2009/12/05

魔法先生ネギま!

Img519 赤松健 著。週刊少年マガジンにて2003年より連載中、単行本28巻まで以下続刊。

 ウェールズの魔法学校を卒業後、一人前の魔法使いとなるための修行として日本へとやってきた10歳の少年、ネギ・スプリングフィールド。その修行の内容とは、広大な敷地を持った麻帆良学園の女子中等部の先生となることだったのだが……まだ10歳の彼にとって、魔法使いであることを隠しながら年上の女生徒たち31人の先生になるということは、予想以上に大変なことであった。それでも無事に教育実習期間を終え、先生として正式採用されたネギであったが、徐々に彼は、この学園に隠された様々な謎を知っていく。そしてそれは、10年前に死んだとされる彼の父親にしてサウザンドマスターの名で知られる最強の魔法使い、ナギ・スプリングフィールドへと繋がっていくのであった……。

 そんな感じの、学園ハーレムコメディ→ファンタジーバトル。初期はホントにハーレム物で、ネギ自身は恋愛には疎いというかまだ10歳ということもあってまったく積極的ではないのですが、まわりの生徒たちが非常に積極的でもみくちゃにされてる、という感じです。ただしハーレム漫画としては人間関係以外の設定が非常に綿密であり、特に魔法の設定に関しては、単なるハーレム物であれば不要だと思えるくらいきちんと作りこまれています。というわけで当然のようにストーリーは綿密な魔法物にシフトしていき、十分面白かった学園祭編が終了した後、現在は魔法世界編へと突入しているわけですが……正直、これが本当の本編ってことでいいんだよね? と言いたくなるくらい私には面白いです。さらに、未だにハーレム物としての一面は失っておらず、作者のバランスを取る手腕は文句なしと言えるでしょう。また、設定も緻密ですが背景等の書き込みも非常に緻密で、もちろんアシスタントを使ってのことなんでしょうが、それでもこの書き込み量は尋常じゃないと思います。ただまぁ、これに関しては、それだけのアシスタントを雇える収入がある、ということなのかもしれませんけどね。

 ハーレム物の最大の問題として、女の子はたくさん出てくるけどメインヒロインは最初から決まっている、というものがあるわけですが、その点に関しては、確かにこの作品でもメインヒロインは神楽坂明日菜であり、問題が解決できているとは言いがたかったりします。しかしながら、現時点では魔法物としてのストーリーが面白いため、ハーレム物としての問題点は正直気にならないんですよね。これは、ハーレム物としての割合が減っているために起こっている現象であり、もしかしたらこの作品は、現時点ではもはやハーレム物とは言わないのかもしれません。

 作者の前作「ラブひな」は、受験ラブコメとして十分面白かったのですが、上記ハーレム物としての問題がまったくクリアできず、かつ当初の目的であった東大合格後のストーリーがあまりに蛇足すぎたという、個人的にはちょっと(かなり)後半がしょんぼりな作品でした。果たしてネギまのハーレム物としての締めはどうするつもりなのか。そのあたりも含めて、今後も楽しみに読み続けたいと思います。

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2009/11/15

まねこい

Img500 モリタイシ 著。ゲッサンにて2009年より連載中、単行本1巻まで以下続刊。

 美園高等学校2年生の薗田波留の片思いの相手は、成績優秀、眉目秀麗、運動神経も性格も良いというハイクオリティーなクラスメイト、本田知華子。だがある日波留は、彼女が学校帰りにカラオケスナックに入っていくところを目撃してしまう。さらにはショック状態のところをヤクザの押し売りに捕まり、恋愛ごとに効くというピンクの招き猫を5000円で買わされてしまった波留だったが、なんとその招き猫はある意味本物だった。波留が招き猫に願いを言った直後、なんとまねきワールドの住人であるという招木猫太郎が出現し、右手を上げた招き猫の基本通りに金を招いてくれると言うのだが……。もちろん、波留の願いは金運ではなく、本田知華子の事をまだあきらめたくない、というものであったのだった……。

