長谷川裕一

2009/12/21

機動戦士Vガンダム外伝

Img540 原案・矢立肇 富野由悠季、漫画・長谷川裕一。少年キッズ1994年に掲載、単行本全1巻完結。

 宇宙世紀0153、地球圏統一を狙うザンスカール帝国とそれを阻止せんとするリガ・ミリティアの戦闘は、激化の一途をたどっていた。そんな中、リガ・ミリティアのエースパイロット、ウッソ・エヴィンは、偵察飛行中に敵の仲間もろとも、金色のモビルスーツに撃墜されてしまう。木星船「ハインライン」の船長、木星じいさんによって救出されたウッソと敵モビルスーツのパイロット、カムイは、そのまま彼らのコロニー「ダンディ・ライオン」へと向かうが、なんとそのコロニーは巨大な宇宙船、そこに住む者は全員がニュータイプであり、彼らは今まさに地球圏を棄て、遙か4.22光年も離れたプロキシマ・ケンタウリへ旅立とうとしているのだった。木星じいさんから、お前らも一緒に行かないか、とウッソとカムイは言われるが、考える暇も無くそこに、ウッソを撃墜した金色のモビルスーツ、ジョングが襲いかかってくる。カムイによれば、そのモビルスーツのパイロットの名前はスケイル。彼やカムイはザンスカール帝国のニュータイプ部隊であり、その中でもずば抜けた才能を持つスケイルは、なんと心で嘘が付けるのだという……。

 そんな出だしの、機動戦士Vガンダムの外伝マンガ。作者が何度か使っている「歴史は――常に表に出なかったいくつかの断片を持つ」で始まる外伝シリーズの一つでもあります。上記あらすじ通り、内容は非常にシリアスで、長谷川裕一解釈による「ニュータイプとはどこに向かっていくのか」という答えの一つになっている作品だと思います。また、今作を含む長谷川祐一オリジナルのガンダムシリーズでは、機動戦士ガンダムZZの主人公、ジュドー・アーシタのその後が断片的に語られているのですが、そのラストシーンが載っているのも特徴で、ZZ好きならちょっと気になる作品だとは思います。ただこのあたりは、機動戦士ガンダムユニコーンが発表されてしまったことで、一部不利になってしまったとは思いますけどね。サンライズ公認の作品ではありますが、正史ではないということで、仕方ないのでしょう。

 そして、この作品においてもっとも素晴らしいのが、ラストシーン。スケイルを倒した後、ウッソは地球圏に残ることを決め、木星じいさんとカムイはプロキシマ・ケンタウリへと旅だってしまうわけですが……ここに至って、話はニュータイプとかオールドタイプとかではなく、「人はいつ地球人ではなくなるのか」という部分に向かっていくんですよね。ガンダム世界でもスペースノイドとアースノイドの対立は明確ですが、そのあたりを突き詰めた結果の一つと言えると思います。もしかするとここに、地球人ではなくなるにはニュータイプとしての素養が必要だった、という解釈まで入るのかもしれませんが、さすがにそれはちょっと好意的に解釈しすぎかなー。まーちょっとぼかしましたが、いやはや何はともあれ、このラストシーンは最高です。これがあるからこそ、まだ感想を書いていないクロスボーンガンダムやクロノアイズ、ダイソード等をさしおいて今作の感想を書いた、というわけでした。

| | コメント (0)

2009/11/12

飛べ!イサミ

Img497 長谷川裕一 著。1995年~96年にかけて、書き下ろし単行本にて発行、単行本全10巻完結。その後、続編となる「飛べ!イサミ ダッシュ」が、再び書き下ろし単行本にて1997年に発行、単行本全3巻完結。

