渡辺航

2009/12/25

ゴーゴー♪ こちら私立華咲探偵事務所。

Img544 渡辺航 著。週刊コミックバンチにて2006年~07年にかけて連載、単行本全4巻完結。

 子供のころ、川で溺れたときに助けてくれたような、みんなが頼れる探偵になりたい。そう思い、街の小さな探偵事務所に就職した金田一耕太郎だったが、その私立華咲探偵事務所の所長、華咲サヤは、殺しのからんだ難事件や、誘拐された姫の奪還、超セレブ王子の護衛など、ハードでエキサイティングでモエモエな仕事以外はやりたくないから断ってしまうという、選り好みしすぎの探偵だった。おかげで仕事はめったに無く、なんと事務所の家賃の支払いにさえ困っているという始末。理想と現実のギャップに悩む小金田一だったが、なんとそこに銀行の取り立てが現れ、一向に借金を返そうとしないサヤを筆頭に、小金田一を除く所員全員が捕まってしまう……。

 そんな出だしの、ドタバタ探偵コメディー。あくまでコメディーが主体であり、探偵っぽいこともしていますが、探偵マンガとしての整合性とかは期待して読んではいけません。作者の作品は主人公がトロかったり内気だったりと、自然テンポが遅くなるものが多いと思うのですが、今作は小金田一くんの視点で話が進み、かつサヤさんは面倒くさがり屋ではありますがトロくはないので、作者の作品にしては珍しくテンポのいいかけあいが楽しめるようになっています。とは言っても、サブヒロインのしおりちゃんという非常にトロくて内気な子もしっかり出てきますので、作者はそもそもこういうタイプのキャラが好きなんでしょうね。え、私ですか? もちろん好きですとも!(聞いてない

 サヤさんを筆頭としたキャラが良く、ラスト近辺の展開も衝撃的で、ドタバタコメディとしては十分面白かったとは思うのですが……残念ながら一年持たずに打ち切られてしまいました。その理由としては、一部展開に無理があったからなんじゃないかなー、と思っています。一応探偵物なんですから、ある程度展開にリアリティを持たせるべきだと思うんですよね。しかし全編にわたって何度も使われたロボットネタは、ちょっと(かなり)雰囲気を別方向にねじ曲げてしまっていたように思えました。また、いきなり掲載されていた番外編のような宇宙刑事ネタは、一体なんだったんでしょう。私は単行本でしか読んでないのですが、雑誌で読んでいれば、何かしらの説明があったんでしょうか……? 「制服ぬいだら♪」のノリをそのまま持ってきてしまい、失敗した、というのが一番しっくりくるような感じでした。

 作者は現在週刊少年チャンピオンで連載中の「弱虫ペダル」でついにブレイクした、という感じではありますが、個人的には今作のようなドタバタコメディーの方が合ってると思うんですよね。というかもしかしたら、総合的には私はこの華咲が一番好きかもしれません。最終巻後書きに、評判良かったら2の可能性も、なんてことも書いてあるので、その日がくるのを気長に待ちたいと思っています。

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2009/09/30

まじもじるるも

Img458 渡辺航 著。月刊少年シリウスにて2007年より連載中、単行本4巻まで以下続刊。

 小学生時代はスカートめくりの名手として女子から敬遠され、中学生時代はH本をみんなに貸し出して女子からエロ本大王と呼ばれ、高校生となった今は授業中に寝言で「おっぱい」と叫んでしまった為に女子から白い目で見られているという、ヘンタイシバキこと柴木耕太の願いは、可愛い彼女をゲットすること。そんな彼の元に、ある日魔女を名乗る口数の少ない女の子が現れ、お前は二日後に死ぬ、と宣言されてしまう。事の起こりはその前日、図書室で見つけた怪しげな魔女召喚の書に従って呪文を唱えた柴木は、願い事にウケを狙って「女子のパンツ」と言ったところ、家の机の上に女物のパンツが置いてあったわけなのだが、それこそが魔女召喚の書に従って呼び出された、この女の子魔女、るるもの仕業なのだという。願いを叶えた代償は、命。二日後に鳥葬にされると聞いた柴木は、誰のかもわからんパンツ一枚のために死ぬのか……と途方にくれるが、その時るるもが衝撃の発言をする。曰く、そのパンツは私のものであり、1枚しかないそのパンツを返してもらうのも、目的の一つだ、と……。ということはこの子は、今はいてない!? そのことに気付いた柴木は二日後に死ぬのも忘れ、るるものスカートの中を覗くことに全力を尽くしはじめるが……。

