2009/12/29

SPRIGGAN

Img553 原作・たかしげ宙、作画・皆川亮二。週刊少年サンデーにて1990年連載開始、その後掲載誌を週刊少年サンデー増刊号に移し、96年完結。単行本全11巻。画像は文庫版全8巻。

 高度に発達しすぎてしまったが為に滅んだと言われる、超古代文明。彼らが残した様々な遺産は、現代の科学力では到底解明できないような、恐るべき力を秘めた物ばかりだった。そんな折に深海の底から発見された、年代も材質も不明の金属プレート。それには古代ヘブライ語で「我々が残した様々な遺産を、悪しき目的の者から守ってほしい」というメッセージが刻まれていた。全世界規模の巨大財閥、アーカム財団に所属するS級エージェント、通称スプリガンの一員である男子高校生、御神苗優の仕事は、そういった古代文明を守り、封印すること。例え背後にアメリカやロシアといった巨大国家がついていようとも、相手の目的が古代技術の戦争利用である限り、一歩も引くことは許されないのだ……!

 そんな設定のSFアクション。神話に出てくるような様々な古代技術は、超古代文明が残した遺産だった、という設定のもと、それを奪おうとする様々な組織と、優たちスプリガンの戦いを描く、という感じの内容です。扱う遺跡、遺物は、メギドの炎、ノアの箱船、バベルの塔、水晶髑髏、オリハルコン、賢者の石、等々一般に知られているものが多く、対抗組織もアメリカやロシアを筆頭とした知名度の高いものばかりなので、「もし本当に古代文明から現代の科学力を超える技術が発見されたらどうなるか」を考えたとき、本当にこのマンガのようになってもおかしくはない、と思えるようなつくりになっています。むしろ一番現実的でないのはアーカム財団なのでしょうが、そのあたりの話も作中で語られており、ある程度満足はいきます。まぁ、そういった政治的駆け引き部分よりも、最前線で戦う御神苗優たちが繰り広げる人間ドラマとバトル、が一番面白い部分だとは思いますけどね。

 作者はその後、複数の作品を発表していますが、個人的にはアニメ化もされた「ARMS」と現在連載中の「ADAMAS」が、スプリガンの後を継ぐ作品と言えるんじゃないかなー、と思っています。なのでどっちかと言うと、私は原作担当のたかしげ宙よりも、作画担当の皆川亮二の方が好きなんでしょうね。原作と作画が違うマンガの場合、たいてい私は原作びいきだと自分では思っているだけに、めずらしい結果だと思っています。

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2009/12/09

すいーとるーむ?

Img523 東屋めめ 著。まんがタイムにて2006年より連載中、単行本3巻まで以下続刊。

 とある建築資材会社の設計担当のゆかりさんは、設計以外の様々な仕事もテキパキこなす有能社員。そんな彼女の住んでいる所は、夜になると静かなビル街という立地、セキュリティーも万全で安心安全、通勤時間もかからず朝ものんびりでき、家賃も光熱費も一切不要という夢のような場所……そう、なんと彼女が住んでいるのは、会社内だったのです。元々は普通に通勤していたゆかりさんでしたが、通勤時間がもったいないと毛布や寝袋持参で社泊を繰り返していたところ、会社の業績が上がったために社長の許可が下り、住民票まで移してしまったとのこと。そしてそんなゆかりさんの事が好きな中途採用社員の永井くんは、彼女を起こすという役目を得るために毎日朝早くの出社を心がけていますが、まだまだ仕事のミスが多く、ゆかりさんからフォローしてもらう毎日。100%の確信が持てたら告白するつもりではあるのですが、果たしてその日はいつになったら来るのでしょうか……。

 そんな感じの、オフィスコメディー4コマ。上記の通り、ゆかりさんは職場にそのまま住んでいて、さらに買い物等も可能な限りネットで済ませるため、会社からほとんど出ない、というのが基本設定です。主人公はゆかりさんで正しいのでしょうが、そんなゆかりさんに対する永井くんをはじめとする社員の人たちの反応、というのがネタの基本ですね。ゆかりさん自身は有能ということもあり、ボケは主に永井くんの担当となっているので、永井くんも主役と言っていいのかもしれませんが、そのためには今後どれだけゆかりさんに近づけるか、が問題となるでしょう。そしてコメディー作品である以上、少なくとも最終回まではずっと関係はこのまま、という可能性は高いわけですね。報われないだろうけどがんばれ永井くん!

