水上悟志

2009/10/31

惑星のさみだれ

Img485 水上悟志 著。ヤングキングアワーズにて2005年より連載中、単行本7巻まで以下続刊。

 平凡な男子学生の雨宮夕日がある朝目覚めると、布団の上には両手で抱えるくらいの大きさの喋るトカゲがいた。そのトカゲ、ノイ=グレサント卿によれば、この惑星は現在とある魔法使いによって滅ぼされようとしており、それと戦う姫に付き従うトカゲの騎士として、夕日が選ばれたのだという。騎士の証としての指輪と、掌握領域という力を手に入れた夕日だったが、祖父から人と関わるな、と厳しすぎる躾を受けてきたこともあり、彼は騎士としての使命をあっさりと拒否。ところが外出中に魔法使いの放った泥人形に襲われてしまい、死を覚悟した夕日を救ったのは、姫の証である指輪を持つ女子高生、朝日奈みだれであった。後日、宇宙を漂い地球に近づいてきている超巨大な泥人形、ビスケットハンマーを見せられた夕日は、そこでさみだれの恐るべき言葉を聞く。それは、あんなハンマーなんかに地球は壊させない。なぜなら地球を砕くのは、私の拳なのだから、というものであった……。

 そんな出だしの、SFストーリー。ラブコメ要素も有り。さみだれが地球を砕こうとする理由は、私は地球を愛していて自分の物にしたい。そして自分が死ぬときには、愛する地球も連れていく(砕く)、という感じです。まぁ一応、筋は通ってるのかな……。これが表向きの理由であり、真実は別にある、という可能性もありますが、それは今のところはわかりません。ストーリーはこの後、全部で12人いる騎士たちが徐々に揃っていき、魔法使いの泥人形と戦っていく、と言う感じですが、上記さみだれの目的は夕日とあともう一人しか知らないとか、敵である魔法使いと通じている者がいるとか、人間関係はそれなりに複雑です。単行本は7巻までとそれなりの長期連載となっていますが、すでに伏線の回収も始まっており、来るべきラストへ向けて収束中、という段階だと思いますので、今後も期待していきたいと思っています。

 作者の作風についてですが、作者はこういう、設定は世界(宇宙)規模なんだけどやってることはご町内規模、というスタイルが本当に好きというか、やりやすいんでしょうねー。以前読んだ「サイコ・スタッフ」もそうでしたし。別に文句があるわけではなく、面白いのでぜひ今後もこの調子でお願いします、というお話でした。

| | コメント (0)

2009/09/25

サイコスタッフ

Img453 水上悟志 著。まんがタイムきららフォワードにて2006年~07年にかけて連載、単行本全1巻完結。

「努力に勝る才能なんかない」をモットーとする一見平凡な高校3年生、柊光一は、大学受験を間近に控えた12月のある日、生まれて初めてのラブレターをもらう。だが、体育館裏で待っていた桜木梅子という光一好みの可愛い女生徒は、開口一番、あなたを惑星ルルイエ宇宙軍超能力部隊にスカウトしにきました、と電波懸かったことを言うのであった。もったいないと思いつつも即座に踵を返す光一だったが、梅子はしつこく光一につきまとい、受験勉強中の彼の家にまで押しかけてくる始末。梅子が言うには、光一には大学受験なんてバカらしくなるような、巨大な超能力の才能があるらしいのだが……。受験勉強で忙しい光一は、これ以上付き合っていられないと梅子を突き放そうとするが、それなら梅子は自分が宇宙人だという証拠を見せると言って、光一の目の前で突如大型ロボットを出現させる。まさか本当に宇宙人だったとは……。光一は超能力で空中に待避しながらそう言うと、改めてスカウトに応じる気は無いと言い、そのまま飛んで逃げようとする。梅子は光一が力に目覚めていたことに驚きつつも、出現させたロボットに光一の捕獲を命じるが、50億人に1人というBクラスサイキッカーの力を持つ光一の前には、そのような強硬手段はまったく通用しないのであった……。

