く、オチてないことをオチにするなどの変則的なネタも多数。上記あらすじは一応シリーズ仕立てになってるものからピックアップしましたが、一発ネタもかなり多く、どれも独自の面白さを持っていて、私は非常に好きでした。ただ、少女漫画誌で果たしてこういう作品がウケるのかという気はしましたが、8年近くも連載したことを考えると、それなりにはウケていたと言っていいんでしょうね。

 作者はその後も細々と作品を発表し続け、現在はMELODYにて「すぴすぴ事情」という鳥エッセイマンガを連載中とのこと。単行本も出ているそうですし、次の機会に買ってみようとは思います。ただできることなら、そのうちでいいので、またこの作品のようなショートギャグを読んでみたいなー、と期待しています。

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2009/11/01

さゆリン

Img486 弓長九天 著。まんがタイムジャンボにて2002年連載開始、まんがタイムスペシャルとの2誌連載を経て、2007年連載終了。単行本全4巻完結。

 鈴本さゆりは、ちょっと変わった女子高生。頭の回転は早く、行動力もあり、学業成績は非常に優秀。肝心の性格だって、良く言えば天真爛漫ほがらかなわけですが、その実体は学校に土鍋を持ち込んでおかゆを作ったりする等、何をしでかすかわからない娘さん。常人とは違う発想で周囲の人たちをけむに巻きつつ、その反応を楽しんでしまうような底意地の悪さも兼ね揃えています。ところが邪気はふんだんにあるさゆりですが、悪意が無いことはわかっているため、友人の高品勇太や菅原いずみもあきれ顔ながら嫌うことはありません。そんな友人たちに囲まれて、今日もさゆりは言いたい放題やりたい放題に、我が道をいくのです。

 そんな感じの、学園コメディー4コマ。独自の空気を持った作品で、勇太やいずみがさゆりのぶっとんだ言動に巻き込まれたり、時には対抗したりという、言葉の応酬によるかけあいが非常に楽しい作品。さゆりが恋愛をネタにした発言をすることは多々ありますが、自身が自分の恋愛に関してまったくもって無関心なので、ラブコメでは無いと思います。勇太のことは三度の飯より好きと公言はしていますが、LoveじゃなくてLikeである、という事なんでしょうね。扱いは下僕だし。ただ、お互いが好意を持ち合ってるということは理解している(と思う)ので、連載が続けばそういう展開もあったのかなー、なんてちょっと思ってしまいます。そういう展開のさゆりんも読んでみたかったなー、と思いますが、まぁ今更ですね。さゆりの性格は現実世界で生きるには不向きなものなんでしょうが、ぜひこのまま行き続けて欲しい。ついそう思ってしまうほど、さゆりというキャラクターは私にとっては好ましいものでした。総合的な可愛さで言ったら、いずみの方が上だとは思いますけどね(だいなし

 作者は現在、まんがタイムラブリーにて「あさぎちゃんクライシス」を連載中。これも同じような空気を持った作品で、さゆりんに敗けず劣らず面白いです。本当は「あさぎちゃん~」の感想を書こうと思ったんですが、調べてみたらさゆりんの感想を書いてなかった事に気付いて、先にこっちを書きました。もうとっくに書いたつもりでしたよ。

