2009/11/11

でもくらちゃん

Img496 なかせよしみ 著。同人誌にて1997年より断続的に発表、単行本全1巻完結。

 昭和20年、出茂倉家に一組の双子が生まれた。昭和42年、双子は同じ日にまた双子の母となり、平成に入ってその二組の双子は、またしても同じ日に今度は全員三つ子を授かる。そして現在、出茂倉家には、見た目も行動もそっくりな12人の女の子がいるのであった……。

 見た目も性格もまったく同じという、4組の三つ子を主人公にしたショートコメディー。実際には姉妹と従姉妹の集団ですが、感覚的には12人の多胎児と捉えて問題ありません。個人個人の判別は親ですらできませんが、普段はヘアゴムの色の組み合わせで、年に一度の誕生日には指紋のチェックで判別しています。ただし作中では個性が出ることは無いので、判別の必要はありません。そもそも白黒じゃあ判別もできませんし(笑) ネタとしてはもちろん12人のそっくりな子というのをメインに出したものがほとんどですが、前述通り個性が出てくることはなく、12人が日常生活の中で同じような行動を取り、それによって引き起こされる笑い、とういものがほとんどです。普通なら長女、次女、とかで性格を変えて個性を出して話を作るところなんでしょうが、これはちょっと意外でしたね。名前すら数人分しか出てきませんし。

 そんな感じの内容であり、一見イロモノ系かと思うわけですが、ところがどうして、非常によくできた、面白い作品だったりします。作者が意図的に表現している部分として、とある一連の動作(例えばアイスを買って転んで落とすところまで)を12分割し、それを12人に当てはめて1コマに収める、というものが何度も出てきますが、やはりこれが1コママンガ的な面白さもあって一番上手いですね。他には意図的にコピーを11枚使う手法や、個性を出さない意味もあってセリフが極端に少ない事など、どれも実験的なものだとは思いますが完成度はけして低くなく、設定とかみあった上手い表現だと思います。抜群に面白いというわけではありませんが、興味深いという意味でも非常によくできた作品だと思いました。

 単行本は1巻で終わりであり、同人誌もNo12(!)でシリーズ完結とのことですが、その後も作品は断続的に発表されているので、そのうち2巻が出る可能性もあるかもしれませんね。作者は他には、SFJapanやコミックリュウにて連載があるとのことですが、pixivに同人誌収録作品が多数アップされているのもポイント。私も今回調べていて知ったばかりで、まだ数作品しか読んでないのですが、正直どれもレベルは高く、かつ登録数もすごいです。興味を持たれた方は、ぜひpixivにて「なかせっとマンガ」でタグ検索してみてくださいませ。

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2009/11/09

デカガール

Img494 原作・長崎尚志、漫画・芳崎せいむ。Kiss PLUSにて2008年より連載中、単行本2巻まで以下続刊。

 塩見駅前交番勤務の巡査部長、日野まる香は、非番の日に辞表をしたためていたところを、猟銃を持った籠城犯が立て籠もる現場に呼び出される。それは籠城犯に出前を届けるためであり、まる香が呼び出されたのは、彼女がそば屋の娘だからという理由だった。幼少時、実家のそば屋によく来ていた刑事から、刑事とは本当にこまってる人を、何を求めず命をかけて助ける人のことだと聞かされ、それ以来刑事を目指していたまる香。だが刑事選科への推薦はしてもらえず、理想と現実とのギャップにも悩んでいた彼女は、最後の仕事としてこの事件に挑むことを決意する。ところがいざ出前を籠城犯のところに持っていったところ、人質となっている犯人の元妻と子供から、まる香はパニック寸前の動物のような匂いを感じ取る。これ以上は人質が持たない。とっさにそう判断したまる香は……。

 そんな出だしの、刑事マンガ。上記あらすじは第1話のもので、事件解決後まる香は捜査一課に配属となり、刑事としての生活がスタートしていく、という感じです。この作品における特殊設定として、主人公のまる香は鋭い嗅覚を持っており、また小さい頃からたくさんの動物たちと一緒に暮らしていたため、彼らが出すにおいから緊張や退屈、空腹に親愛と言った感情を読み取れるようになった、というものがあります。まる香はその能力をきっかけに様々な事件を解決していくので、さしずめ嗅覚刑事と言った感じでしょうか。刑事物としての内容はオーソドックスなもので、現時点ではフツーに面白いという感じですが、動物の感情がわかるという設定はうまく使えばもっともっと話を面白くできるんじゃないかと思うので、今後も期待していきたいです。