 そんな出だしの、ちょっとSFチックなラブコメディー。ストーリーの基本はオーソドックスなもので、そこにあたかもドラえもんのような立ち位置の招木猫太郎が現れ、不思議な道具を使って波留のサポートをしたり、会話によるアドバイスをしたりする、という感じです。ラブコメ部分はそもそも作者の得意とする部分でしょうから問題なく面白いわけですが、別の部分で興味深いのが、この手のファンタジー設定マンガの禁句部分にあえて踏み込もうとしているところ。例えば招木猫太郎は人間界とは別次元にあるまねきワールドからやってきたわけで、そこには猫尻エリカというグラビアアイドルがいて猫尻クイーンという二つ名で呼ばれているとか、まねきワールドには政府があって招王(マネキング)が治めているとか、猫太郎が関西弁だとか、フツーに考えたらツッコミ所満載なわけですが、こういうのはギャグ部分として本来は笑ってスルーすべき部分でしょう。ところが作中では、波留が猫太郎に対してそういった部分を論理的にツッコんでるんですよね。果たしてこのツッコミすらがギャグなのか、それとも来るべき日のための伏線なのかはわかりませんが、もし伏線だったとしたらちょっとすごいなー、と期待しています。

 展開は非常にゆっくりなため(これでも作者は早くしたらしいですが、早くはないと思います……)、総合的な判断はまだまだできそうにないですが、現時点では恋愛部分もコメディー部分も噛み合っていて面白いとは思います。考えてみると、前作「RANGEMAN」があまり盛り上がらなかったのは、恋愛部分と変身ヒーロー部分のベクトルが違ってたのが原因だったんじゃないかと思うんですよね。その点今作は、猫太郎が絡むコメディー部分もベクトルは恋愛部分と同じなわけで、今後にも期待できるんじゃないかと思っています。

 作者は現在、月刊スピリッツにて「今日のあすかショー」というショートギャグも連載中。天然にエロい主人公の日常マンガという感じで、こちらも面白いです。ぜひこの2作品で成功を収め、いつかまた、週刊少年サンデーに戻ってきてくださいませ。

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2009/09/30

まじもじるるも

Img458 渡辺航 著。月刊少年シリウスにて2007年より連載中、単行本4巻まで以下続刊。

 小学生時代はスカートめくりの名手として女子から敬遠され、中学生時代はH本をみんなに貸し出して女子からエロ本大王と呼ばれ、高校生となった今は授業中に寝言で「おっぱい」と叫んでしまった為に女子から白い目で見られているという、ヘンタイシバキこと柴木耕太の願いは、可愛い彼女をゲットすること。そんな彼の元に、ある日魔女を名乗る口数の少ない女の子が現れ、お前は二日後に死ぬ、と宣言されてしまう。事の起こりはその前日、図書室で見つけた怪しげな魔女召喚の書に従って呪文を唱えた柴木は、願い事にウケを狙って「女子のパンツ」と言ったところ、家の机の上に女物のパンツが置いてあったわけなのだが、それこそが魔女召喚の書に従って呼び出された、この女の子魔女、るるもの仕業なのだという。願いを叶えた代償は、命。二日後に鳥葬にされると聞いた柴木は、誰のかもわからんパンツ一枚のために死ぬのか……と途方にくれるが、その時るるもが衝撃の発言をする。曰く、そのパンツは私のものであり、1枚しかないそのパンツを返してもらうのも、目的の一つだ、と……。ということはこの子は、今はいてない!? そのことに気付いた柴木は二日後に死ぬのも忘れ、るるものスカートの中を覗くことに全力を尽くしはじめるが……。