 そんな出だしの、魔女っ子コメディー。上記あらすじは読み切り時のもので、本編はこの後、結局死ななかった柴木の元に、今度は願いを言えばるるもが魔法で叶えてくれるというチケットが届き、チケットを使い切ると魔女見習いに格下げになっていたるるもは魔女に戻れるのだが、同時に柴木は死んでしまう、という感じで話は進んでいきます。魔法の使用制限があるのは別にフツーだとは思いますが、ダイレクトに死が近づいてくる、というのはなかなか笑いを取るのには使えるネタですね。大きな魔法を使うとチケットの減りが激しい、とかも、残り枚数を逆手に取れるうまい設定だと思います。あとは、無口で恥ずかしがり屋で世間知らずというドジっ子魔女、るるもの人間界での成長物語的な部分もあり、そのあたりも非常に面白いです。というか、なんで柴木はるるもにときめかないんのか疑問ですね。いや、きっとときめくのは、最終章と決まっているからなんでしょうが……。おそらく最終章のプロットはもう完成しているものと思いますし、それがいつになるのかはわかりませんが、楽しみに読み続けたいと思います。

 作者は現在、月刊誌でこの作品と、あと週刊少年チャンピオンにて「弱虫ペダル」というサイクルロードレースマンガを連載しているわけですが、最近の漫画家で週刊と月刊両方連載持ってる人ってちょっとめずらしいですよね。弱虫ペダルは休載もほとんど無いし、よく両立できてるなー、と思ってしまいます。仕事がもらえるうちが華だ、という部分も当然あるんでしょうが、身体をこわさない程度にこれからもがんばってほしいとおもいます。

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2009/06/11

弱虫ペダル

Img344 渡辺航 著。週刊少年チャンピオンにて2008年より連載中、単行本6巻まで以下続刊。

 小高い山の上に位置する千葉県立総北高等学校に行くには、緩やかで道路幅も広い通称正門坂と、距離は短いが斜度20%を超える激坂を登らなければならない通称裏門坂の二つがあった。小学生の時から毎週欠かさず45キロ先の秋葉原まで往復しているアニメオタクの新入生、小野田坂道は、人が通らなくて歌っても誰にも聞かれないからという理由で裏門坂を自転車で登っていたところを、同じく新入生の今泉俊輔に見られてしまう。中学時代に数々のロードレースの大会で優勝するも、中学最後の大会で大差で敗北させられた相手と再び戦うまでは全戦全勝を誓っていた今泉は、裏門坂をママチャリで歌いながら登っていた小野田にそら恐ろしさを感じ、気になる要素はすべて払い落とすためと小野田に裏門坂登りの勝負を挑む。アニメ・マンガ研究部を復活させるための部員集めをしていた小野田はそれを断ろうとするが、敗けたらアニ研に入ってやると今泉に言われ、一人目ゲットとばかりに勝負を請ける。それは、クライマーとして天性の素質と持った小野田坂道の、ロードレーサーとしての最初の一歩であった。

 そんな出だしの、自転車マンガ。競輪を扱った作品ではなく、ツール・ド・フランス等に代表される自転車レースを扱った作品です。そしてこれが、今週刊少年誌で一番熱い「少年マンガ」と言ってしまっていいくらい、面白い作品だったりします。その理由は一にも二にも、レースシーンが熱すぎる事でしょう。文字通り風を切る自転車の速さ、限界に近づく人の鼓動、並んだ時の熾烈なもがきあい。作者の作品はほとんど読んでいるつもりですが、こんなに速さと瞬間を表現するコマ割りができる人だとは知りませんでした。もちろん表現だけでなく、レース中の人と人との繋がりあいの表現もとても良いです。