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2009/09/25

サイコスタッフ

Img453 水上悟志 著。まんがタイムきららフォワードにて2006年~07年にかけて連載、単行本全1巻完結。

「努力に勝る才能なんかない」をモットーとする一見平凡な高校3年生、柊光一は、大学受験を間近に控えた12月のある日、生まれて初めてのラブレターをもらう。だが、体育館裏で待っていた桜木梅子という光一好みの可愛い女生徒は、開口一番、あなたを惑星ルルイエ宇宙軍超能力部隊にスカウトしにきました、と電波懸かったことを言うのであった。もったいないと思いつつも即座に踵を返す光一だったが、梅子はしつこく光一につきまとい、受験勉強中の彼の家にまで押しかけてくる始末。梅子が言うには、光一には大学受験なんてバカらしくなるような、巨大な超能力の才能があるらしいのだが……。受験勉強で忙しい光一は、これ以上付き合っていられないと梅子を突き放そうとするが、それなら梅子は自分が宇宙人だという証拠を見せると言って、光一の目の前で突如大型ロボットを出現させる。まさか本当に宇宙人だったとは……。光一は超能力で空中に待避しながらそう言うと、改めてスカウトに応じる気は無いと言い、そのまま飛んで逃げようとする。梅子は光一が力に目覚めていたことに驚きつつも、出現させたロボットに光一の捕獲を命じるが、50億人に1人というBクラスサイキッカーの力を持つ光一の前には、そのような強硬手段はまったく通用しないのであった……。

 そんな出だしの、平凡な生き方を望む超能力者とそんな彼を連れて行こうとする宇宙人のドタバタコメディー。SF要素とラブコメ要素も有り。話は単行本1冊分全7話と短く、いくらでもできそうな寄り道展開はほとんどありませんが、それ故に一気に読める、きっちりまとまった良い作品でした。面白かったです。

 キャラも良いし展開もまぁまぁ、終わり方も満足できる出来だったわけですが、一つだけ注文を付けるとすると、ラストの「誕生日」が絡むネタは、SF作品としては果たしてどうなんでしょうか。サイキッカーが次の誕生日を迎えると云々、というネタなんですが、これが宇宙規模で考えるとあきらかにおかしい。誕生日とは、地球時間で1年が経つと再び巡ってくるものであり、1年とは、地球が太陽のまわりを一周するのにかかる時間、なわけですが、水星の1年は地球の1年より短いし、木星の1年は地球の1年より長いのは当たり前。となると、宇宙規模で考えた場合、次の誕生日、という定義方法は出身星によってまちまちなものになってしまうわけで、今作においてサイキッカーが次の誕生日を迎えたら云々、って話は設定として使うには不適当だと思うんですよね。星座は地球から見るから星座になるのであって、宇宙規模で考えたら存在しえない、というのと多分同じです。

 明らかに重箱の隅ですし、この一件でこの作品の評価が下がるわけでもありませんし、さらに言えば所詮は素人のSF考証なので、何かが決定的に間違っているという可能性も大いにあるわけですが、私は「誕生日」という設定にどうしても違和感を感じてしまった、というお話でした。

 作者はこの作品よりも、ヤングキングアワーズ「惑星のさみだれ」の方が有名ですかね。面白いという話は聞いていたので、読もうかなーと思いつつまだ手が出ていなかった、という状態だったのですが、この作品がこれだけ面白いのなら、他の作品もぜひ読んでみたいと思います。

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2009/09/24

サイダースファンクラブ

Img452 小坂俊史 著。まんがライフMOMOにて2003年~07年にかけて連載、単行本全2巻完結。

 メジャーデビューを目指し三年前に上京してきた、女子スリーピースバンド、サイダース。ギターのやよい、ベースのむつき、ドラムのしわすというメンバーで地道にライブ活動を行ってはいますが、残念ながら未だ鳴かず飛ばず。本日の合同ライブも、客は少ないわやよいがいつも通りに弦を切りまくるわと良いところ無しだったのですが、ところがなんとそのライブを見ていたという音楽事務所社長から、うちからデビューしないかという話が舞い込みます。嬉しい話だけれど、相手は聞いたこともないような弱小音楽事務所。例えデビューできたとしても、きっと今までと変わらないようなドサ回りの日々が続くはず。そんな事を考える3人でいしたが、だけどついに訪れたこのチャンス、逃すわけにはいきません。サイダース、いよいよ念願のプロデビューです!