 そんな出だしの、魔女っ子コメディー。上記あらすじは読み切り時のもので、本編はこの後、結局死ななかった柴木の元に、今度は願いを言えばるるもが魔法で叶えてくれるというチケットが届き、チケットを使い切ると魔女見習いに格下げになっていたるるもは魔女に戻れるのだが、同時に柴木は死んでしまう、という感じで話は進んでいきます。魔法の使用制限があるのは別にフツーだとは思いますが、ダイレクトに死が近づいてくる、というのはなかなか笑いを取るのには使えるネタですね。大きな魔法を使うとチケットの減りが激しい、とかも、残り枚数を逆手に取れるうまい設定だと思います。あとは、無口で恥ずかしがり屋で世間知らずというドジっ子魔女、るるもの人間界での成長物語的な部分もあり、そのあたりも非常に面白いです。というか、なんで柴木はるるもにときめかないんのか疑問ですね。いや、きっとときめくのは、最終章と決まっているからなんでしょうが……。おそらく最終章のプロットはもう完成しているものと思いますし、それがいつになるのかはわかりませんが、楽しみに読み続けたいと思います。

 作者は現在、月刊誌でこの作品と、あと週刊少年チャンピオンにて「弱虫ペダル」というサイクルロードレースマンガを連載しているわけですが、最近の漫画家で週刊と月刊両方連載持ってる人ってちょっとめずらしいですよね。弱虫ペダルは休載もほとんど無いし、よく両立できてるなー、と思ってしまいます。仕事がもらえるうちが華だ、という部分も当然あるんでしょうが、身体をこわさない程度にこれからもがんばってほしいとおもいます。

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2009/09/22

マイガール

Img451 佐原ミズ 著。週刊コミックバンチにて2006年より不定期連載中、単行本3巻まで以下続刊。

 無くしてしまったシャープペンシルのフタの代わりにつくった、消しゴム製の天道虫。付属高校1年生の笠間正宗と、4つ上の大学生、塚本陽子の出会いのきっかけは、そんな些細な物だった。やがて交際を始めた2人だったが、正宗が3年の時に、陽子は待っていなくていいと言って、異国の地へ留学してしまう。ずっと、待ってます。そう言って毎日のように天道虫の小物を同封した手紙を送る正宗だったが、陽子からの返事は一切なく、やがて2年が経った頃、彼女がそのまま向こうで就職した事を知る。これでようやく、諦められる。そう気持ちを切り替えたものの、陽子が留学してから5年が経った現在も、正宗は未だ彼女の事を忘れられないでいた。ところがそんなある日、正宗の元に陽子の母親から、陽子が交通事故で他界したという連絡が入る。そして葬儀の場を訪れた正宗を待っていたのは、陽子にはコハルという名の、5つになる娘がいるという事実であった。そんな前からふられていたのか。そう思う正宗だったが、陽子の母親は正宗に対し、父親は貴方だと聞いています、と言うのであった……。

 そんな出だしの、父子家庭ストーリー。物語はこの後特に波風立つことなく、正宗とコハルが一緒に住み始め、少しずつ少しずつ心を通わせていく、という感じのものです。特筆すべきポイントとしては、物語の基本はもちろん正宗とコハルの関係を描いているわけですが、その2人と、2人を取り巻く人々、の関係がこれまた非常に心地よく描かれてる、という部分でしょうか。具体的に言うと、正宗の両親と陽子の母のエピソードで、もちろん一悶着はあったものの、結局は誰もが正宗とコハルに対し好意的であり、読んでいてとてもほっとできます。また、大家の老夫婦やコハルの小学校の友だちの姉のエピソードなども、正宗とコハルの2人に微妙に絡みつつ、良い読後感を味わわせてくれるでしょう。ただ個人的には、もうちょっとこう、コハルの年相応なところが見たいなー、という感じです。あまりに人間ができすぎているというか、色々我慢して、しかも我慢しているところを見せない、というのはホント偉いのでしょうが、もっと同年代の子と無邪気に遊んだり、我が儘も言わせてあげたいです。きっと正宗と心の底から親子になれれば、そういうエピソードも出てくるに違いない、と信じています。

 ある日突然、存在すら知らなかった子供と一緒に住み始める。というと、やはり宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」を語らないわけにはいかないのですが、受ける印象はだいぶ違ったりします。これは考えるに、今作において正宗とコハルは実の親子であり、2人の間には陽子という存在があることに対し、うさぎドロップのダイキチとりんは親子ではない(叔母、甥の関係)ので、他の存在が間に入らないということだからなのかなー、と思っています。なので実際には、思い出してしまったのは金田一蓮十郎「ニコイチ」の方でした。しかしニコイチはコメディなので、スタート地点以外はこれまた全然違うんですけどね。