 作者の作品はどれも面白いのですが、勢いやインパクトに任せたオチとか、読者の想像に委ねるオチとか、そういうのがほとんど無いのがポイントなのかなー、と今回なんとなく思いました。個人的にはそういった傾向が一番色濃く出ている「ご契約ください!」が一番面白いとは思うのですが、うーん、これって、メリハリの付いた作風とでも言えばいいのかな……? ちょっとこのあたりの分析は、今後の課題としたいと思います。

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2009/12/01

SWOT

Img515 杉田尚 著。週刊少年ジャンプ2009年52号掲載読み切り。

 東大に入ってNASAに勤めることを目指し、毎年30人もの東大合格者を出しているという県立紅葉高等学校に転校してきた学崎強。だが彼の思惑とは裏腹に、昨今の少子化の影響で合併が進んだ紅葉高校は、今でも東大合格者を15人程度は出す一方、不良たちの抗争で校内が荒れているという、勉強にはあまり向かない環境となってしまっていた。クラスで騒いでいる不良を一蹴できるほどケンカは強いが、不良は嫌いだし勝った負けたに興味も無い学崎は、静かな場所を求めて女生徒が一人本を読んでいるだけの屋上へと辿りつく。だがその女生徒、蓮野ねねは、一人で名のある不良グループ3つを潰したという不良女であり、しかもあろうことか学崎は、その蓮野に一目惚れをしてしまうのであった……。

 そんな感じの、学園+ラブコメ+バトル。ラブコメとバトルの比率は3:7くらいだと思いますが、これ、6:4くらいにならないものですかね?(今日の結論)

 まずバトル部分に関してですが、学崎のケンカが強い理由は、あらゆる要素を瞬時に数値化してアルゴリズムに当てはめ、勝つための確率を割り出して行動している、と言う感じの、よくある机上の空論タイプです。ストーリーはオーソドックスではありますが一応ポイントは抑えられていて、ラストまで筋は通っていますが、これはできることならば、主人公の戦い方に将来の夢であるNASAを絡めるとかしてほしかったですね。第一宇宙速度パンチとか(ボツ) あと理屈バトルの側面もあるのですから、蓮野がなんで強いのかの理由付けも欲しかったところです。以上のような理由から、バトル物として最低限のレベルには達していますが、それ以上ではない、と私は思いました。

 そしてラブコメ部分ですが、「俺と一緒に勉強しないか?」には正直ちょっと驚かされました。ラブコメバトルというタイプの作品で、まさかこんな展開になるとは予想できませんでしたよ。だけど惜しむらくは、進展がほとんど無いこと。連載作品ならこの程度の進展速度でもいいんでしょうが、読み切り作品でラブコメ要素も入れるなら、もうちょっと進めてくれないと困ります(私が)。そして進まない理由は、やはり比重がバトルに寄ってるからだと思うんですよね。バトル作品としては完結してるけど、ラブコメ作品としては完結してないわけで、だからこそ最初に言ったように、比率をバトルとラブコメで4:6くらいにして、バトルは完結しなくてもラブコメは完結させてほしかった、ということに繋がるわけです。

 斬もバトル物であったことから、おそらく作者はバトル物を描くのが好きなんだろうなー、とは思いますが、ここらで一つ、ラブコメ要素の強い作品を描いてみたりしてくれないでしょうか。もしそうなれば、少なくとも私は非常に期待して読みますよー。

