2009/12/19

ゆびさきミルクティー

Img538 宮野ともちか 著。ヤングアニマルにて2002年より連載中、単行本9巻まで以下続刊。

 都立桜深高等学校1年生、池田由紀(ヨシノリ)の趣味は、女装して自分で写真を撮ること。元々はモデルのアルバイトをすっぽかした姉の代わりにウェディングドレス姿の写真を撮るはめになったのだったが、その時に違う自分になれるという魅力に気付いてしまった彼は、姉や隣に住む2歳下の幼なじみ、森居ひだりにも内緒で、その趣味に没頭していった。そんなある日、由紀は女装中に、外でひだりに出会ってしまう。彼女のことを実の妹としてくらい大事にしていた由紀は、咄嗟にユキ(由紀)という偽名を使ってその場を逃れることに成功するが、ひだりにもバレなかったという事実は彼を少しずつ大胆にさせていった。やがて彼は、クラスの男嫌いらしい気になる女子、黒川水面に近づくため、女装して話しかけようとする。女装自体はあっさりバレてしまったものの、親しくなることには成功した由紀だったが、今度は女装中に再び出会ったひだりから、私は紀くんが好き、という秘密を打ち明けられてしまう……。

 そんな出だしの、女装ラブコメ。恋愛物として真面目に読むと、由紀の性格がちょっとひどいんですよね。ひだりと水面両方の想いを知りつつ、水面が好きと言ったりひだりは俺が守ると言ったり、二人を泣かせておきながらこっちだって泣きたいよと被害者ぶったり、場に流されてひだりとも水面とも行為に及ぶ直前まで行ったり、あっちへふらふら、こっちへふらふら、もう見てられません。ところがそんな三角関係を延々続けるのかと思ったら、なんと由紀が一番好きなのは、女装した自分自身だった、という超展開。その他にも思わず「ねーよw」とか言ってしまうような展開も満載で、「君たちはいったいどこへ行ってしまうのかね?」なんてツッコミを入れてしまうような、非常に続きの気になる、楽しい作品となってしまいました(褒めてますよ?

 しかしこうなってしまうと、最終的に由紀がどうするかというのは、ひだりと水面のどちらを選んでも何か違う気がするんですよね。かといって本当に、最後に選んだのは女装した自分自身、みたいな終わり方も無理でしょうし、ここは作者の腕の見せ所という感じでしょうか。安易にどちらかが身を引いて、とか、もっと最悪な新たな相手を見つけて、とかにだけはしないでくださいねー。

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2009/11/21

夕凪の街 桜の国

Img506 こうの史代 著。漫画アクションにて2003年~04年にかけて断続掲載、単行本全1巻完結。

 太平洋戦争の終結する昭和20年8月、家族で広島に住んでいた平野皆実は、米国の原子爆弾により被爆する。皆実は幸い軽いやけどで済んだものの、父は翌日死亡、妹は行方不明のまま二度と会えず、直後は元気だった姉は二ヶ月後に倒れ、伯母宅に疎開していた弟はそのままそこの養子となり、皆実は生き残った母と二人で、焼け出された人たちが集まるスラムのような集落で暮らし始める。そして10年後――23歳となり、とある建築会社で働いていた皆実は、表向きは元気な若い女性として回復していた。だが、しあわせだと思うたび、美しいと思うたび、皆実の心はあの日に引きずり戻される。家族を失い、町を失い、そして人としての尊厳を失った、悪夢のようなあの日に……。

 そんな感じの、いわゆるヒロシマを扱ったドキュメンタリー風マンガ。上記あらすじは第一部となる「夕凪の街」のものであり、それに32年後(1987年)を舞台とした「桜の国(一)」と、さらにその17年後(2004年)を舞台とした「桜の国(二)」を合わせた、三部構成の作品となっています。圧巻なのは、第一部となる「夕凪の国」。作者も後書きでオチの無い物語と書いていて、実際その通りなのですが、ストーリーのキーとなるものが戦争や原爆に対する批判とか現状とか思いとかそういう直接的な物ではなく、精神的なダメージとそれにともなうPTSDなんですよね。細部は書きませんが、この作品内で主人公の皆実がしているような思考は、ちょっと私が今まで想像したことが無かったものでした。果たしてそれが現実にありうるものなのかどうかは私には判断できませんが、こういう一面もありますと面と向かって言われれば、信じるだけに足るリアリティはありましたね。ああ、原爆投下という事実にはこういう一面もあったのか、と思い知らされた気分です。世の中、知らないことばっかりだー。

 マンガ作品としては、「夕凪の街」のラストは悲劇的なものですが、心情的には救われている部分もあるので、読後感が悪いということはありません。良いというわけでもないので非常に複雑なんですが、そこがオチの無い物語たる所以でしょう。「桜の国」の方は、ラストも救われているというかすがすがしくて、こちらはマンガ作品として成り立ってると思います。ただやはり「夕凪の街」があってこそだとは思いますけどね。

 「夕凪の街」ラストで、このお話はまだ終わっていません、と繰り返し書かれていますが、実際、人の記憶にある限り、永遠に終わらないお話なのでしょう。そしてこの話が記憶にあるということは、けして悪いことではなく、むしろ人として良い結果を導いてくれる素養となるはず。この作品には一読の価値があると私が考えるのは、そのような理由からです。