 アメリカから日本にやってきたばかりの小学5年生、花丘イサミの家に、ある日クラスメイトの月影トシと雪見ソウシが忍び込んでくる。なんと二人は幕末に活躍した新撰組の子孫であり、見つかった古い地図に従って宝を探しに来たところ、イサミの家にたどり着いたのだという。同じく新撰組の子孫だったイサミは、トシ、ソウシと共に家の土蔵を捜索。そこでなんと、約100年前のご先祖様から、悪の組織黒天狗党と戦ってほしい、というメッセージを受け取る。だがそこに、突然黒天狗党が襲来。彼らは逃亡した花丘博士から超エネルギーの秘密を手に入れるため、娘のイサミを監視していたのであった。ご先祖様から託された武器、龍の剣によってその場を切り抜けたイサミは、トシ、ソウシと共にしんせん組を名乗り、黒天狗党と戦うことを決意する。そうすればいつか、行方不明の父に再び会えると信じて……。

 そんな出だしの、ボーイッシュなスパッツ姿の女の子が悪の組織と戦うという、ヒロインアクション。変身要素や戦隊要素、SF要素も有り。同名のアニメーション作品のコミカライズ版ですが、内容の差異は私はアニメ版を観ていないので不明。ストーリーの基本は、イサミたちがご先祖様の遺したからくりを使って、黒天狗党の企みを阻止していく、という感じなわけですが、なんというか、コミカライズ作品であることは間違いないんですが、これは作者の低年齢向けオリジナル作品だと言われれば信じてしまうくらいの、長谷川裕一テイストに溢れた面白い作品でした。特に終盤の展開は、もう作者のお約束と言っていいくらいのもので、スケールは一気に大きくなり敵味方が切り替わり、それでいて破綻せずに風呂敷を畳みきる、という見事なものになっています。

 そしてこの作品のすごいところは、単行本全10巻が、一月一冊のペースで書き下ろしで刊行された、ということですね。200ページ弱の書き下ろし単行本が毎月刊行されるって、ちょっと尋常じゃありません。さらに当時、作者は他にも月刊連載を持っていましたから、その生産量たるや空恐ろしい物があります。そんなことをさせたNHKもひどいとは思いますが(笑)

 現在の作者は生産量をがくんと減らし、連載は多分、「マップスネクストシート」1本のみ。そのネクストシートはとうとうキーとなるファーストシートが現れ、おいおいこれどうなっちゃうんだよ……と笑いながら言わずにはいられない展開となっています。作者曰く、毎月クライマックスとのことですが、ホントそんな感じです。ただそろそろ、また誌面での連載が読みたいなー、なんて思ってもいますので、新連載のほうも期待していますね。

| | コメント (0)

2009/05/09

MEAN -遙かなる歌-

Img312 原作・長谷川裕一、作画・栗原一実、クリーチャーデザイン・矢野マサキ。Yahoo!コミック内ヒーロークロスラインにて、2007年~09年にかけて連載、単行本全3巻完結。

 半年前に起こったオルタレイション・バーストという謎の現象をきっかけに、この世界にはノッカーズと呼ばれる異能、異形の生物がはびこるようになった。だが高校生、有賀透の周囲は、クラスメイトの日暮夏鳴が人気アイドルのMEANに似ているということで盛り上がるくらい、まだまだ平和な毎日を送っていた。そんなある日、MEANのコンサートを見にいった透は、客席で夏鳴の親友、西表山音の姿を見かける。MEANと夏鳴が同一人物なのではという疑惑をさらに深めた透は、MEANに会うため楽屋へと忍び込むが、そこでハエ男と形容すべき怪物がMEANの控え室を襲おうとしているのを目撃してしまう。夏鳴と山音のピンチだと思い、叫びながらハエ男に飛びかかる透。その声に気付いて控え室から出てきたのは、透の予想通り、夏鳴と山音であった。山猫のような俊敏な動きを見せる山音と、聞いたことのない言語の歌から剣を作り出した夏鳴の前に、ハエ男はなすすべもなく倒されてしまう。そして夏鳴は驚く透に向かって、およそ1年後、自分が死んでしまうまでは、このことは黙っていて欲しいと言うのであった。

 そんな感じの、アイドル+ファンタジーバトルアクション。そもそもの流れは、ヒーロークロスラインという一種のシェアードワールド設定があり、それに乗っ取ったWebコミック作品群の一つとしてこの作品が開始された、というものでした。私は原作が長谷川裕一だからという理由で読んでいたので、オルタレイション・バーストとかノッカーズとかの専門用語に関してはあまりよくわかってませんが、異世界ファンタジーものの設定としては特別凝ったものでもありませんし、フツーに読む分にはまったく問題ありませんでしたね。

