高橋留美子

2009/11/16

めぞん一刻

Img501 高橋留美子 著。ビッグコミックスピリッツにて1980年~87年にかけて連載、単行本全15巻完結。

「疲れた……」と言い残して田舎に帰ってしまった前管理人の後を継ぎ、風呂無しトイレ共同というアパート「一刻館」にやってきた新しい管理人は、音無響子というまだ若い女性だった。五号室に住む浪人生、五代裕作はそんな彼女のことを好きになるが、面白おかしく飲めればいいという他の住人たちの邪魔もあって、なかなか二人きり良い雰囲気にはなれずじまい。そうこうしているうちに迎えた春、かろうじて二流大学に合格した五代は、衝撃の事実を知らされる。それは、音無響子が大家の義理の娘であるという事。そして、彼女の夫、音無総一郎は、すでに亡くなっているのだということを……。

 そんな出だしの、アパート一刻館を舞台としたラブコメディー。作者が同時期に連載していた「うる星やつら」もラブコメですが、うる星やつらに比べるとめぞん一刻のほうがストーリー色が強いのが特徴。説明するまでもないような作品かと思いましたが、タイトルはともかく内容は、若い人たちは意外に知らなかったりするかも? 当初はコメディー色が強く、五代君の響子さんに対するアタックは誤解されたり邪魔にあったり恋敵が現れたりと、オチに使われることが多数。響子さんは亡き夫に操をたてていますし、五代君の方にも彼女と呼べるような女の子がいましたので、つかず離れずを意図的にやっていたんでしょうね。五代君が大学を卒業するあたりからそう言った部分での物語は動き始め、終盤は序盤に比べると一転してストーリー色の強い作品となりましたが、いくつかの三角関係を精算し終わった最終巻は、全編がほぼエピローグ風にもとれると思うのですが、そのあたりの盛り上がりも、やはり前半~中盤のラブコメ部分の積み重ねがあってこそのものと言えるでしょう。20年以上前の作品ということで、一見して古い作品だと思ってしまうのはどうしようもありませんが、それでも今読んでも十二分に面白い、素晴らしい作品でした。

 作者は現在、週刊少年サンデーにて「境界のRINNE」という霊能コメディーを連載中。漫画家って年齢を重ねるごとに作風も変わっていき、徐々に掲載誌の年齢層も上がっていくのが普通だとは思うのですが、未だに少年誌で書いてるのってちょっとすごいですよね。まためぞん一刻のようなちょっと大人のラブコメディーを読んでみたいと思っているのですが、月一連載くらいでどこかでやってくれないものですかねー。ただ正直、めぞん一刻を超えるのは無理だと思うので、怖さもあるんですけどね……。

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2009/10/17

境界のRINNE

M0384445201 高橋留美子 著。週刊少年サンデーにて2009年より連載中、単行本2巻まで以下続刊。

 小さい頃に一週間神隠しにあい、それ以来幽霊的なものが見えるようになってしまった高校生1年生、間宮桜。中学を卒業して、少し大人になれば、そういった妙な物も見えなくなるんじゃないか。そう淡い期待を抱いていた桜だったが、相変わらず通学路では自縛霊に話しかけられるなど、以前と変わらない日々を送っていた。その日も、隣の席の男子生徒、六道りんねが初登校してきたと思ったら、他の生徒や先生たちには彼のことが見えていないという事態に遭遇する。また幽霊か……そう思う桜をよそに、りんねはドッグフードを取り出したかと思うと、それにつられてやってきた巨大なチワワの幽霊と話し始める。どうやらりんねは、そのチワワを成仏させようとしているようなのだが……数瞬後、巨大なチワワは突如りんねを丸飲みにすると、窓から外へ出て行ってしまうのであった。放課後、帰宅の途についていた桜は、小さくなったチワワを抱きかかえたりんねと再会する。幽霊ならば、通り抜けられるはず。毎日身をもってそれを体験していた桜は、りんねの事も素通りしようとするが、予想に反して桜はりんねに頭突きをしてしまう結果となる。そう、実はりんねは幽霊ではなく、現世に未練を残し成仏できない者たちを輪廻の輪に導く、死神のような存在なのであった……。

