2009/09/20

それだけでうれしい

Img447 松田円 著。まんがタイムスペシャルにて2006年~09年にかけて連載、単行本全1巻完結。

 年上好きで惚れっぽくて、でも巡り合わせが悪いのかいつもふられてしまう、喫茶ペルメッソのマスター、将一。そんな彼の幼なじみの夕子は、将一がふられるたびに、自家製のぼた餅を差し入れます。すると決まって将一は言うのです。俺、夕子と幼なじみで良かった。夕子のぼた餅食うと、俺元気出るし、と……。好きなものはつくれても、好きなものにはなれない。でも今は、こうやって半泣きの笑顔で、ぼた餅を食べてもらえる。今はただ、それだけで、うれしい――。

 そんな感じの、夕子の片思い恋愛ストーリー。展開は非常に遅く、外的要因によって徐々に徐々に夕子が自分の気持ちに整理をつけていく、という感じの物語なのですが、毎話が8Pしかない全20話のショートストーリーなので、1話1話に遊びがない、濃い作品になっています。なんというか、仮にこの作品がショートストーリーでなく、1話45Pの月刊連載とかだったりしたら、絶対にこんな風にまとまらないと思うんですよね。毎話8ページしか無いがために、8ページごとに夕子の心を一区切りさせなければならない。それを20回繰り返した後の結末は、オーソドックスながらも、非常に心穏やかに、夕子の事を応援できるものになりました。派手さも盛り上がりもあまり無いけれど、読後感の非常に心地良い、素敵な作品でした。

 作者の他作は、「サクラ町さいず」や「つくしまっすぐライフ!」等の4コマ作品は読んでいたんですが、非4コマ作品をこんなに描ける方だとはちょっとわかっていませんでした。正直これだけ描けるなら、4コマをメインとしている出版社以外でも全然いけると思います。4コマ大手4社ではストーリーマンガは難しいでしょうし、次はぜひ他社でいいので、ストーリーマンガでの連載を期待しています。アフタヌーンあたりどうですか?

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2009/09/16

空の下屋根の中

Img443 双見酔 著。まんがタイムきららCaratにて2008年より連載中、単行本1巻まで以下続刊。

 高校を卒業して、大学に行くでもなく、就職するでもなく、特にやりたいことの無かった笹川香奈絵は、世間で言うところのニートとしての生活を送っていました。しかし漠然とながらもこのままでいいはずはないと、とりあえずアルバイトをしようと考えますが、自分で自分がどうしたいのかがわかっていないため、事態は遅々として進みません。そんな状況の中、スーパーに就職した友人のまゆこや、プログラマーをやっている同級生の木津くんらに少しずつ感化された香奈絵は、とあるおもちゃ屋のアルバイトに申し込みますが……。

 そんな感じの、高卒無職の女の子を主人公としたほのぼのストーリー4コマ。スタート時点ではニートですが、求職活動はしてるし、1巻後半ではアルバイトも始めるので、自分探し系ストーリー4コマとでも言うのが一番あってるのかなー。もしこのままずっとおもちゃ屋のバイトをしていくのなら、フツーにおもちゃ屋を舞台にした日常4コマ、とかになりそうです。以上のように、今後の舵取り次第でどう展開するのかまったく読めない作品なのですが、特筆すべきは作品全体に流れるこのぬるま湯加減。こんな都合のいい展開&バイト先ねーよ、と言いたくなるくらいのぬるい展開ではありますが、不器用ながらもがんばる香奈絵ちゃんが主人公であるからこそ、こんなにも読んでいて心地の良いほのぼのとした作品に仕上がったのでしょう。ギャグやシュールがもてはやされる4コマ界ではありますが、それら以外で久々にこれはいいなー、と思える作品でした。

 というわけで、作中には悪人も悪意も出てこないわけですが、単行本書下ろしページに悪意を持ったニートキャラが登場します。名前は不明の高卒ニート君なのですが、これがなんというか末は立派な2ちゃんねらー? みたいな? 連載形式になっていて全4話(?)載っているのですが、正直これをまともに描かれると、滝本竜彦・大岩ケンヂ「NHKにようこそ!」みたいになってしまいそうで、ちょっと怖いです。単行本2巻にも登場するのかどうかは不明ですが、もし出てくるにしても、ギャグタッチにしておいてほしいなー、と思っています。というかギャグタッチにしてくれないとやだよ!(聞いてない

 作者の他作ですが、ラグナロクオンラインの単行本があるようですが、これってアンソロの再録なのかなー。この作品は面白かったし、ちょっと読んでみたい気はするんですが、アンソロの再録だとすると多分ほとんど持ってるので、躊躇してしまいます。うーん、しかし調べようがないよなー。

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2009/06/27

それでも町は廻っている

Img361 石黒正数 著。ヤングキングアワーズにて2005年より連載中、単行本5巻まで以下続刊。

 丸子商店街のメイド喫茶「シーサイド」でアルバイトをしている嵐山歩鳥は、推理小説が好きで将来の夢は探偵という、ちょっと天然でアレな頭脳を持った高校一年生。と言っても探偵になるための努力をしているわけではなく、放課後はメイド喫茶シーサイドでのウェイトレス三昧の日々を送っています。しかし、シーサイドには客は正直あんまり来ません。それもそのはず、この丸子商店街にとっては、メイド喫茶なんてあきらかに場違いなのですから……。