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2009/06/01

ユッカ

Img333 祥人 著。電撃プレイステーション付録、電撃4コマにて、2007年より連載中、単行本2巻まで以下続刊。

 無職だが無収入ではない父、早良博明と、小学生の娘、あずね、さらには居候している甥の大学生、小笹春告という3人世帯に、ある日突然ユッカ・クマゴマという若い女性が訪ねてきます。なんでも昔、博明に身体を治してもらい、その恩返しをするために日本にやってきたと言うのですが……日がな一日ゲームばかりしている博明にとって、手伝ってもらうことなどゲーム以外にあるはずもありません。というわけでユッカは、住み込みのゲーム手伝いとして、早良家の一員となったのでした。

 そんな出だしの、ゲームにまつわるエトセトラを題材とした4コマ。やっていることは前作「日がな半日ゲーム部暮らし」と変わりませんが、メインキャラの年齢層が広がったことと、あときなくさい設定が存在するっぽいところが違う部分でしょうか。きなくさい部分は1巻の前半だけにしか出てこず、作中でももう当分出てこないと明言してありますが、ようは博明が実はものすごい技術者で、その技術を巡って微妙にいざこざが起きている、という感じでしょうか。あずねが誘拐されかけたり、産業スパイとかも出てきます。しかし博明が手を打ったおかげで1巻終盤からはもう平和そのもので、まぁ正直そうなってからの方が安心して読めるな、という感じです。前作同様ゲームに関するあるあるネタが多く、ネームが多いのも健在。年齢層が広がったことで前作ではできなかったネタもできるようになり、祥人ワールドますます絶好調、という感じでしょう。(褒めすぎだけど訂正はしない)

 1巻には相変わらず1という表記が無いし、発刊ペースもかなり遅い等、不安な部分もあるにはありますが、ずっとずっと読み続けますので、どうかちゃんと完結し、単行本も出てくれますように。

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2009/02/28

雪乃すくらんぶる

Img228 井原裕士 著。コミックNORAにて1994年~95年にかけて連載、単行本全3巻完結。

 一週間程前から出没するようになった謎の正義の味方、白雪仮面の噂で周囲はもちきりだったが、高校生、広崎巽はそれどころではなかった。それもそのはず、文化祭で仲良くなった同級生、倉久雪乃に巽は告白したのだったが、私は誰ともつきあえないと言われ、玉砕してしまったのだ。だが巽は、強盗に捕まったところを白雪仮面に助けてもらったことで、彼女の正体が実は倉久雪乃であることを知ってしまう。驚異的な身体能力を武器に、危険と隣り合わせの活動をする雪乃は、巽のことを好いていながらも、危険な目にあわせるわけにはいかないと申し出を受けることができなかったのだ。そんなとき、雪乃はビル火災に出動し、ピンチに陥ってしまう。巽は意を決し、雪乃を助けるためビルに飛び込むが……。

 ヒーロー(ヒロイン)ラブコメ。ヒロインである雪乃と、一般人ながら彼氏として雪乃を助ける巽の、二人が主人公です。正体を隠して人助けをする雪乃と、雪乃の身体能力を調べたい製薬会社、さらには肥大化、暴走する白雪仮面のファンクラブという三つの要素を組み合わさり、フツーのヒーロー物ならスルーするような泥臭い部分を取り扱っているのがポイント。雪乃の正義の味方としての葛藤がなかなかに重く、終盤の白雪仮面の正体がクラスメイトにばれそうになるあたりなんかは、当時はドキドキしながら読んだものでした。

 作者はその後、NORAでの編集部に翻弄される不遇な時代を乗り越え、電撃大王にて「DOLL MASTER」「超常機動サイレーン」等を連載、完結済。現在は武装神姫というフィギュアシリーズのコミカライズ作品「武装神姫ZERO」を連載中とのこと。かなり細々とした活動だとは思いますが、今後もずっと追い続けますので、描き続けてほしいと思っています。

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2008/12/20

百合星人ナオコサン

Img128 Kashmir 著。コミック電撃大王にて2005年より連載中。単行本2巻まで以下続刊。

 太古の昔から地球の生命の進化を調整してきた種族である百合星人のナオコサンは、地球総百合化による征服を目論んでいるという一面を持つ宇宙人だった。今日もナオコサンは主にその場の思いつきやノリで物事を始め、居候している戸隠家次女のみすずやその弟涼太を巻き込みつつ、個人的嗜好や都合のいい解釈を加味するだけ加味して、どうでもいい結論を導き出すのであった。

 ちょっとシュールでナンセンスなショートギャグ。エロネタ百合ネタ幼女ネタ多数。今は幼女ネタが一番多いですが、実は幼女という単語が初めて出てくるのは第6話。幼女ネタと言ってもロリコンネタもしくはロリコンをバカにするようなネタは少なく、幼女は世界を救う、みたいな幼女至上主義に則ったネタが多いです。ベクトルがあわないと多分全然面白くないというか内容が理解できないマンガだと思いますが、あえば最高に面白いです。私はもちろん楽しく読めますよ。

 またこの作品の単行本は、毎回初回限定でテーマソングの入ったCD付きのものが発売されるのですが、そのテーマソングがまた秀逸。ぜひカラオケに入ってほしいものですが、歌詞的にも無理があるのかなー。月刊誌での6ページ連載ということで、3巻が出るのはまた2年後くらいになるのでしょうが、その時にはまたテーマソングつきでお願いします。

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