 そんな出だしの、霊能コメディー。りんねは画像の羽織を着ている時は霊と同じ体質になり、脱げば一般人にも見えるようになります。ストーリーの基本はまず幽霊が現れ、それをりんねが成仏させる、というものですが、りんねは死神としての能力は高くなく、有料の道具を使わないと霊を成仏させることができません。ところがりんねは、死神の祖母と人間の祖父のせいでものすごい借金を背負っていて、道具の使用料も満足に払えない始末。関わってしまった桜はそれを見て見ぬふりをすることもできず、仕方なくその料金を肩代わりしていく……という感じで話は続いていきます。作者の他作と比べると、それなりにストーリーはあるもののコメディー比も高いので、「らんま1/2」が一番近い感じですかね。作者の作品は描けば売れるしアニメ化も当然と、ある意味プレッシャーも大きいのかもしれませんが、今のところはこの作品も他作と比べて遜色なく面白いですし、今後とも楽しみに読み続けたいと思います。

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2009/09/10

うる星やつら

Img437 高橋留美子 著。週刊少年サンデーにて1978年~87年にかけて連載、単行本全34巻完結。画像はワイド版全15巻。

 まれにみる受難の星を背負った浮気性の高校生、諸星あたるが、同級生の三宅しのぶにはふられ、旅の僧、錯乱坊(チェリー)には死相が見えると言われつつ、家の近くまで帰ってくると、そこには何故か新聞記者や野次馬の人だかりができていて、家の中にはなんと巨大な鬼が待ちかまえていた。なんでも鬼は宇宙人であり、ランダムで選んだ地球人と勝負をして、地球人が敗けたら地球を侵略するのだという。自分が地球人代表として選ばれたと知り、断固拒否しようとするあたるだったが、勝負の内容が相手の角を触れば勝利の鬼ごっこであり、捕まえる相手がビキニ姿の可愛い女の子だと知ったことで、合法的に抱きつけると考えたあたるは挑戦を受諾。ところがその女の子、ラムは空高く跳ねるように飛んで逃げてしまうため、あたるは一向に捕まえることができず、無駄に日々は過ぎていってしまう。そして迎えた全10日のうちの9日目も無為に終わり、心が折れかけていたあたるだったが、その夜発せられたしのぶの「勝ったら結婚してあげる」という言葉に一念発起。翌日の最終日、あたるは前々日に奪っていたラムのブラジャーを囮にラムを捕まえ、見事角に触ることに成功。こうして未曾有の侵略戦争は、地球側の勝利で終わりを告げたのであった……。ところが、あたるが「これでやっと結婚できるのだー!」と叫びながら自分を抱きしめていたため、プロポーズされたと思いこんだラムは結婚を受諾。しのぶはまた浮気されたと思いこんで発言も撤回してしまい、諸星あたるの受難の星は、一向に収まる気配を見せないのであった……。

 解説するのも烏滸がましいような、言わずと知れた超有名ドタバタギャグ。高橋留美子の出世作にして代表作の一つであり、その中でも一番ストーリー色が薄く、ギャグの濃い話であると言えるでしょう。基本は一話完結ギャグであり、ほぼすべての話にあたるとラムが出てくる以外は、もうなんでもあり。数々の個性的なキャラクターたちが縦横無尽にかけずり回るその様は、まさしく極上のスラップスティックコメディーであると言えるでしょう。中盤以降はストーリー色が若干濃くなっていきましたが、最後まで基本スタイルは変わることなく、迎えた第1話ありきの最終章「ボーイ・ミーツ・ガール」編は、感慨深いという意味も含めて、涙無くしては読めませんでした。いつまでも続けられる物語の終わり方としても、最高の物だったと思います。こんな作品が読めて、幸せでした。

 作者は現在も同誌にて、「境界のRINNE」という霊能ラブコメを連載中。さらには昨年完結した「犬夜叉」のアニメ完結編もこの秋より放映開始と、未だ衰える様子を見せません。この調子でまだまだずっと、サンデー誌上で活躍してくれることを期待しています。

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2009/06/14

らんま1/2

Img345 高橋留美子 著。週刊少年サンデーにて1987年~96年にかけて連載、単行本全38巻完結。

 ある日、無差別格闘流天道道場に、中国から国際郵便が届く。それは、道場主天道早雲の友人である早乙女玄馬が帰ってくるという知らせであり、同時に早雲の3人の娘の許嫁となる、早乙女乱馬がやってくるという知らせでもあった。長女かすみ、次女なびき、三女あかねの3人は困惑しつつも早乙女親子を迎えるが、やってきたのはなんとパンダと女の子。しかもその女の子は、謝りながらも自分が早乙女乱馬であると名乗る。男嫌いのあかねはほっとしつつさっそく乱馬と仲良くなるが、手合わせをした後に風呂に入ろうとしたところ、そこには裸の男の姿が。実は早乙女乱馬は、中国、呪泉郷での修行中に誤って娘溺泉に落ちてしまい、水をかぶると若い娘の姿に、お湯をかぶると元の姿に戻るという、呪われた体質の持ち主だったのだ……。