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2009/10/27

School Rumble

Img481 小林尽 著。週刊少年マガジンにて2002年~08年にかけて連載、単行本全22巻完結。

 この春から高校2年生となる塚本天満の目下の悩みは、片思いしている烏丸大路と同じクラスになれるかということ。1年生のよくできた妹、八雲に付き添ってもらいながらクラス分け表を見にいくと……なんと同じクラス! 近くで男友達と話している烏丸に向かって、「1年間よろしく!」と心の中で言う天満でしたが、なんとその瞬間、烏丸の会話が聞こえてきます。「僕、転校するんだ。明後日」 ……幸福から不幸へ一瞬で突き落とされた天満でしたが、それでもめげずにせめて告白だけでもしようと、徹夜でラブレターをしたためます。ところが首尾よく読んでもらえたというのに、あろうことか記名を忘れてしまうという大失態。私の初恋は終わった……。そう思う天満でしたが、何故か翌日も烏丸は学校にいます。伝え聞くところによると、両親に頼んで転校を1年伸ばしてもらったとのこと。どうして!? と驚く天満でしたが、実はその理由は、天満が出した未記名のラブレターに記された、「行かないでください」の一言がきっかけだったのでした……。

 そんな出だしの、コメディ比率高めのドタバタラブコメ。上記あらすじは第1話のものですが、第2話は今度は天満に片思いしている元ヤンキー、播磨拳児がメインであることからわかるとおり、天満と播磨の二人がメインと言っていい感じです。二人がそれぞれ片思いしている相手に対し、今回はこんなことをしてもっとお近づきになろう、とバカなことを企てては失敗するのが非常に楽しい作品でした。

 ところが、巻が進み登場人物がどんどん増えていくに従って、徐々に徐々に天満の出番は減っていき、播磨を中心に据えたコメディ比率低めのハーレムラブコメっぽくなっていってしまいました。それはそれで面白かった……とは思うんですが、私は初期のドタバタラブコメが本当に好きだったので、どうしても純粋に読むことができなかった、という残念な作品でもありました。単行本を6巻で買うのをやめてしまったのは、秘密にしておいてください。まーでも、ショートラブコメにしては異例と言える長期連載ですし、その方針は正解だったんでしょうけどね。

 作者は現在、月刊ガンガンJOKERにて「夏のあらし!」を連載中。連載がスクランとかぶってる時期もあったわけですが、週刊少年誌で描いてる人が同時期に他出版社で連載を持つ、ってめずらしいですよね? そんなことないのかな? またスクラン初期のようなコメディー比率の多い作品で帰ってきて欲しいですが、でも正直それは難しいのかなー。

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2009/06/26

スケッチブック

Img360 小箱とたん 著。月刊コミックブレイドにて2002年より連載中、単行本6巻まで+出張版1巻まで、以下続刊。

 高校一年生、梶原空の趣味は、絵を書くこと。出かけるときはいつもスケッチブックを持っていき、心に入ってきた景色を、それに描き残すのです。そんな空が入部した美術部は、顧問の先生を筆頭に、先輩も同級生も個性的な人たちばかり。今日も空は美術部へ行き、絵を描いたり描かなかったりと、平和で、だけど刺激的な日常を過ごすのです。

 そんな感じの、美術部の面々を主人公とした日常4コマ。美術部をメインの舞台としていますが、部活動ネタは正直少ないです。なので、蒼樹うめ「ひだまりスケッチ」とは、似ているように見えて意外に違います。美術ネタももちろんありますが、どちらかといえばキャラの良さで持っている作品と言えるでしょうね。美術部という根本的な設定をあまり活かしていないにもかかわらず、キャラの良さで非常に面白いという、一風変わった作品と言えるでしょう。むしろ、ストーリー4コマでなく日常4コマなら、このほうがいいのかもしれませんね。言い過ぎ?