 ストーリー部分は、正直あまり話は進んでいませんが、それでも今のところは全然面白いですし、来るべきインターハイに向けて着々と進行中、というところでしょう。小野田、今泉、鳴子と言ったキャラもいいですし、2年生も3年生も、それぞれ見せ場があって良い感じです。一人、同じく1年生の杉本というキャラがいるのですが、この杉本だけがちょっと報われてなくて可哀想です。キャラとしてはちょっと鼻につく言動はあるものの基本的にはいいやつだと思うのですが、なんか微妙に、退部しちゃいそうな雰囲気もあるんですよねー。そのうち見せ場が来ることを信じます。

 レースとレースの間の話の練り込みが甘いことや、序盤にいくつか設定上の矛盾点があることなど、ツッコミ所もあるにはあるのですが、レースシーンの熱さの前には正直全部無視できます。本当はそれじゃいけないのでしょうが、レースシーンが本当に面白い、という証拠にはなりますよね。この熱さを維持したまま連載が順調に進んでくれることを、本当に願っています。というか、「制服脱いだら♪」の頃から期待していた渡辺航がやっと売れたよ嬉しいー!(だまれ

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2009/02/06

制服ぬいだら♪

Img198 渡辺航 著。チャンピオンレッドにて2002年~2005年にかけて連載、単行本5巻まで。現在は講談社シリウスコミックスから全6巻完結で発売中。

 着替えるのがとにかく遅い果実みのりは、ちょっとドジでノロマで天然だけど、持ち前のポジティブさですべてをカバーしてしまう高校1年生。今日もスカートを履き忘れたまま学校まで来てしまいましたが、あこがれている同級生の道真くんにジャージのズボンをもらってしまったことで、幸せいっぱいです。そんなある日、学校に巨大なヤカンが落ちてきて、その中からドリーと言う名の変な宇宙人が出てきました。それと同時にドリフトモンスター、略してドリモンと呼ばれる変な生物が学校を襲撃、生徒たちの髪の毛を食べ始めます。なし崩し的にドリーから渡された変身スティックで戦うことになってしまったみのりですが、全自動スティックではなかったため、着替えは自分でしなければなりません。そしてみのりは、そう、着替えるのが壊滅的に遅かったのです……。

 えーと……一応、変身ヒロインコメディ? スティックから出てくるコスチュームに着替えないとドリモンを倒せないのですが、着替えるのが遅い、というオチです。しかしキャラが良く、ドリモンがあんまり出てこなくても十分に話が成立するのがポイント。実際後半になればなるほどドリモンの出番は減っていきます。あと着替えマンガなので、下着やハダカも満載です。主人公の性格と絵柄から、エロマンガにはなりえませんけどね。

 みのりの性格が非常に私好みで、ギャグマンガとしても好きだったのですが、当時ブレイクしていた電車男のコミカライズをやるために休載となり、そのまま復活することなく終わってしまったというホント残念な作品でした。単行本も5巻までは出たものの最終6巻がずーっと出なかったのですが、別出版社からようやく出てほっと一息。というかチャンピオンレッドも、最終巻くらい出してあげろよー。

 その後、コミックバンチにて連載していた「ゴーゴー♪こちら私立華咲探偵事務所。」の1巻が出たとき、オビに「電車男の渡辺航」と書いてあったのを見て、「違うだろ、制服ぬいだらの渡辺航だろ!」と心の中で叫んだのは良い思い出です(聞いてない

 作者は在、週刊少年チャンピオンで「弱虫ペダル」と、少年シリウスで「まじもじるるも」を連載中。弱虫ペダルは今までの作者の作品とはちょっと毛色が違い、ちょっと展開に不安な部分もありますが、今のところは面白いですね。週刊連載+月刊連載は大変だとは思いますが、これからも楽しみにしています。

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