岩原裕二

2009/10/15

クーデルカ

Img473 岩原裕二 著。月刊エースネクストにて1999年~2000年にかけて連載、単行本全3巻完結。

 西暦1899年のある夜、町はずれの古い礼拝堂に1人で住む少年、ヨシュアが帰宅の途についていると、突然荷馬車の荷台に1人の若い女性が落ちてくる。ヨシュアは気を失っている女性を家まで連れて行きひとまず介抱するが、翌日町では若い女性の殺人犯が病院から逃げ出したという噂が広まっていた。だが捜索隊に警官が含まれていないことや、態度がやけに高圧的だという点から、ヨシュアは逆に捜索隊こそが悪と判断。すぐさま礼拝堂に戻り、目覚めていた女性から事情を聴こうとするが、なんとその女性、クーデルカは、記憶を失ってしまっていた……。

 そんな出だしの、19世紀末のイギリスを舞台としたゴシックホラーアクション。この後追っ手から逃げ出したヨシュアとクーデルカは、ヨシュアの生まれ故郷であるロンドンへ行くが、そこでは妊娠した娼婦が次々に失踪するという事件が起こっていた……という感じで話は進んでいきます。もちろん、クーデルカが病院から逃げ出した件も、妊婦の失踪事件も、さらにはヨシュアが1人で暮らしていたという件もすべてが繋がっており、それらが明らかになっていく中盤から終盤にかけての展開は、なかなか読ませるものでした。作者の最近の作品と比べるとややまとまりはありませんが、その代わりに勢いと熱さはあるという感じで、正直今でも作者の作品の中では一番好きですね。

 欠点というか、唯一残念な点は、この作品が同名のゲームの後日談だということ。それ自体は別にかまわないのですが、おそらくゲームをやってないとわからない人間関係とかが、いくつかあるっぽいんですよね。かといって、今更PSのソフトを買おうという気にもなれないので、PSPアーカイブスとかに追加されたらやろうかなー、と思っています。ちなみに作者はゲームのキャラクターデザインをやってるとのことですが、ゲーム内のキャラはポリゴンらしいので、きっと面影は残っていないことでしょう(涙)

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2009/05/29

学園創世 猫天!

Img331 岩原裕二 著。チャンピオンREDにて2006年~08年にかけて連載、単行本全5巻完結。

 全寮制の私立叉美学園には、生徒はネコを一匹だけ飼って良いという不思議な校則があった。新入生の早川ユミは、愛猫カンスケと共に学園にやってきたその日、突如現れたキツネの化け物、九十九一首に襲われてしまうが、その危機を救ってくれたのは、100年前の言い伝えを信じてこの学園を護っている、叉美学園生徒会の面々だった。彼らはこの地の守護者、双籠の姫に選ばれた者たちであり、対になるネコと揃うことで、それぞれ不思議な力が使うことができるのだ。だが九十九一首の卑劣な手に生徒会の面々が苦戦しているうちに、ユミとカンスケは再び危機に陥るが、そこに現れた双籠の姫によってユミとカンスケは力を与えられ、見事九十九一首の撃退に成功する。だがそれは、1000年前からこの地に続く因縁に、ユミとカンスケも巻き込まれることになることを意味するのであった……。

 そんな出だしの、ペアバトル。ユミの入学と同時にこの地に封印されていた化けネコ、火焔が復活し、双籠の守護者である生徒会の面々+ユミという7組が戦いを挑みます。双籠の守護者は本来6組で、7組目であるユミとカンスケはイレギュラーでありキーマンであるという形ですね。わりとオーソドックスなストーリーと展開で、それなりには面白かったのですが、飛び抜けたところが無かったせいか、正直あまり盛り上がらないまま終わってしまいました。なんというか、続きが早く読みたい、というワクワク感があまり無かったですね。小さくまとまりすぎ、という表現が近いかもしれません。

 作者の作品は、初期の「クーデルカ」が一番好きなのですが、どうにもそれを超える作品が出てこないなー、というのが正直なところです。現在はFellows!最新号にて「アレックス・ブラック」を連載開始。第1話としてはフツーに面白い感じですし、続きが気になる作品となるよう、期待しています。

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2009/01/14

いばらの王

Img165_2 岩原裕二 著。月刊コミックビームにて2002年~2005年にかけて連載、全6巻完結。

 突如地上を襲った奇病、メデューサ。感染すると6週間で発症し、内蔵から皮膚にいたるまで全体組織が硬質化、6時間後には石になってしまうというこの病気に対し、人類は中世の古城をコールドスリープカプセルセンターに改装、カプセルをたった160個用意し、未来へ託す以外の方法を持ち得なかった。双子の姉妹、カスミとシズクは、二人でコールドスリープカプセルに応募するも、カスミだけが当選。シズクに説得され、カスミだけが未来へ向かうこととなる。

 そして、どれだけの時が経ったのだろう。目を覚ましたカスミが最初に眼にしたのは、コールドスリープカプセルが置かれた広間を覆い尽くさんばかりのいばらと、襲いかかるコウモリのような怪物だった。時を同じくして目覚めた何十人もの人間たちは、我先にとエレベーターホールへと逃げ出すが、そこには太古の恐竜を思わせる怪物が、動く物を捕食しようと待ちかまえていた。カスミを含めた7人がかろうじて生き延びるが、それは城を徘徊する怪物と、奇病メデューサの発症という、二つの恐怖の始まりであった。

 怪物からの逃走、ひいては古城からの脱出を目指すサバイバルホラーで、序盤はとにかく怪物から逃げるだけ。メデューサは最長でも6週間で発症してしまうため、逃げているだけでは結局は助からないという出口の無い状態。途中までは十分面白く、ラストはわりと衝撃の展開ではあったのですが、個人的にはやや尻すぼみかなー、と思ってしまいました。絵柄は線が太くベタを効果的に使った濃厚な感じで、この作品には非常にマッチしていたと思います。

 作者はもともとはアフタヌーン出身で、いくつかの出版社を渡り歩き、「地球美紗樹」「学園創世猫天!」などの完結済みオリジナル作品がありますが、私個人は「クーデルカ」というゲームの後日談をマンガにした同名作品が一番好きでした。初期読み切りを集めた短編集「狼の血」も良かったです。どちらかと言うと初期の方が面白かったと思うので、また初心に帰った感じの作品を発表してくれないかなー、と思っています。

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