 原作の長崎尚志は、浦沢直樹「20世紀少年」に名前が記載されていたのは知っていましたが、それ以前は漫画雑誌の編集をやっていて、なんとビッグコミックオリジナルやスピリッツの編集長をやっていたこともあるんだそうですね。ちょっとびっくりです。また、複数のペンネームを持っていて、実は芳崎せいむの前作「テレキネシス」の原作者である東周斎雅楽という名前も、長崎尚志の別名だそうです。正直、なんでそんなに名前使い分けるんだろう? とは思ってしまいました。出版社別に変えているというわけではないようなので、作品の内容によって変えたりしているのかなー。

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2009/10/29

テラオ

Img483 近藤るるる 著。ファミ通にて2009年より連載中、単行本1巻まで以下続刊。

 転任先は同じ都内の小学校ですと言われ、それならばと承諾した若手教師、石原駈の転任先は、なんと都内は都内でも小笠原諸島のトーサン島であった。生粋のゲーム好きである石原は、ゲームが発売日に買えなくなると思いつつも、仕方なく25時間かけてトーサン島へと向かうが、なんと彼が担任を任された小笠原小学校の分校には、1人(?)の奇妙な生徒がいた。どうみても外観はロボットだが、仕草や言動は人間という彼の名は、テラオ。どんなハードのソフトでも再生できるスーパーウルトラDXマルチドライブを持つ、某ゲームメーカー製の次世代試作機なのであるという。持ってきたハードを不幸な事故ですべて壊してしまっていた石原は、さっそく某モンスターハントゲームをテラオで再生しようとするが、てっきり目がプロジェクターとかになっているのかと思ったところ、何も変化は無くその日は終わってしまう。ところが翌日石原は、烏骨鶏のボスが逃げ出したという話を耳にする。だがそれは烏骨鶏というには余りに大きく凶暴な、テラオで再生しようとした某モンスターハントゲームに出てくるような怪鳥なのであった……。

 そんな出だしの、ご町内SFコメディー。テラオでゲームを再生すると、それが現実世界にフィードバックされる、という感じの設定です。ありがちなものだとは思いますが、ゲーム雑誌掲載のコメディー作品としては合っていますし、完成度も高いと思います。なによりテラオのメーカーロゴがセガっぽいというお遊びが、私は大笑いしてしまいました。設定や今後の展開等、まだまだ見えてこない部分はたくさんありますが、今後とも楽しみに読み続けたいと思います。

 そして作者の他作同様、この作品も世界観が繋がっており、「たかまれ!タカマル」に出てきた蓮沼さんがこの作品にもメインキャラとして出てきます。SML(雑誌)も出てきますので、となれば当然タカマルたちが現在どうなってるのかもいずれ出てくることでしょう。そのあたりも非常に楽しみですので、ぜひ出してくださいねー。

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2009/10/04

電波の城

Img461 細野不二彦 著。ビッグコミックスピリッツにて2005年より連載中、単行本8巻まで以下続刊。

 所属タレントは0で借金も山のようにあるという、元敏腕マネージャー、鯨岡平助の事務所に、ある日1人の女性がやってくる。元サッポロFMのアナウンサーで、気象予報士の資格も持つという25歳の女性、天宮詩織から、これを使えば借金も返せるし道も開けるのではと元所属タレントの流出画像を渡された鯨岡は、こんなものを使って成り上がろうなどとは考えてもいない、と写真を破り捨てるが、それは実は天宮が鯨岡の人となりを判断するための仕掛けだった。こうして鯨岡のことを信義に篤い男として認めた天宮は、なんとその場で一千万円の小切手を出し、社長の鯨岡ごとこと事務所を買い上げると宣言。そしてオーナーとなった天宮が鯨岡へ伝える最初の仕事は、一週間以内にBSでもCSでもいいから、天宮のアナウンサーとしての仕事を取ってくる、というものであった……。