 そんな設定の、歩鳥を中心とした日常コメディー。メインの舞台がシーサイドであることは今も昔も変わりませんが、話が進めば進むほどその頻度は下がり、メイド喫茶であることの意味はどんどん薄れていきます。そもそも作者はメイドカフェ等に行ったことがなく、よく知りもしないらしいので、その部分を求めて読むのは間違いということでしょう。ですが、そんなことが気にならないくらい歩鳥の日常が面白い……というか、興味深い? という、どこか不思議だけどついつい読んでしまう、わけのわからない作品です(褒め言葉

 分析するに、歩鳥の思考回路や言動が常人とはちょっとずれているのは明らかなわけで、そのずれている部分がどう日常に反発されたり受け入れられたりするのか、という反応が面白いって事なんじゃないのかなー。こういった作品は理詰めでつくるのは難しいでしょうし、作者のセンスに頼る部分が大きいんでしょうが、作者のセンスに頼る作品というのは読者の好き嫌いも別れると思うので、うかつに他人に薦めづらいのが困りものだったりします。いやでも、ホント面白いですよ?

 作者は他に、週刊少年チャンピオンにて「木曜日のフルット」を連載中。この作品よりもう少しシュール寄りな2ページマンガで、内容は同じく日常系。この作品に出てくる紺先輩も、メインキャラとして出てきたりします(同一人物かどうかは不明) そして一番重要なのは、今現在の週刊少年チャンピオンで、(私には)一番面白いマンガである、ということ。早く、早く単行本をプリーズ! 施川ユウキが離脱中の今、チャンピオンを支えられるのは君しかいないよ!(黙れ

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2009/03/08

ソウルイーター

Img244 大久保篤 著。月刊少年ガンガンにて2004年より連載中、単行本13巻まで以下続刊。

 人の姿と意志を持つ「武器」と、その武器を扱い鍛える「職人」。武器によって殺された人間は魂となり、人間の魂99個と魔女の魂1個を食べることにより、武器は死神に仕える「デスサイズ」となる。死神武器職人専門学校、通称死武専に通う鎌職人のマカ=アルバーンと、その武器ソウル=イーターは、魔女と間違えてネコの魂を食べてしまったため、集めた人間の魂99個を無駄にしてしまう。同様に現在集めた魂が0個の暗器職人ブラック☆スターと、その武器の中務椿と共に補習授業を受けることとなるが、その内容はゾンビ化した死武専教師シドと、シドをゾンビ化させた黒幕の魂を奪う、というものであった。

 そんな出だしのペアアクションバトル。職人、武器、死神、魔女と、文章にするとやや世界観の理解が難しいですが、読む分にはすんなり入り込めます。上記あらすじはだいたい1巻の内容ですが、この補習授業編が終わるともうメインストーリーである魔女メデューサ編に入ってしまい、ソウルをデスサイズにするとかそういう話では無くなってしまうのが驚きでした。普通ならしばらくは魂集めの話を繰り返すでしょうし、せっかくの設定を全然使わないのはもったいない、という気持ちもあったのですが、使っていなくても全然面白いので、これで正解だったのかもしれませんね。

 連載開始からもうすぐ5年と長期連載になりつつありますが、まだまだ終わる様子はありませんし、今後も楽しみです。

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2009/02/04

ゾンビ屋れい子

Img194  三木本礼 著。ホラーMにて1998年~2004年にかけて連載、全11巻完結。文庫版全7巻発売中。

 死体をゾンビとして蘇らせたり、再び死者に戻したりすことができる女子高生、姫園れい子は、その力を利用したゾンビ屋という商売を行っていた。依頼者はさまざまな理由でれい子に死者を蘇らせることを頼み、ゾンビとして蘇った死者はさまざまな真実を語りだすのだ。それはほとんどの場合新たな悲劇を生むが、それはれい子の感知することではなかった。そんなある日、幼女29人連続殺人の犯人が百合川サキという女子高生だと突き止めたところで、れい子は不意をつかれて首を切られ、サキに殺されてしまう。だが死者をゾンビとして蘇らせる呪文を録音しておき、自身が死んだときに流れるようしておいたれい子は、ゾンビとして一時的に復活、サキを殺し、事件は解決を見るのだった。

 その後、病院の地下で首だけのホルマリン漬けとなっていたれい子だったが、首を切られて死亡したゾンビ使い、天野良香の首から下を利用することで復活。自身を殺した百合川サキを召還ゾンビとし、生き別れの双子の姉、姫園リルカの野望を打ち砕くために立ち上がる。

 1巻はホラーマンガですが、2巻以降はゾンビを使ったバトル物に。たとえて言うなら、1巻はジョジョの2部までで、2巻以降は3部以降みたいな感じです(荒木飛呂彦にあやまれ!) スプラッターなマンガなのですが、作者のセンスのせいかなんともおバカな作品でもあり、グロいんだけど意外に笑って読めるという不思議な作品でした。ゾンビバトルもスタンドバトルそのまんまじゃんかーとツッコミ入りそうですが、ある意味シュールで笑えますよ。

 作者の次作「巨乳ドラゴン」は読んだのですが、正直イマイチでした。またゾンビ屋れい子のようなおバカで面白い作品を期待しています。

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