 作者の他の作品は多分読んだことが無いのですが、透明感のある絵柄は読みやすく、また作風にも非常に合っていると思うので、これなら他の作品も読んでみたいなー、と思っています。

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2009/09/19

ママ

Img446 細野不二彦 著。ヤングサンデーにて1987年~92年にかけて連載、単行本全9巻完結。

 失恋したばかりの高校生、萩原行(コウ)は、引っ越し当日に自分だけ自転車で移動中、雨宿りに入った公園で一人の子供に出会う。まだ幼稚園にも入っていないようなその子供、留太郎にちょっかいをかけられ、ついムキになってしまったコウだったが、今度はそこに現れた留太郎の姉と思わしき女の子に変質者と勘違いされてしまう。なんとか誤解をといたコウは、その女の子、江夏みさをが働いている春巻食堂で、お詫びにとゴハンをごちそうになるが、同い年ということがわかり、会話もはずみ、コウはみさをのことをいいな、と思い始める。ところがなんと、最初に出会った子供、留太郎は、みさをの弟ではなく、子供であることが判明。そう、江夏みさをは17歳にして、なんと子持ちの出戻りなのであった……。

 そんな出だしの、コブ付きラブコメ。ラブコメとして設定は特異だとは思いますが、基本的な展開は非常にオーソドックス。シリアスとコメディの比率は7:3くらいでシリアスの方が多く、今後三角関係も多発するのでそのあたりで好き嫌いが別れると思います。特に物語ラストで、主人公のコウともう一人のヒロイン、佐倉恵との顛末は、展開上仕方ないとはいえ非常にやるせなかったです。三角関係物にしろハーレム物にしろ、あきらかに最終的に報われないことがわかってるキャラっていうのは、ホント見ていて辛いですね。しかも、コウの性格がこれまた仕方ないとはいえかなりな優柔不断、自分勝手なので、読んでいてけっこうきつかったです。もう一本のストーリーの軸である、床屋の息子であるコウが調理師を目指すという自分探し的な部分は、非常に面白かったんですけどね。現実的なのかもしれないけど、イコール面白さとは結びつかない。そんな、惜しい作品だと思いました。

 作者は漫画家生活も長く、代表作も多数という、もはや日本漫画界の大御所の一人なわけですが、正直このママは、高橋留美子「めぞん一刻」を意識してたんだろうなー、という印象がぬぐいきれない作品でもありました。偉大なる作品が他にあったため、それとずらさないわけにはいかない、という部分もあったのかなー。そういう意味では、不幸な作品だったと言えるのかもしれません。ただラブコメがメインの作品って、描く時期を選ぶんでしょうし、どうしようもなかったんでしょうけどねー。

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2009/09/08

まにぃロード

Img435 栗橋伸祐 著。月刊コミック電撃大王にて2001年~03年にかけて連載、単行本全3巻完結。

 生粋のモデラー系オタク、武藤武蔵(たけぞう)は、ある日秋葉原の裏路地で行き倒れていた所を、衣島電器店を営むはるな、青葉、いすずの三姉妹に助けられる。だがその電器店は、3年前に死んだ三姉妹の父の高額な医療費が未だ返せず、まさに潰れる寸前という状態であった。ふとしたことから、この死んだ父というのが幻の艦船モデラー「衣島元男」であることを知った武蔵は、恩返しとして店を守るため、人脈を尽くして真の艦船好きを店に集め、衣島氏の作品のほとんどを売却。オタクを毛嫌いする次女、青葉には睨まれたものの、借金を返せるだけの収益を上げることに成功する。だがそんな、ある意味他人の遺品を勝手に金銭に換えてしまった武蔵ではあったが、とある3隻の艦船だけは売ることができなかった。それは、他の作品に比べて桁違いの完成度を誇る、三姉妹の名前の元となった艦船、戦艦榛名、重巡青葉、軽巡五十鈴の三隻であった……。