 そんな出だしの、スリーピースバンド(ようは3人組バンド)を主人公としたコメディー4コマ。アマチュアだったサイダースがプロデビューし、成り上がっていく様を描く作品と見せかけて、作中ではイロモノ扱いなので最後まであんまり売れません。ネタは専門的な物は少なく、バンド活動というものをよく知らない私でも、まったく理解できないネタというものはほとんどありませんでした。ただ、バンドをやっている人にとってはこれはあるあるネタなんだろうなー、というものがいくつかあり、それが理解しきれなかったであろうことがちょっと残念でしたね。サイダースの、プロなのにこんなんでいいのかよー、と思わず突っ込まずにはいられない言動が、非常に笑える作品でした。

 作者はデビュー作?の「せんせいになれません」を筆頭に、現在も複数の作品を連載中。また、同じく4コマ漫画家の重野なおきとは親交が深いらしく、同人活動も一緒にやっていたようで、それをまとめた「ふたりごと自由帳」という共著も出しています。個人的には、現在は重野なおきが一歩リードかなー、と思ってはいますが、小坂俊史も全然面白いですし、これからも期待しています。

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2009/08/26

酒は辛口 肴は下ネタ

Img422 みさき速 著。ヤングチャンピオンにて2008年より連載中、単行本1巻まで以下続刊。

 女嫌いの硬派な青年、野々宮太郎が一人で切り盛りをする、東京下町の居酒屋「男道」は、安くて旨いが身上の、純粋に味を楽しむ酒呑みの店。高級店じゃない、小さくても客が飾らずに楽しめる店がやりたいと考えていた太郎にとって、男道は理想の店であった。だがある日その店に、ガラガラより先に張型を握り、枕絵以外の絵本には見向きもせず、寝物語には団鬼六を読んでやらねば寝付かなかったという、骨の髄からの色魔にして太郎の歳の離れた小学生の妹、花七が現れ、彼を実家に連れ戻そうとする。実は太郎の実家は京都で300年続くすっぽん料理の老舗「華屋」なのだが、そこの長男であるにも関わらずしきたりにより後を継ぐことができないため、太郎は家を飛び出してしまった、と花七は思いこんでいたのだ。だが、口を開けば出てくる言葉は悪意の無い色ネタだが、兄を想う気持ちは本物であった花七は、いつも仏頂面でずっと幸せではないんだと思いこんでいた兄が、ここでは客にも慕われ幸せに店をやっていたことを知り、連れ戻すという考えを改める。自分を理解してもらったのだと喜ぶ太郎であったが、花七のしばらくこの店で社会勉強させてほしいという願いをうっかり聞き入れてしまったがために、その日から色魔、花七による悪意の無い色ネタトークが、大事な店にこだまするようになってしまうのであった……。

 そんな設定の、居酒屋というか小料理屋を舞台とした色ネタコメディー。花七の思考、セリフは等は、それが下ネタと受け取られると思いながらの意図的なものでは(多分)無いので、下ネタではなく色ネタと言うべきだと思います。受け手からしたら下ネタになるんでしょうから、タイトルはこれでいいんでしょうけどね。どちらにせよ、小学6年生の女の子がそういうセリフを喋りまくるというギャップと、大人なのにそれに振り回される太郎という構図で笑いを取る、コメディー作品です。「曲芸家族」といい「殺戮姫」といいこれといい、最近の作者の作品はどれも主人公の男が女に振り回されるという構図ばかりなのですが、そいういった構図がそもそも好きだし描きやすいんでしょうね。私も好きですので、もっとやってください(聞いてない

 この野々宮花七というキャラクターなんですが、作者の他作「曲芸家族」に、同姓同名見た目も同じのキャラが出てくるんですよね。性格もかなり近いのですが、設定が微妙に違うので、一応別キャラなんでしょう。曲芸家族の花七を元にして、この作品の花七をつくった、というのが正解なのかなー。それ自体は別に問題でもなんでもないんですが、こういうことをやられてしまうと、曲芸家族の再開はもう無いであろうことを思い出してしまい、非常に淋しいです……。