 この作品は今後もずっとこんな感じでいいとは思うのですが、作者の今後について、ちょっと不安な部分があります。それは、2006年~07年にかけてコミックブレイドMASAMUNEで連載していたストーリーギャグ「私は野球部マネージャー」(単行本「スコアブック」収録)が、正直今一歩というか、二、三歩な作品だったということです。なので、スケッチブックが終わった後の次の連載が、作者の漫画家としての本当の勝負になると思います。まだ先の話だとは思いますが、その時はぜひがんばってください。

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2009/02/05

ストロベリーシェイクSweet

Img197 林家志弦 著。百合姉妹にて2003年連載開始、雑誌休刊に伴いコミック百合姫に移り、2008年まで連載。単行本全2巻完結。

 芸能プロダクション、上海芸能に所属する期待の若手タレント、橘樹里亜は、女同士という関係ながら、後輩で付き人となった浅川蘭に一目惚れしてしまう。そういった経験の無かった樹里亜はどうすればいいのかわからないまま空回りを繰り返すが、彼女らの周りには女性を好きな女性が何人もいて、それらがさらに混乱を加速させていく。そうこうしているうちに蘭も雑誌モデルとしてデビューすることになり、樹里亜の付き人を卒業する。はたして二人の関係はどうなってしまうのか……。

 林家志弦らしい百合コメで、樹里亜がアホすぎてもう最高です(褒め言葉) 他作同様直接的な描写はほとんど無いですが、セリフはそれなりに過激です。樹里亜と蘭は結局の所相思相愛なのですが、そこに至るまでのすれ違いやドタバタをコメディタッチで描いて笑わせてくれます。百合コメはラブコメでもありますが、三角関係っぽいものは基本存在しないので、そういったドロドロした部分も無く、よく言えば気楽に読めますし、悪く言えば緊迫感は無いかもしれません。頭をからっぽにして笑いながら読むのが良いと思います。

 作者の作品は、この樹里亜といい「はやて×ブレード」の黒鉄はやてといい、おバカな主人公がホントいい味を出していますね。はやてブレードは剣戟マンガですが、こちらもストロベリーシェイクほどではないにしても百合要素有りで、作者はこういうタイプの作品とキャラがほんとに好きなんだなー、と思ってしまいます。

 そしてそのはやてブレードですが、電撃大王にて連載中に突然ウルトラジャンプに移籍という、一体何があったんだろう? という状態なんですよねー。理由は全然わかりませんし、とても残念ではありますが、とりあえずウルトラジャンプでの連載は順調そうですし、がんばってほしいものです。

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2008/11/09

Smileすいーつ

Img105 佐野妙 著。まんがタイムファミリーにて2006年より連載開始、単行本1巻まで以下続刊。

 仕事はできるが性格はちょっとオヤジのようなOL、園原塔子と、料理裁縫得意な世話焼き女子高生、園原果歩の姉妹は、他の誰よりもお互いのことを一番に思う、たった二人の大切な家族なんです。

 姉妹系4コママンガとしては、わりとよくあるパターンだと思います。両親はいないと臭わせる話はありますが、具体的には一切表記されてません。つまらなくはないけれどちょー面白いというわけでもなく、フツーに面白いレベルの作品です。

 じゃあなんで取り上げたのかというと、一点目が、この作品が作者初の単行本だということ。単行本前半と後半で絵がかなり変わっていて、成長というか苦悩の跡が見えます。後半の線が太い絵のほうが、温かみがあって圧倒的にいいですね。後半になるに従って作品に味が出てきたなー、と読みながら思っていましたが、絵柄が変わってきたという理由も大きいのかもしれません。

 二点目が、同作者が他誌で連載している「森田さんは無口」という4コマが、ちょー面白いということ。こちらは2008年12月に単行本発売予定でして、非常に楽しみです。本当は森田さんは無口のレビューをしようとしていたのですが、smileすいーつの単行本が出るということで、順序を変えました。

 そんなわけで、私が今後期待している、4コマ作者の一人というわけでした。

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