 そんな出だしの、テレビ局(=電波の城)を舞台としたストーリーマンガ。一見すると成り上がり系に見えますが、この後天宮はBS局のお天気お姉さんとなるが、実は彼女には隠された事実があり……という感じで話は進んでいくので、成り上がり系では無いことは確かだと思います。天宮の目的はトップキャスターになる、ということになっていますが、どうやら幼少時のある宗教法人が起こした事件の真実を暴く? みたいな目的が潜んでいるようですし、その点からも確かでしょう。と言っても本当のところはまだわかりませんし、そもそも物語はまだまだ途中なんでしょうから、今後どうなるのか、楽しみに読み続けたいと思います。

 あとこの作品には、もう1人の主人公という立ち位置で、テレビ局記者の谷口という男が出てくるのですが、この男がイマイチ天宮に絡んでこないんですよね。まったく絡んでないわけではないのですが、立ち位置的にはもっと絡んでもおかしくないと思うんですよ。おそらくは今後絡んでくるのでしょうが、それが一体どのような形でやってくるのか、その点も楽しみにしたいと思います。

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2009/09/09

でじこのチャンピオンカップ劇場

Img436 コゲどんぼ(現在は こげどんぼ*) 著。週刊少年チャンピオンにて2001年~02年にかけて連載、単行本全1巻完結。

 将来の夢は大女優という、遠いデ・ジ・キャラット星の第一王女、でじこ。現在は地球に留学中であり、ゲーマーズでお手伝いをしながら生計を立てている彼女の趣味は、なんと地球征服。とは言っても口だけで、現実には何も行動を起こしていないのでしたが……。なんとここに、その手始めとして週刊少年チャンピオンを乗っ取るため、読者参加ページチャンピオンカップに堂々の宣戦布告! どうなる週刊少年チャンピオン! というか正気かでじこ!?

 言わずと知れたブロッコリーのイメージキャラクター、デ・ジ・キャラットを主人公とした、2ページギャグです。描いているのも、こげどんぼ*本人。週刊少年チャンピオンにてそれまでも存在していた読者参加ページ「チャンピオンカップ」を、上記のでじこがDJ風にお届けする、というスタイルにリニューアルさせたわけですが、その際に同時に掲載されていた作品です。ただし作品内でチャンピオン及びチャンピオンカップに触れることはまれで、単なるでじこやぷちこ、うさだにぴよこらが登場するショートギャグ、という感じでした。ところが、すでに完成しているキャラを使ったという点を考慮した上でも、作品自体のショートギャグとしてのレベルは高く、こうして一冊にまとまっていると、だらだら読むのには最高、という意外な評価の作品となりました。いやホント、だらだら読む分には面白いですよ。

 そんな内容なわけですが、それよりも注視すべきは、なぜ「週刊少年チャンピオン」に「デ・ジ・キャラット」を持ってきたのか、ということですよね。最近の週刊少年チャンピオンは、あきらかにヤンキーと萌えを両立させようとしている不可思議な雑誌になっているわけですが、今思えばその傾向は、この頃から顕著になってきたのかなー、という気がします。そもそも秋田書店とブロッコリーの関係が不明な以上、コラボ企画が通ってしまうということ自体も驚きなんですが、チャンピオンはこれで読者層を広げようとしたんでしょうかねぇ……。しかし、でじこがチャンピオンに出張っていたのは約1年半と短期だったわけですが、現在は萌え系作品が複数掲載されていること、かつ発行部数が減ってないらしいことを考えると、成功だったということなんでしょうね。いやいやいや、騙されてないか? 騙されたいんですよ!(聞いてない

 こげどんぼ*と言えば昔はイラストレーターという印象であり、代表作もこのデ・ジ・キャラットだったわけですが、現在は漫画家として「ぴたテン」や「かみちゃまかりん」が代表作と言えるでしょう。チャンピオンで描いたのはおそらくブロッコリー側からの依頼でしょうし、週刊少年チャンピオンに再登場することは無いとは思いますが、また作者によるショートギャグも読みたいなーと思うので、その際はぜひ秋田書店の他誌でよろしくお願いします。