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2009/08/10

サマーウォーズ

Img405 原作・細田守、漫画・杉基イクラ、キャラクター原案・貞本義行。ヤングエースにて2009年より連載中、単行本1巻まで以下続刊。

 決勝戦で敗れて、数学オリンピックの日本代表になり損ねた高校生、小磯健二。失意の中、普及率が携帯電話と同じくらいという全世界規模の電脳空間「OZ」のメンテナンスアルバイトを友人の佐久間と共に行っていた彼の元に、彼が密かに憧れていた先輩の篠原夏希が、突然他のアルバイトの話を持ってくる。その業務内容は、夏希と一緒に田舎に旅行をするというもの。佐久間のおせっかいによりその任を引き受けることになった健二だったが、その実体は、戦国時代から続く武家の家系である陣内家の第16代当主であり、夏希の曾祖母である陣内栄の90歳の誕生日を祝う会に付き従い、東大生で旧家の出でアメリカ留学から帰ったばかりという設定の元、夏希の婚約者のフリをする、というものであった。流されるがままに大家族に紹介され、栄からの祝福も受けてしまった健二は、一人っ子で両親も多忙な毎日を過ごしているということもあって、大家族という温かさを感じてはいたが、同時にこれは嘘なんだという疎外感も感じでいた。そんな夜、健二の携帯に「Solve me」というタイトルで本文は数字の羅列だけ、というメールが届く。てっきり何かのクイズだと思った健二は、それを解析して返信するが、翌朝彼は、電脳空間OZが何者かにハッキングされ、その容疑者が彼である、というニュースに叩き起こされる。まったく身に覚えのない健二であったが、佐久間からの連絡によると、OZの2056桁の暗号で守られているセキュリティが、昨晩破られたのだという。その2056桁の暗号とは、昨晩健二の携帯に送られてきた数字と同一の物。そう、健二は図らずも、OZのセキュリティを守る暗号を解いてしまっていたのだ……。

 そんな出だしの……これ、分類するとなんなんだろう。パニックSF? OZとは全世界規模の電脳空間で、そこを使って公共サービス等も受けられるし、ハッキングされれば現実世界での権限も奪われてしまう、という設定です。そしてそこがハッキングされ、現実世界が大混乱に陥り、それに対し陣内家の面々+健二が立ち向かう、というのがこの後のストーリーですね。現在劇場公開中のアニメ映画「サマーウォーズ」のコミカライズ作品であり、1巻でだいたい映画の半分弱くらい。結末が同じになるのかどうかは知りませんが、今までのところはほぼ映画のストーリーに準じています。映画もそうですが、このくらいまではまだ健二と夏希がメインに出張っているので、話に入り込みやすいですね。この後の2人の空気っぷりったらもう……。いやいやいや、とりあえずもう一回観にいくよ!

 この作者の作品を読むのは初めてですが、Gファンタジーやドラゴンエイジでいくつも連載をしていて、単行本も何冊も出ているそうですね。絵もうまいし漫画としてもまったく問題のないレベルですので、機会があったらオリジナル作品も読んでみたいと思います。

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2009/08/01

殺戮姫

Img396 みさき速 著。週刊少年チャンピオンにて2007年に短期集中連載、単行本全1巻完結。

 臆病でものぐさな高校生、石動王士(おうじ)を慕う、いつも手袋をしている女子高生、森川流(るう)。彼女は実は、人間のことを嫌だと思ったとき、そこにいる人たちを無差別に殺してしまうという、凶悪な殺人鬼だった。自分が虐げられても耐えられるが、自分以外が虐げられた時に発する苦痛を感じ取ったとき、殺人鬼へと変貌してしまう流。それに勝る感情は、王士への愛情のみ。必然的に王士は、全世界を流という殺人鬼から守る救世主ということになってしまうのだが……流が人間を嫌と思うきっかけをつくりだすような、法で裁くことが難しい凶悪犯罪者たち。流の兄は、彼女のガス抜きのためにと、流にそういった犯罪者を殺させようとする。そして流を唯一止めることができる王士は、そこではたと思い悩む。はたして自分は、そういった者たちならば、流の魔の手から守らなくてもいい、と言ってしまっていいのだろうかと……。

