木尾士目

2009/07/04

ぢごぷり

Img367 木尾士目 著。アフタヌーンにて2008年より連載中、単行本1巻まで以下続刊。

 18歳での出産を終え、退院したばかりの沖浦あゆみと、産まれたばかりの長女、夢子。あゆみは愛娘を抱きかかえ、双子の妹、日野かなめの待つアパートへと一週間ぶりに帰宅します。自分が出る方の体質だと知ったあゆみは、夢子を完全母乳で育てると決意。またそれ以外にも本で得た知識を元に、かなめの全面的なサポートの元頑張ろうとしますが、頻繁な授乳と夜泣きという現実を前に、徐々に精神的にも肉体的にも蝕まれていってしまいます。「赤ちゃんを育てるのって、すごく幸せな事なんだと思ってた」 あゆみの地獄の日々は、始まってからまだたったの2週間しか経っていないのです……。

 そんな出だしの、育児マンガ。1話で退院して1巻終了時でまだ2週間しか経っていないので、現時点では育児レポートマンガみたいなものです。ストーリーがあるとすれば、育児の苦労にあゆみがどんどん壊れていく、というくらいです。いや冗談じゃなく。育児の辛い部分を徹底的に描いた、異色作なんでしょう、きっと。そして、私にはそれが、非常に不満です。

 なんというか、出産、育児が大変なんであろうことは想像できます。想像できると言ったところで、本当の苦労がわかるわけがない、ということもわかっているつもりです。だけどですね、これは育児ハウツー本ではなく、エンターテイメント作品であるマンガなんです。読んで喜んだり、怒ったり、哀しんだり、楽しんだり、考えさせられたり、ほっとしたり、感動したりすべきものなんです。けして、人間が誰でも持つ負の部分を見せつけられ、嫌な気持ちになるものではないはずなんです。そしてこの作品は、以上のような意味で、私にとってはエンターテイメント作品とは言いづらいものでした。

 あゆみの姓は変わっているのに、父親は一切姿を現さない。というか、話題に上げるのもタブーらしい。あゆみの両親も一切出てこない。そのようなきな臭い設定は用意してあり、今後展開していく部分なんでしょう。そうすれば「げんしけん」という長期連載作品をきちんと完結させている作者ですから、この作品も私の望むようなエンターテイメント作品になっていくとは思います。ですが、1巻を読んだ限りでは、正直これは他人には薦められない作品であると、私は結論づけました。願わくば、1巻は本当に前置きであり、2巻以降で大きく動いてくれたらなー、と思います。でもそれにしたって、前置き長すぎですよ……。

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2009/03/19

げんしけん

Img259 木尾士目 著。アフタヌーンにて2002年~06年にかけて連載、単行本全9巻完結。

 マンガ、アニメ、ゲーム等が好きだけれど、いわゆるオタクと同類には見られたくないという思いも持つ隠れオタク、笹原完士は、大学入学を機にオタク系サークルに入ろうと、現代視覚文化研究会(現視研)へと入部するが、今一歩会話にとけ込めず、部室から足が遠のいてしまう。そんな時、たまたま学食で出会った同じ新入部員の高坂真琴の部屋へ遊びに行くこととなるが、オタクグッズで溢れる彼の部屋を見た瞬間、笹原は自分にはオタク人生に踏み込む覚悟が足りていなかったんだということを思い知る。こうして覚悟を決め、自分に正直に生きることを覚えた笹原は、一歩ずつ、だが着実に、オタクへと染まっていくのであった。

 大学のサークルを舞台とした、オタク系日常マンガ。作中ではゲームをやったりマンガを読んだりアニメを見たりそれらの感想を言い合ったりと、まさにオタクな毎日。同人ショップや同人誌即売会にも行くし、コスプレもするし、終盤ではサークル参加まで果たします。一般人はこうしてディープオタになっていく、という典型的な例ですね。マンガを好んで読むような人なら、自分の過去と照らし合わせて笑えるネタが、いくつもあるんじゃないでしょうか。

 高坂の彼女でオタクが嫌いな一般人、春日部咲という強気キャラが出てくるのですが、これがまた非常に秀逸な立ち位置を持つ重要キャラだったりします。オタクキャラばかりだとぐだぐだにしかならないような所を、咲ちゃんの出番によって空気が引き締まったり、思いも寄らない展開に進んだりするんですよね。あくまで一般人としての意見、感想を述べる咲ちゃんがいてこその、げんしけんの面白さだと思っています。

 作者は現在、アフタヌーンにて「ぢごぷり」という作品を連載中とのこと。現在アフタヌーンは購読していないので内容はわかりませんが、げんしけんの作者の作品だというだけで、単行本は間違いなく買うでしょう。楽しみにしています。

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