 そんな出だしの、オタク文化全般をネタとしたコメディ作品。上記あらすじは第1話のもので、この後電器店を好きに使っていいと言われた武蔵が店をオタクショップへと生まれ変わらせていく、というのがおおまかなメインストーリーです。ところが実際には、ジオラマ、コスプレ、サバゲー、MMORPG、ボードゲーム、テーブルトーク、同人誌、フィギュア、ドール、コミケ、etcetc……と様々なオタク文化を取り上げながらのストーリー展開となるため、ショップ経営マンガというよりは、オタク文化マンガと言った方が正しいのでしょう。様々な分野の蘊蓄とそれに関連するネタが、読んでいて非常に楽しい作品でした。個人的に好きだったのは、MMORPGをネタにした回かなー。また、オタクだけど熱い武蔵という主人公像は、どことなく島本和彦を連想させますね。まったく関連は無いのでしょうが。

 まにぃロード最終回では、武蔵はアメリカへ新規店舗立ち上げに旅立ってしまったわけですが、その武蔵が○年ぶりに日本に帰ってきた、みたいな新連載をやってくれたりしないものでしょうか。現在作者はMC☆あくしずにて「黒鉄ぷかぷか隊」を連載中ですので、今すぐというわけには行かないんでしょうが、そのうちそういう作品を読めたらいいなー、と密かに期待しています。数年単位で秋葉原の模様も変わっていますし、いけるんじゃないかと思うんだけどなー。

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2009/08/30

魔人探偵 脳噛ネウロ

Img426 松井優征 著。週刊少年ジャンプにて2005年~09年にかけて連載、単行本全23巻完結。

 ある日、ドアと窓が内側から施錠された密室内で、一人の男が全身を無数の刃物でめった刺しにされて死んでいるという、密室殺人事件が起こる。死亡した桂木誠一の娘であり、無尽蔵の胃袋を持つ女子高生、桂木弥子は、取り乱してこそいなかったが、これ以上ないというくらいの混乱状態に陥っていた。超好きな王美屋のフルーツケーキをもらったが、食欲も無く一口食べただけでふさぎ込んでいた弥子だったが、ふとその時、「貴様は泣くのではなく、笑うべきだ」という言葉が耳に届く。ついに幻聴まで聞こえ始めてしまったかと頭を振る弥子だったが、遺影と仏花を不気味に笑わせながら、突如弥子の前に出現した男は、「至近距離に美味しそうな謎があるのだぞ? 我が輩なら嬉しくて、笑いが止まらない」と、嬉しそうに言うのであった。謎を求めて魔界から人間界へやってきたと言う男の名は、脳噛ネウロ。謎を解くと放出されるエネルギーを糧として生きる、魔人であるという……。

 そんな出だしの、探偵マンガ。事件解決部分は読者が推理しようという気が起こらなくなるくらいの破天荒な展開やトリック等が仕込まれており、一切予測はつきません。これは意図的にやっているとのことで、単行本1巻に「推理物の皮をかぶった、単純娯楽漫画です」と書いてありますが、まったくもってその通りだと思います。ですが、常識はずれの事件が起こり、常識外れの人物が犯人で、それを脳噛ネウロが常識はずれの展開で解決する、という、実は筋の通った作品であるとも言えます。間違いなく作者の中では、これはやっていいネタ、これはやっちゃいけないネタ、とはっきりした線引きができていて、だからこそフツーじゃないけど筋が通っている、と読者に思わせることができるのでしょう。

 また、キャラがどれも魅力的だったのが、人気の一因であるとも思います。特に、中盤最大の敵だった「Ⅹ(サイ)」編が個人的に秀逸。正直このⅩ編で終わっていいとすら思っていたのですが、その後も連載は続き、迎えた「シックス」編ではなんとサイはシックスのクローンであると公表され、サイはシックスの部下となって再びネウロと対決することに。サイに比べればシックスは明らかに小物だったこともあり、非常にしょんぼりな展開だったわけですが、ところがラストはシックスの呪縛から逃れたサイが事件解決の鍵の一端を担うという、期待通りの展開。最初からその予定だったのか、それともキャラ人気を併せ観てこういう展開に変えたのか、内情はわかりませんが、私にとっては満足な終わり方でした。