 そんな設定のヒューマンドラマ。スプラッター要素多々有り。基本的には、法で裁けないような悪人を裁く、というスタイルなわけですが、そこに上記のような、凶悪犯なら殺してもいいのか? という葛藤が加わる感じです。さらにそこに、流は一定期間ごとに人を殺してガス抜きをしないとやばい、という正当性も加えている感じですね。あるていど長期の連載になれば、最後はついに覚醒してしまった流に対し、王士は……という形の最終章になるんでしょうが、残念ながらそこまでは行かずに終了となってしまいました。短期集中連載が当初の予定通りだったにしても、人気があれば続いていたんでしょうし、ちょっと残念でしたね。ただまぁ、凶悪犯の描写はなかなかにグロいし、読んでスカッとするタイプの話でもないので、人間の陰鬱な部分ばかり読まされてもなぁ、という感想になってしまいがちなのも、正直なところだったんですけどね。さじ加減の難しい作品だったということでしょうか。

 作者は現在、ヤングチャンピオンにて「酒は辛口 肴は下ネタ」という作品を連載中とのこと。「曲芸家族」の一キャラが主人公らしいので、単行本が出たらぜひ読んでみたいと思っています。あと、今週の週刊少年チャンピオン(2009年35号)にて、「特攻天女」の番外編が掲載されていたりします。特攻天女は読みたいとは思っているんですが、まだ読んでないんですよねー。文庫版でも刊行されれば、それを機会に読むんだけどなー。

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2009/05/27

三国志

Img328 横山光輝 著。希望の友(後に「少年ワールド」、さらに「コミックトム」と改題)にて1971年~86年にかけて連載、単行本全60巻完結。

 およそ1800年前、後漢王朝の支配する中国本土で起こった黄巾賊の乱は、悪政で疲弊していた世をさらに混乱の渦へと落とし込んだ。そんな折、前漢皇帝の血を引く劉備は義兄弟の関羽、張飛らと共に黄巾賊討伐のための義勇軍を旗揚げし、世に名乗りを上げる。それは、今後約100年にわたって繰り広げられる、魏、呉、蜀による三国時代の幕開けであった。

 三国志にはまず歴史書である正史としての「三国志」があって、それを元にフィクションを交えて書かれた小説が「三国志演義」、さらにそれを元に吉川英治が書いた小説「三国志」があって、それを元に横山光輝が描いたマンガ作品が本作、という立ち位置です。もちろん、そんなことは知らなくても大いに楽しめますが、フィクションがだいぶ混じっていますので、作品内の記述が真実なんだと思いこむのは色々な意味で危険です。

 内容はもう好きな人に対しては説明する必要もないでしょうが、古代中国の魏、呉、蜀という三国の戦いを舞台とした英雄譚、というのがしっくりくる表現でしょうか。実際には黄巾の乱→後漢の滅亡=魏呉蜀の建国→蜀の滅亡まで、という流れで、前半は日本の戦国時代と同じように、あくまで国で一番偉いのは皇帝(天皇)であり、その条件下で劉備、曹操をはじめとする各地の将軍(大名)が覇を競っている、という形です。そして後半では皇帝が廃位となり、魏呉蜀の各国がそれぞれ新皇帝を名乗って戦う、という感じです。めちゃめちゃ大ざっぱですけどね。間違ってたらごめんなさい。

 英雄譚というだけあって、登場人物には善悪さまざまな魅力的な人物が多く、エンターテイメント作品として非常に優れていると思います。名前を挙げればきりがありませんが、一人挙げるとすれば前半の呂布でしょうか。彼なくしてはこの作品を完結まで持っていくのは難しかったんじゃないだろうか、と思ってしまうくらいの素晴らしいキャラクターでしたね。

 横山光輝と言えば、「伊賀の影丸」「鉄人28号」「バビル2世」「魔法使いサリー」等、もう初期の日本漫画界を支えた偉大な人物の一人ですよね。この三国志ももちろん代表作の一つでしょう。巻数が多いのがネックですが現在でも文庫版や愛蔵版で読むことができますし、一度読んでみて損はない作品だと思います。

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