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2009/05/30

天上天下

Img330 大暮維人 著。ウルトラジャンプにて1997年より連載中、単行本20巻まで以下続刊。

 統道学園に入学した凪宗一郎とボブ牧原、通称「爆拳(ナックル・ボム)」の2人は、初日からさっそく学園をシメるためのケンカを始める。向かうところ敵無しの二人だったが、そこに柔剣部部長の棗真夜と高柳雅孝がやってきて、なんと宗一郎は真夜の一撃で窓の外、柔剣部のシャワー室まで吹っ飛ばされてしまう。そしてその時シャワー室は、真夜の妹の亜夜がちょうど使用していたところだった。「棗家の女子たる者、その肌を許す者にその生涯を捧ぐべき」 亜矢の突然の求婚に対し、宗一郎と真夜は違った理由で困惑し、雅孝は大ショックを受ける。だがそれは、彼ら彼女らの前に待ち受ける巨大で壮絶な運命の、まだほんの最初の一歩なのであった……。

 そんな出だしの、超常バトルアクション。序盤はまだリアルファイト系ですが、中盤以降は異能の力を持ったキャラが続々登場してきます。宗一郎も龍拳という敵の異能を奪い取る異能持ちです。ストーリーはこの後宗一郎とボブも柔剣部に入り、執行部との因縁の戦いに入っていくわけなのですが、柔剣部と執行部の確執自体が実は400年前から続く異能を持つ者と持たざる者の因縁の中から生まれたものであって、最終的にはおそらく、その400年前から続く因縁に終止符を打つ、ということになるのでしょう。……多分。そしてそのキーマンは、異能を食う能力を持つ凪宗一郎と、過去現在未来を見通す能力を持つ棗亜夜である、ということなんでしょう。……多分。

 世間的にはストーリーの評価は非常に低いというか悪いようですが、ようは、意味が理解できない、ということなんだと思います。もちろん私だって、今回改めて読み直してみても上記の程度くらいにしかわからないわけで、それすら正解なのかどうかもわかりません。だけど少なくとも、完結までは追っかけてみよう、というくらいには思っています。

 あともうひとつポイントは、他のキャラが魅力的すぎるせいか、主人公であるはずの宗一郎の影が薄いということ。いやけして絶対的には薄くないんですが、相対的には明らかに薄い。もう棗真夜を主人公にしちゃえばいいじゃない? という気分です。

 1巻の表紙がいきなりパンチラなことからも想像できるように、わりと18禁描写がよく出てきますので、注意が必要です。エロだけでなくグロもけっこう出てきます。ただ絵は細かくて綺麗だし動きもいいし、ストーリーが難解な事を除けば問題なく面白い作品なんじゃないのかなー、と私は思っています。

 作者は他に、週刊少年マガジンにて「エア・ギア」を連載中。週刊連載と月刊連載を同時に持つっていうのは、最近にしては珍しいですよね。しかもこの絵柄でできているのだから、たいしたものだと思います。内容は実は未読なのでわかりませんが、パラ見した感じではこれもまたバトルアクション? そうだとするとまたストーリーは難解なのかもしれないし、天上天下が完結してから考えようかなー、と今のところは思っている次第です。

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2009/05/20

鉄腕アトム

Img322 手塚治虫 著。少年(雑誌名)にて1952年~68年にかけて連載、単行本は、写真のサンコミックス版は全21巻+別冊1巻にて完結。現在は文庫版等様々な形態で発売中。

 二足歩行ロボットがごく普通に存在し、人間と同じように学校へ行ったり仕事をしたりするようになった架空の現在。科学省長官の天馬博士は、愛する息子、飛雄を交通事故で失った悲しみから、飛雄そっくりのロボットをつくることを決意する。だが完成した飛雄は、仕草や行動は天馬博士を満足させる出来であったが、身体が成長しないというロボットとしては当たり前の、だが天馬博士にとっては致命的な欠点を持っていた。結果、飛雄はサーカスに売られてしまい、アトムという名で芸をしていたところを、偶然サーカスを見に来ていたお茶の水博士によって保護されることとなる。こうして保護者を得、教育を受けたアトムは、持ち前の正義感と10万馬力のパワーで、悪の組織やその手先のロボットから人間を守るため、戦うのであった。