 そんな出だしの、平凡な生き方を望む超能力者とそんな彼を連れて行こうとする宇宙人のドタバタコメディー。SF要素とラブコメ要素も有り。話は単行本1冊分全7話と短く、いくらでもできそうな寄り道展開はほとんどありませんが、それ故に一気に読める、きっちりまとまった良い作品でした。面白かったです。

 キャラも良いし展開もまぁまぁ、終わり方も満足できる出来だったわけですが、一つだけ注文を付けるとすると、ラストの「誕生日」が絡むネタは、SF作品としては果たしてどうなんでしょうか。サイキッカーが次の誕生日を迎えると云々、というネタなんですが、これが宇宙規模で考えるとあきらかにおかしい。誕生日とは、地球時間で1年が経つと再び巡ってくるものであり、1年とは、地球が太陽のまわりを一周するのにかかる時間、なわけですが、水星の1年は地球の1年より短いし、木星の1年は地球の1年より長いのは当たり前。となると、宇宙規模で考えた場合、次の誕生日、という定義方法は出身星によってまちまちなものになってしまうわけで、今作においてサイキッカーが次の誕生日を迎えたら云々、って話は設定として使うには不適当だと思うんですよね。星座は地球から見るから星座になるのであって、宇宙規模で考えたら存在しえない、というのと多分同じです。

 明らかに重箱の隅ですし、この一件でこの作品の評価が下がるわけでもありませんし、さらに言えば所詮は素人のSF考証なので、何かが決定的に間違っているという可能性も大いにあるわけですが、私は「誕生日」という設定にどうしても違和感を感じてしまった、というお話でした。

 作者はこの作品よりも、ヤングキングアワーズ「惑星のさみだれ」の方が有名ですかね。面白いという話は聞いていたので、読もうかなーと思いつつまだ手が出ていなかった、という状態だったのですが、この作品がこれだけ面白いのなら、他の作品もぜひ読んでみたいと思います。

| | コメント (0)

その他のカテゴリー

| | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | 単行本感想 | あさりよしとお | あずまきよひこ | いけだたかし | かがみふみを | こうの史代 | そにしけんじ | たがみよしひさ | ちばあきお | ひな。 | ふくやまけいこ | まるのすけ | みさき速 | むんこ | ゆうきまさみ | モリタイシ | 井原裕士 | 佐野妙 | 入江紀子 | 八木教広 | 叶恭弘 | 吉崎観音 | 和月伸宏 | 大井昌和 | 天野こずえ | 宇仁田ゆみ | 宮原るり | 小川一水 | 小池恵子 | 山口舞子 | 山名沢湖 | 山東ユカ | 岡崎二郎 | 岩原裕二 | 島本和彦 | 幸村誠 | 弓長九天 | 志村貴子 | 手塚治虫 | 施川ユウキ | 日本橋ヨヲコ | 星里もちる | 暁月あきら | 曙はる | 木尾士目 | 東屋めめ | 東村アキコ | 板垣恵介 | 林家志弦 | 栗橋伸祐 | 桂明日香 | 桜場コハル | 森薫 | 椎名高志 | 氏家卜全 | 水上悟志 | 渡辺航 | 湖西晶 | 皆川亮二 | 矢上裕 | 祥人 | 秋月りす | 竹内元紀 | 紫堂恭子 | 細野不二彦 | 緋采俊樹 | 羽海野チカ | 能田達規 | 芳崎せいむ | 荻野眞弓 | 藤田和日郎 | 西尾維新 | 近藤るるる | 重野なおき | 野広実由 | 金田一蓮十郎 | 長谷川裕一 | 雷句誠 | 青山広美 | 高橋留美子 | CLAMP | OYSTER | kashmir | アニメ・コミック | 日記・コラム・つぶやき | 読み切り