志村貴子

2009/07/30

青い花

Img394 志村貴子 著。マンガ・エロティクスFにて2004年より連載中、単行本4巻まで以下続刊。

 この春から藤が谷女学院高等部に通う奥平あきらは、入学初日に電車内で痴漢にあっていた、松岡女子高等学校の生徒を救います。後日、幼なじみで小学校1年生の時に転校していってしまった万城目ふみが、またこちらに戻ってくると聞いたあきらでしたが、久々の再開の場に現れたのは、あのとき電車で痴漢にあって涙ぐんでいた女の子でした。それ以来、学校は違うものの交流を再び持ち始めた2人でしたが、実はふみには、あきらには言えない悩みがありました。それは、ふみは引っ越してくる直前まで、年上の従姉妹と肉体関係にあったということ。そして、その従姉妹が、ふみにギリギリまで内緒にしたまま、結婚してしまうのだということ……。

 そんな出だしの、学園+百合マンガ。ふみはいわゆる同性愛者ですが、性格は積極的ではないため、基本は人に誘われてそういう状況になるという、あくまで受け身体質です。なので物語としては、ふみが積極的な人たちに翻弄されつつ、ノーマルであるあきらたちとの交友も深めていく、という感じになるのでしょうか。ふみ視点の百合物としては展開はオーソドックスですが、あくまでふみとあきらが主人公である以上、2人の関係が最終的にどうなるのかがやはり気になります。最終的にそういう関係になりそうではありますが、逆にそうはならない気もするんですよね。今はまだどちらにも転べそうですし、今後に期待という感じでしょうか。現在アニメ放映中ということもあり、アニメ版がどう締めくくるのかも参考になりそうです。

 やはりアニメ化されたということで、代表作はこの青い花と言うべきなんでしょうが、個人的には現在コミックビームで連載中の「放浪息子」こそが、アブノーマルに目覚めた作者の真骨頂だと勝手に思っています。なんというか、百合物である今作はまだ展開に予測がつきますが、女装物である放浪息子は、もうホント驚きの連続なんですよね。こんな作品を作り出してしまう作者に乾杯、という感じですよ。いやホントに。願わくば、両作ともに外部要因に惑わされることなく、最後まで描ききってくれることを願っています。

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2009/04/16

放浪息子

Img286 志村貴子 著。コミックビームにて2002年より連載中、単行本8巻まで以下続刊。

 女の子のような外見の転校生、二鳥修一は、性格はおとなしく趣味はお菓子作りと内面も女の子のようであり、しかも女の子になりたいという漠然とした夢まで持っていた。そんなある日、修一はクラスの女子に冗談でヘアバンドを付けられてしまうが、女の子になりたかったが方法がわからなかった彼にとって、それは大きな転機であった。すぐに修一は薬局でヘアバンドを買い、家で一人の時にささやかな女装を楽しむようになるが、セールスマンが来たときにうっかりそのまま出てしまって女の子に間違われたことで、彼の心は暴走、ついには姉の服をこっそり着るようになってしまう。一方、転校してきた修一と最初に仲良くなった高槻よしのは、修一とは逆に、男の子になりたいという気持ちを持った女の子だった。クラスの劇をきかっけにお互いの気持ちを知った二人は、やがて修一がセーラー服を、よしのが学生服を着て、二人で遠くの街まで出かけるようになる……。

 上記のような、女の子になりたい男の子と、男の子になりたい女の子の、思春期ストーリー。高槻さんはまだしも、二鳥くんはもう性同一性障害と言っていい気がするレベルで、単なる女装マンガと思って読むと、痛い目にあうと思います。ある意味偏った思想を持つ少年少女たちの微妙な心理を、ゆっくり丁寧に描いたすばらしい作品です。これとエマのために、私はビームを買っていました。

 こういったトランスジェンダー物は、現実に当てはめた場合は重苦しい話になると思うのですが、この作品内では理解者が多いことと、絵のタッチが軽いことで、そこまでの重さは感じさせません。と言っても嫌な人物が出てこないわけではなく、思春期の少年少女らしい、フツーのいさかいはありますけどね。そういった部分の描写もまた見事で、作品にアクセントを与えています。

 小5でスタートした二鳥くんも中2となり、8巻ラストではとうとうものすごい行動に出てしまいます。果たして放浪息子、二鳥くんはどこへ向かっていってしまうのか。この作品のハッピーエンドは、どこにあるのか。興味は尽きません。今後も非常に楽しみです。

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