 そんな出だしの、格闘マンガをベースとした王道ラブコメディ。玄馬は熊猫溺泉に落ちたので、水をかぶるとパンダになるという設定。呪泉郷という特異な設定を一つだけ用意して、残りは真面目な格闘ラブコメという、能力バトル系作品の走りとも言えるかもしれませんね。作者の初期の代表作「うる星やつら」や、現在連載中の「境界のRINNE」を彷彿とさせる、面白いラブコメ作品でした。

 今回改めて読んで思ったのですが、乱馬とあかねって、今で言うと二人ともツンデレに近いですよね。(ツンデレの定義についてはまたいずれ) 意地っ張りキャラなんて昔からフツーにいるわけですが、ヒーローヒロイン共にツンデレって、ありそうであんまり無い設定かも? と思いました。

 あとちょっと話はずれますが、この当時って、規制が弱かったんだなー、と思ってしまいました。水をかぶると女に変身するという設定がある以上、必然と言えなくもないですが、とにかく裸の出てくるシーンが多い。乳首も描かれてるし、今だとここまでは描けないんだろうなー、とは思ってしまいます。徐々に減ってはきますので、初期の人気取りのためにと割り切って描いてたのかなー。ところが面白いのが、アクションの多い格闘マンガのわりに、パンチラとかはほとんど無いということ。裸はいいけど、パンチラは駄目。このあたりが、作者としての線の引きどころだったんでしょうか……?

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2009/04/13

1ポンドの福音

Img283 高橋留美子 著。週刊ヤングサンデーにて1987年~2006年にかけて不定期掲載、単行本全4巻完結。

 減量が苦手というか理性で食欲を抑えることがまったくできないプロボクサー、畑中耕作。デビュー戦は1ラウンドKO勝ちしたものの、続く4試合をことごとく減量失敗のあげくKO負けした耕作だったが、今日もロードワークの合間に好きな物を食べていた。そんな耕作のよく行く場所は、近くの教会の懺悔室。そこで一昨日は何を食べてしまった、昨日は何を食べてしまったと許しを請うのだが、本当の目的は片思いしているシスターアンジェラに会うことだった。だが、ふとしたことから耕作が減量しなければならないのに飲み食いをしていることがアンジェラにバレてしまい、あなたはどういうつもりで懺悔に来ているのかと問いつめられる。耕作はアンジェラが好きだったからと正直に告白し、とまどうアンジェラにキスをするが、頬を打たれたあげくに根性無しとののしられてしまう。俺は根性無しじゃないと奮起する耕作であったが、その勢いのまま、屋台のラーメン屋に向かってしまうのであった……。

 ボクシング(減量)をテーマとしたラブコメディ。耕作の理想のボクシングは、腹一杯食って力一杯やる、というものなので、減量そのものが不要だと思ってるんですよね。だから減量にもなかなか本気になれない、と。1巻後半のエピソードで実際にその条件で試合を行うんですが、いざやってみるとそれだと身体が思うように動かないことを痛感し、それ以降は減量失敗で敗けると言うことは無くなります。通して読めばここまでわかるとは思うのですが、1巻だけだと耕作は本当に口先ばかりの根性無しなので、好き嫌いの分かれるところでしょうね。

 この作品は、足かけ20年かけて完結したという特異な作品なわけですが、てっきりはっきりした最終回は用意しないものだと思っていました。なので、数年ぶりに再開して完結したときには、嬉しいと同時に驚いたものでした。世に数多ある、なし崩し的に終わっている作品も、みんなこうやってちゃんと最終回を描いてくれるといいんだけどなー。まぁ、高橋留美子だからこそ、こうやって描かせてもらえる、というのもあるんでしょうが……。

 その高橋留美子ですが、もう現在のマンガ界の大御所の1人ですよね。「うる星やつら」「めぞん一刻」「らんま1/2」「犬夜叉」と、描けばなんでも大ヒット。そろそろまた週刊少年サンデーで新連載もはじまるようですし、まだまだ描き続けてくれることなんでしょう。これからも読み続けたいと思っています。ただ個人的には、めぞん一刻やこの1ポンドの福音のような、青年向けの連載をまたやってほしいなー、と思っています。

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