 絵はもちろん違いますがストーリーやサービスカットはバッチリ長谷川裕一という感じで、良い感じに盛り上がっていたのですが、マガジンZ休刊→ヒーロークロスライン一旦休止、という流れで、あえなく終了という形になってしまったのが残念でした。復活の場を捜しているということですが、シェアードワールド作品ということもあり、どう再開させるか非常に難しいところなんでしょうね。ヒーロークロスライン自体が復活してくれれば問題なさそうなんですけど、どうなのかなー。

| | コメント (0)

2008/11/10

マップスネクストシート

Img220 長谷川裕一 著。FlexComixブラッド(Webコミック)にて2007年より連載中。単行本5巻まで以下続刊。

 地球人、麻生河七勇太は、瀕死の宇宙人に水を一杯与えたことから、ビメイダー(合成生物)ミュズと、その宇宙船ネクシート号を譲り受ける。突如現れた銀河統一会議なる連合軍にミュズとネクシート号を奪われてしまうが、ツキメと名乗るモグラ型宇宙人の助けを借り、ミュズとネクシート号を奪還。だがそのまま地球に戻ることは叶わず、姉の京、友人の金子とともに、遙か宇宙の旅へと出発するのであった。

 長谷川裕一の描くスペースオペラ「マップス」の新作。作者曰く、「続編でもあり外伝でもありパラレルでもある」だそうです。最初のうちはその意味はわからないですが、徐々に徐々にわかるようになっています。

 マップスが好きだった人ならば、絶対に読むべき作品。逆に言うと、前提知識としてマップスを知らない人には、どこまで楽しめるのか正直疑問な作品。本来そういう作品の作り方は、新規読者おいてきぼりという点で問題なんでしょうが、Webコミックという取捨選択が容易な新しい作品発表形態の場では、問題ないようにも思えます。時代がこの作品を許容したと言えるのでしょうか。

 もしネクストシートを読もうと思ったら、ぜひマップスも読んでほしいですが、そのマップスはノーラコミックス版もMF文庫版も現状では手に入らず、近日刊行開始予定の愛蔵版を待つしかないようです。

| | コメント (0)

その他のカテゴリー

| | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | 単行本感想 | あさりよしとお | あずまきよひこ | いけだたかし | かがみふみを | こうの史代 | そにしけんじ | たがみよしひさ | ちばあきお | ひな。 | ふくやまけいこ | まるのすけ | みさき速 | むんこ | ゆうきまさみ | モリタイシ | 井原裕士 | 佐野妙 | 入江紀子 | 八木教広 | 叶恭弘 | 吉崎観音 | 和月伸宏 | 大井昌和 | 天野こずえ | 宇仁田ゆみ | 宮原るり | 小川一水 | 小池恵子 | 山口舞子 | 山名沢湖 | 山東ユカ | 岡崎二郎 | 岩原裕二 | 島本和彦 | 幸村誠 | 弓長九天 | 志村貴子 | 手塚治虫 | 施川ユウキ | 日本橋ヨヲコ | 星里もちる | 暁月あきら | 曙はる | 木尾士目 | 東屋めめ | 東村アキコ | 板垣恵介 | 林家志弦 | 栗橋伸祐 | 桂明日香 | 桜場コハル | 森薫 | 椎名高志 | 氏家卜全 | 水上悟志 | 渡辺航 | 湖西晶 | 皆川亮二 | 矢上裕 | 祥人 | 秋月りす | 竹内元紀 | 紫堂恭子 | 細野不二彦 | 緋采俊樹 | 羽海野チカ | 能田達規 | 芳崎せいむ | 荻野眞弓 | 藤田和日郎 | 西尾維新 | 近藤るるる | 重野なおき | 野広実由 | 金田一蓮十郎 | 長谷川裕一 | 雷句誠 | 青山広美 | 高橋留美子 | CLAMP | OYSTER | kashmir | アニメ・コミック | 日記・コラム・つぶやき | 読み切り