 説明するなんておこがましいレベルのロボットマンガ。設定的には近未来ですが、アトムがつくられたのは作中では2003年なので、現在だったりします。ストーリーはシリーズ形式で、アトムが悪の組織やそこのロボットと戦うとか、ロボットがからんだ犯罪に巻き込まれて犯人を捕まえるとか、そういうパターンが多いです。基本的には勧善懲悪ですが、これは作者の性格からかあまり悪人っぽくない悪人が出てくることも多く、人間と照らし合わせてなかなか考えさせられる話も多いです。現在この作品を読むと、将来がアトムのような世界になるとはちょっと思えない部分も多いですが、それでもロボットマンガとしての基本の部分は今でも十分に鑑賞に耐えうるというか、問題なく面白いです。こんな作品が半世紀も昔に発表されているなんて、手塚治虫は話作りからしてもやはり天才だったんだなー、と思ってしまいます。

 アトムは掲載誌「少年」の休刊で中断されてしまった作品らしく、一応「アトムの最後」という最終回っぽい話はあるのですが、作者自身はまだまだ終わらないつもりだったと単行本にも書いてあります。今となってはもうありえませんが、仮に作品が描き続けられていたらどうなっていたのかなー、と思わずにはいられませんね。というかこうしてみると、きちんと完結してる作品って意外に少ないですよね……。

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2009/04/14

DEATH NOTE

Img284 原作・大場つぐみ、漫画・小畑健。週刊少年ジャンプにて2003年~06年にかけて連載、単行本全12巻完結。

 全国共通模試1位の頭脳を持つ高校生、夜神月(ライト)は、ある日校庭に落ちていた一冊のノートを拾う。そのノートは、ノートに名前を書かれた者は死んでしまうという、死神リュークが退屈しのぎにわざと人間界に落としたものであった。ノートの力を手に入れたライトは、この力により自分の存在を表に出すことなく犯罪者を裁き、かつ悪いことをした人間は誰かに裁かれるというルールを知らしめることにより、真面目で心の優しい人間だけの世界を作り上げることを決意する。だが一方その頃、世界の迷宮入り事件を解いてきたこの世界の影のトップ、最後の切り札とされるL(エル)は、ICPO(国際刑事警察機構)の全面協力を得、この不可思議な連続殺人事件の犯人を捕まえるために動き出す。こうしてライトとエルの、全知全能を賭けた戦いがはじまった……。

 サスペンスミステリー。ノートには「その人物の顔を思い浮かべながら本名を書くと死ぬ」「ただ名前を書いた場合は40秒後に心臓麻痺で死ぬ」「物理的に可能な範囲で死因や死ぬ時間も決定できる」等、色々なルールがあるわけですが、それらの力を知った上でエルを殺そうとするライトと、それらの力を推測しつつライトを追いつめようとするエルの、頭脳勝負が話のメインになります。序盤から中盤にかけては、まさしく知恵比べという感じで非常に面白く読んでいましたが、2人目のノート所有者が出てきたあたりから徐々に設定マンガに移り変わっていき、エルが死んだ後はもう蛇足、というのが私の残念な感想でした。せめてエルとライトは相打ちになってほしかったです。エルがライトに殺されるというのは、読者の予想は確かに裏切ったわけですが、期待も同時に裏切ってると思いますしね。

 原作の大場つぐみは、現在再び小畑健とコンビを組み、同じく週刊少年ジャンプにて「バクマン。」という目指せ漫画家青春ストーリーマンガを連載中。中高生の漫画家になりたいという妄想を形にしてみました、というイメージがどうしてもぬぐえない内容だとは思いますが、話のヒキがうまく、面白いですね。殺伐としていない分、私はデスノートよりも好きかもしれません。今後の長期的な展開をどうするつもりなのかまったく読めない作品ですが、そういう意味も含めて期待しています。