 作者はこの作品が連載デビューであり、現在は次回作の構想を練っている最中、という感じだと思います。話作りは問題ないですが、次回作ではやはりネウロ同様の魅力あるキャラクターが生み出せるかどうかが勝負ではないでしょうか。期待していますので、がんばってください。

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2009/08/27

まあじゃんほうろうき

Img423 西原理恵子 著。近代麻雀ゴールドにて1990年~94年頃にかけて連載、単行本全4巻完結。

 昔々あるところに、さいばらりえこという一人の新人漫画家がいました。麻雀牌に触ったこともないのに麻雀マンガ雑誌の編集から声をかけられたさいばらりえこは、おすしやおさけをごちそうになり、麻雀牌までもらってしまったので、マンガを描くために麻雀を覚えることにしました。ところが、予想外にもそれは面白く、すぐに麻雀の虜になってしまったさいばらりえこ。セオリーや点数計算どころかルールすら未だ覚えられませんが、お金だけはしっかり賭けて、今日も楽しく卓を囲みます。しかし……ただ麻雀をやるだけで楽しかった日々はあっという間に過ぎ去り、今は財布の中身をはき出すどころか、借金がどんどんかさんでいく毎日。さいばらりえこの借金額を知った麻雀仲間の木村千歌は、こんなの若い娘の借金額じゃない、と泣き崩れます。単行本の印税ももちろん残るわけもなく、さいばらりえこの麻雀人生、死ぬまで終わりは来ないのでしょうか……。

 そんな感じの、麻雀実体験4コマ。麻雀と言っても本格的な闘牌シーンがあるわけではなく、作者の麻雀を知ってからの人生転落っぷりが楽しい自虐ギャグです。初期は麻雀初心者のいわゆるあるあるネタが多いのですが、徐々に作者の友人知人をネタにした(というか実名で出てますが)、どこまでが本当でどこからがフィクションなのかまったくわからないキャラクター重視のギャグマンガになっていきます。真偽の程はわかりませんが、もし内容が100%そのままだったのだとしたら逆に泣けるくらいの、ちょっと熾烈で、でもだからこそ笑える作品でした。

 この作品には特に麻雀界における有名人が実名でたくさん出ており、桜井章一、山崎一夫を筆頭に麻雀プロや漫画家がたくさん出てくるのですが、なんと今回調べていて、作中に出てくる金角という人が、後のゲッツ板谷であることを知りびっくりしました。さすが西原理恵子、人脈の広さは恐ろしいなー。

 あともう一つ、この作品は雑誌連載時のタイトルは「さいばらりえこのまあじゃんほうろうき」だと思うのですが、単行本タイトルは単に「まあじゃんほうろうき」となっています。「」や「三丁目の夕日」と同じですね。ちなみに阿佐田哲也の麻雀小説「麻雀放浪記」と読みが同じですが、作者曰く、知らなかったそうです。

 麻雀を知っていればギャグマンガとして笑えるとは思いますが、最近の牧歌的、叙情的な作者の作品が好き、という人は、読まない方が無難な作品でしょう。今は文庫版が出ているので手軽に手にはいるとは思いますが、責任はホント持てませんあしからず。

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2009/07/31

○本の住人

Img395 kashmir 著。まんがタイムきららMAXにて2004年より連載中、単行本3巻まで以下続刊。

 蓼科のり子は、小学4年生。数年前に両親を亡くし、今は12歳離れた兄のいずみと2人で暮らしています。生活費は絵本作家としての兄の収入のみでなんとかやりくりしているのですが、兄の描く絵本は情操教育なんて見向きもしないような、よく言えば前衛的、悪く言えば発禁寸前のものばかりなので、売れ行きは今一歩。だけどのり子は覚えています。5歳の時に両親が死んで、茫然自失していたのり子を少しでも楽しませようと、兄はお話を考えるようになり、それが高じて絵本作家になったのだということを。だからのり子は敗けません。たとえ、大好きな兄がアニメやフィギュア、食玩が大好きというオタクな浪費家で、のり子のやりくりにもかかわらず、生活がどんどん苦しくなっていくのだとしても……。

