西尾維新

2009/10/07

めだかボックス

07228640 原作・西尾維新、漫画・暁月あきら。週刊少年ジャンプにて2009年より連載中、単行本1巻まで以下続刊。

 このたび1年生にして、98%という冗談みたいな支持率で箱庭学園の生徒会長となった黒神めだかは、全国模試では常に上位をキープ、偏差値は常識知らずの90を記録し、スポーツにおいてもあらゆる記録を総なめ状態、さらに容姿も引くほどの美人という、まるで完璧超人のような有言実行のお嬢様。公約として設置した目安箱に入っていた、剣道場にたむろする不良を追い出して欲しい、という匿名生徒からの投書を目にしためだかは、2歳の頃からの幼なじみ、人吉善吉を伴って剣道場へと赴くが……。

 そんな出だしの、完璧超人の生徒会長を主人公とした人助けコメディー。目安箱に投函された悩み相談を、善吉を引き連れためだかが華麗に解決する、というのが作品の基本スタンスです。となれば当然、物語のキモは、いかにめだかが悩み相談を「読者の予想外の展開、方法」で解決するか、になると思うのですが、私にはどうにもその部分に不満が残ってしまう作品でした。この作品には、読み切りとして掲載されたプロトタイプ版「めだかボックス」があるのですが、そちらはすべてにおいて完成度が高すぎるという感じの、非常に面白い作品だったんですよね。では何故、連載版に私は不満を感じているのか。色々考えてみたんですが、1つは読み切りと連載というスタイルの違いがそのまま出てしまった、という感じだと思いました。読み切り時はめだかの性格や言動が当然わかっていないわけで、だからこそめだか独自のちょっと真似できないような解決手段も、鮮やかな物に見えたわけです。しかし、連載化してそれを何度も行っていれば、一回目はインパクトがあって鮮やかに見えても、どんどんマンネリ化していくのは当たり前。しまいには作中でピンチと表現していても、読んでいてピンチとは思えなくなる始末。読者に「いくらめだかでもこれは無理だろう」と思わせつつ、納得できる内容で華麗に解決する、というのを繰り返すのは、相当しんどい作業なんでしょうが、でも連載するからにはそれをやってほしかった、と思わずにはいられませんでした。

 もう一つ気付いたのは、コメディーの比率。読み切り時よりも連載時の方が、あきらかにコメディー比が下がってるんですよね。もちろんそれだけで好い悪いが言えるものではありませんが、読み切り時の面白さの一つに、「下心を持って目安箱に投書した人物が、めだかがそれに応じることで逆に酷い目にあう」というドラえもんののび太的なコメディー要素があるんですよね。しかし連載版からは、そのような要素はほとんど見えてこず、その代わりに陰謀とか策略とか、そういうもってまわった展開が多いように感じます。コメディーとシリアスの比率がどのくらいがベストなのか、それは一朝一夕で答えの出るような問題ではないのでしょうが、それでも読み切り版の方が連載版より面白いと思っている以上、私としてはコメディー比をもっと増やすべきなんじゃないかなー、と思わざるをえませんでした。

 この本誌掲載順(常時ラス3くらい)でまだまだ切られそうにないというのは、なんか密約でもあるんじゃ? なんて勘ぐってしまいたくなるわけですが、良い方に考えればまだまだ挽回のチャンスはあるということ。ようやくvs風紀委員長戦も終わりましたし、コメディー比率の高い展開にシフトしてくれないかなー、と思っているのですが……。バクマンじゃないけど、売ち切りが決定してからじゃないと、そういうのは難しいのかなー。

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2009/02/02

めだかボックス

Img188 原作・西尾維新、漫画・暁月あきら。週刊少年ジャンプ今週号(2009年10号)掲載読み切り。

 箱庭学園の新生徒会長は、全国トップクラスの成績、スポーツもあらゆる記録を総なめ、実家は財閥で容姿も端麗と、まさに非の打ちどころの無い才色兼備な1年生、黒神めだか。公約として設置した目安箱に溢れかえった投書のチェックのため、とある浅い事情からめだかに逆らえない幼なじみの人吉善吉が、選挙活動の手伝いに引き続き駆り出される。そしてめだかと善吉は、人数が足りずに他校との交流戦ができず困っているという柔道部の投書に応じ、柔道場に赴くが、赤帯(9段~10段)の実力を持つめだかにしごかれ、翌日には退部届を提出してしまう部員たち。めだかは善吉一人を選手として立て、交流戦へと挑むが――。

 ジャンプ今週号掲載作品ですが、読み切りとしてはちょっとレベルが高すぎる感じでした。面白いは面白いのですが、それよりも完成度の高さに正直やられました。ストーリーもラストもバッチリ、キャラもいいし何よりセリフがいい。このセリフの良さは、原作が小説家という部分が大きいのかもしれませんね。一読の価値は十分あると思います。

 あえて注文を付けるとすれば、タイトルが内容に則していないと思いました。めだかの目安箱でめだかボックスというのはわかりますが、主人公めだかの性格や姿勢、居ずまいを考えると、ボックス、というポップな言葉は向いてないと思います。めだかは漢字で目高なので、目安箱とかけてるのかもしれませんが、もうちょっとなんとかならなかったのかなー。まぁ、重箱の隅ですが。

 これだけのレベルの高さを維持するのは難しいでしょうし、原作者も本業が小説家である以上、週刊連載の原作はやってられないでしょうが、それでも単行本1冊くらいの短期集中連載なら原作もまとめてできるでしょうし、いけるんじゃないかと思います。作品としては非常に面白いですし、そうなれば喜んで読むのですが、どうなのかなー。

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