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2009/03/20

天のおとしもの

Img260 住吉文子 著。月刊Gファンタジーにて2002年~05年にかけて連載、単行本全5巻完結。

 見た目はクールで無愛想な学者の卵、アーガイルは、実は異常なまでの子供好きだった。なぜ子供はあんなにも愛くるしいのかを解明すべく、子供の愛らしい最終形態「天使」についての研究を日々続けるアーガイルだったが、成果はなかなか出ず、彼は学園を追放される瀬戸際まで来ていた。そんなある日、歩いていたアーガイルの上に、頭に翼の生えた一人の少女が落ちてくる。あまりの愛くるしさと翼の存在に動揺しつつも、アーガイルは気を失っていた少女を自宅まで連れ帰り、介抱するが、目覚めた少女は彼がアーガイルだと知るや開口一番、あなたを殺して魂を天界へ連れていく、と言うのだ。アップルと名乗る頭に翼を持つ少女はやはり天使で、天界に関する研究をする人間を危険分子として排除するため、人間界へと遣わされてきたのだという。だが、翼を怪我していたアップルは飛ぶことができず、アーガイルの魂を天界へと連れていくことはできそうになかった。こうして怪我が治るまでという期限付きで、アーガイルとアップルの奇妙な共同生活が始まったのだが、自分に対して真摯に接してくれるアーガイルと一緒に暮らすうち、アップルは彼のことを殺すことができなくなってしまっていたのだった……。

 ロリコンをネタにしたハートフルギャグ。アーガイルはロリコンですが、性犯罪に走るようなキャラではなく、どちらかというと子供を溺愛する父親、という感じですね。ロリコンをバカにした作品ではありませんが、基本はギャグなので、ロリコンというネタを大げさに扱って笑わせようとする話は多々あります。それを笑って読めるか嫌悪を感じるかで、評価が大きく変わる作品なんじゃないでしょうか。私? 私はアーガイルのことを「アーガイゆさん」と舌足らずに呼ぶ、ちょっと腹黒なアップルのことが大好きですよ!(聞いてない

 作者はその後、PCゲーム「CLANNAD」のコミカライズ作品等、連載をいくつかしていましたが、2009年4月発売のドラゴンエイジ5月号より「うたヒメ!」という音楽コメディを新連載とのこと。作者曰く、久々に幼女が描けてニヤニヤします、だそうですので、そういう意味でちょっと期待しています。

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2009/03/14

天使だけが翼を持っている

Img250 萩原玲二 著。月刊サンデーGXにて2000年~01年にかけて連載、単行本全2巻完結。

 時は西暦2050年、ロシア連邦極東部の都市ウラジオストックに、ダーティ・ジョブ専門の便利屋「浦塩斯徳愚連隊カンパニー」を営む二人組の男がいた。射撃のロシア代表に選ばれながら、内戦でオリンピックそのものが中止となり、出場を逃した男、イヴァン・T・シャンス(ヴァーニャ)。NASAの火星探査プロジェクト最終選考まで残りながら、身体が大きすぎるという理由で(ヴァーニャ曰く、乗り物に弱いという理由で)落選した男、ホンダ・イスィロー(ゴジ)。10年続いたロシアの独立運動に端を発する内戦は、二人の元にもさまざまな依頼を舞い込ませる。そしてヴァーニャは、人殺しは二度としないという甘い人道主義を掲げながら、それらの依頼をこなしていくのだった。

 ヒューマンドラマ+ガンアクション。後に仲間となるヒミコも含めて、全員が根本的には善人であるというのが作品にヒューマニズムを与え、読後感を良いものにしてくれます。自らを「終わった人間」と定義し、「未来のある人間」を生かすため、銃を取る、というヴァーニャの考え方は、甘っちょろいものではありますが、好感は持てますよね。あと、途中から出てくるちびっこ依頼人のリザが、十字を切った後に「ていっ」というかけ声と共に電車の屋根に飛び乗ってくるシーンが好きです(聞いてない

 サンデーGX創刊号から掲載されている作品で、初期のGXでは一番好きだったのですが、イマイチ人気は無かったようで、わりとあっさり終わってしまったのが非常に残念でした。その後サンデーGXでは広江礼威「ブラック・ラグーン」を筆頭とするガンアクションマンガが複数連載されており、非常に複雑な心境です。きっとこの作品は、表に出るのが早すぎんだろう、と思うことで自分を慰めています。

 作者は現在、近代麻雀にて「アーニャの麻雀日和」を月一連載中。絵柄や雰囲気はそのままですが、内容はギャグマンガで、特別面白くはないなー、というのが正直なところです。またこの作品のようなヒューマンドラマ物を、気長に待ちたいと思います。なんといっても、私はこの作品を、マンガ版カウボーイビバップであるというくらい評価しているのですから。

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