 そんな設定のシュールギャグ4コマ。主人公ののり子が、変な兄や変なクラスメイトたちにふりまわされる、というのがパターンです。シュール系4コマにも色々ありますが、比較的シュール度の高い方ですので、合う合わないはけっこうあるかもしれません。かつ、萌え系ネタも多用しているため、さらに注意が必要です。クラスメイトにちーちゃんという(脳が)元気な子がいるのですが、実はこの子を主人公にすると、同作者の「百合星人ナオコサン」っぽくなってしまうんじゃないかというのは、言っちゃいけないお約束。ナオコサンに比べると、主人公のインパクトが少ないため印象には残りづらいですが、面白さではこれも負けてはいませんよ。

 そして今回、単行本表紙をスキャンするために、初めてオビを外したのですが……いやー、やられました。カバー裏をチェックするのはマンガ好きの常識だとは思いますが、まさかオビ裏にしかけがあるとは。かなりの衝撃です。しかし、2巻と3巻のオビ裏には何のしかけもありませんでした。どうせならずっとやってくれればいいのにー。

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2009/07/14

魔法騎士レイアース

Img378 CLAMP 著。なかよしにて1993年~96年にかけて連載、単行本第1部全3巻、第2部全3巻、計全6巻完結。

 同じ日に東京タワーへ社会見学にやってきた、それぞれ別の中学に通う獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風の3人は、不思議な声に呼ばれて光に包まれた次の瞬間、東京ではない別の世界へと移動していた。驚き、困りつつも自己紹介をしあう3人だったが、そこに現れた導師クレフと名乗る見た目は小学生のような男に、光たち3人は伝説の魔法騎士(マジックナイト)となってこの世界、セフィーロを救うべく、異世界から招喚されたのだということを教えられる。東京に戻りたいと言う光たちだったが、クリフはこのセフィーロを救わない限り、元の世界には戻れないと言う。なぜならば、光たちを招喚したのはこの世界の柱であるエメロード姫であり、セフィーロを救ってほしいという姫の望みを叶えることが、招喚を終わらせることと同義なのだからであった……。

 少女漫画でありながら乗って戦う巨大ロボが出てくるという、わりと異色のバトルファンタジー。ただ巨大ロボと言っても、意志を持った大型生物という風にもとれるので、ロボット物というよりはペアバトル物と言った方が近いかもしれません。全6巻のストーリーは第1部と第2部に分かれているのですが、第一部のストーリーとしては上記あらすじ後、まず自分だけの武器を手に入れ、それを鍵として巨大ロボ「魔神」を目覚めさせ、ザガートを倒す、というわりとあっさりしたものです。が、ラストにどんでん返しが仕掛けてあり、ストーリー的にはバッドエンドで終了、そのまま第2部へ続く、という感じです。バッドエンドになる理由とか、まさに少女漫画ならではの展開で、面白かったです。ただここに一つ問題があって、2部ラストは逆にオーソドックスな終わり方で、衝撃のラストと言えた第1部の方が正直面白かったんですよね。しかしすでに言ったように、2部があるからこその1部バッドエンドなわけでして、あちらをたてればこちらがたたず的なジレンマに陥ってしまっていると思います。そこがクリアされていれば、もっと良かったんでしょうけどねー。

 作者は4人組のグループで、現在週刊少年マガジンにて「ツバサ」、週間ヤングマガジンにて「XXXHOLIC」、月刊ニュータイプにて「こばと。」を連載中。完結済みの作品も多数。世界観が繋がっている作品が多く、特に現在連載中のツバサとHOLICはお互いがストーリーに強く干渉しあうという、めずらしい形態となっています。4コマならそういうことも楽にできるでしょうが、ストーリーマンガ、しかも週刊でそれをやるのは大変でしょうねー。ツバサとHOLICが終わらないことには身動きが取れないでしょうが、個人的にはまたなかよしで、なかよしの作風にあわせた連載をしてくれないかなー、と思っています。

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