芳崎せいむ

2009/12/17

鞄図書館

Img536 芳崎せいむ 著。ミステリーズ! にて2004年より連載中、単行本1巻まで以下続刊。

 そのゲーテ好きの喋る鞄の中には、古今東西のありとあらゆる本が取りそろえられていて、ほとんどの本は1年間という期限付で借りることができる。そしてそのラインナップは現存する本ばかりではなく、過去に火災によって失われた本や、伝説上の存在の本、さらにはこれから書かれるはずだった本までもが含まれているのだという。司書の男性と共に世界中を旅し、ありとあらゆる場所で本を貸し出している伝説の鞄図書館。もしあなたが運良く出会ったのなら、ぜひ声をかけてください。捜している本、きっとみつかります。

 そんな感じの、本にまつわるオムニバスストーリー。喋る鞄と司書さんのコンビが主人公兼語り部となり、毎回何かしらの本(小説が多いです)にまつわるストーリーが展開される、という感じの作品です。やっていることは作者の代表作「金魚屋古書店」の小説版、という感じではありますが、金魚屋はあくまで現実をベースにした作品んなのに対し、こちらは上記あらすじのように、鞄が喋ったり焼失した本まであったりと、かなりファンタジー寄りの作品。その手法にはメリットもデメリットもあるわけで、どちらが上だということは無いのでしょうが、両方やった意図というのは金魚屋の設定ではできないような話をこちらでやろう、というものなのかもしれませんね。

 鞄の中は広大な空間が広がっているけど、どうなっているのか。司書さんは年をとらないというか時代を超えている感じだけど、どういうことなのか。鞄レコードというありとあらゆる音楽を集めた鞄が出てくるが、他には何があるのか。そして、鞄図書館とはそもそも何故存在するのか。そういった部分を解明する話では無いのはわかっていますが、現実的な設定ではない以上、気になってしまうのもまた事実。刊行ペースは非常に遅いわけですが、次巻ではちょっとずつそのあたりの謎が明らかになっていくのを期待しています。

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2009/11/09

デカガール

Img494 原作・長崎尚志、漫画・芳崎せいむ。Kiss PLUSにて2008年より連載中、単行本2巻まで以下続刊。

 塩見駅前交番勤務の巡査部長、日野まる香は、非番の日に辞表をしたためていたところを、猟銃を持った籠城犯が立て籠もる現場に呼び出される。それは籠城犯に出前を届けるためであり、まる香が呼び出されたのは、彼女がそば屋の娘だからという理由だった。幼少時、実家のそば屋によく来ていた刑事から、刑事とは本当にこまってる人を、何を求めず命をかけて助ける人のことだと聞かされ、それ以来刑事を目指していたまる香。だが刑事選科への推薦はしてもらえず、理想と現実とのギャップにも悩んでいた彼女は、最後の仕事としてこの事件に挑むことを決意する。ところがいざ出前を籠城犯のところに持っていったところ、人質となっている犯人の元妻と子供から、まる香はパニック寸前の動物のような匂いを感じ取る。これ以上は人質が持たない。とっさにそう判断したまる香は……。

 そんな出だしの、刑事マンガ。上記あらすじは第1話のもので、事件解決後まる香は捜査一課に配属となり、刑事としての生活がスタートしていく、という感じです。この作品における特殊設定として、主人公のまる香は鋭い嗅覚を持っており、また小さい頃からたくさんの動物たちと一緒に暮らしていたため、彼らが出すにおいから緊張や退屈、空腹に親愛と言った感情を読み取れるようになった、というものがあります。まる香はその能力をきっかけに様々な事件を解決していくので、さしずめ嗅覚刑事と言った感じでしょうか。刑事物としての内容はオーソドックスなもので、現時点ではフツーに面白いという感じですが、動物の感情がわかるという設定はうまく使えばもっともっと話を面白くできるんじゃないかと思うので、今後も期待していきたいです。

 原作の長崎尚志は、浦沢直樹「20世紀少年」に名前が記載されていたのは知っていましたが、それ以前は漫画雑誌の編集をやっていて、なんとビッグコミックオリジナルやスピリッツの編集長をやっていたこともあるんだそうですね。ちょっとびっくりです。また、複数のペンネームを持っていて、実は芳崎せいむの前作「テレキネシス」の原作者である東周斎雅楽という名前も、長崎尚志の別名だそうです。正直、なんでそんなに名前使い分けるんだろう? とは思ってしまいました。出版社別に変えているというわけではないようなので、作品の内容によって変えたりしているのかなー。

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2008/12/03

金魚屋古書店

Img115 芳崎せいむ 著。2000年、アワーズガールにて「金魚屋古書店出納帳」として連載開始、2001年雑誌休刊に伴い中断時期を挟んでアワーズライトに移行するが、2002年またもや雑誌休刊にともない中断。2004年「金魚屋古書店」として月刊IKKIにて連載再開し、現在も連載中。単行本は「金魚屋古書店出納帳」全2巻と、「金魚屋古書店」1~7巻以下続刊。

 マンガのみを取り扱うという、特異な古本屋「金魚屋」。店長代理の鏑木菜月や店に住み着くマンガバカの斯波尚顕を筆頭として、店に集うのは皆様々な意味でのマンガ好き。一冊の漫画に、時に笑い、時に泣き、時に憤り、時に感動する、オムニバスストーリー。

 話自体は様々なパターンがありますが、毎回必ず一つの実在する漫画作品が出てきて、それが大なり小なりストーリーに絡むという形式の作品。おもいっきりメインの話もあれば、ほんのちょい役でしか扱われない話もあります。取り上げる作品は多種多様にわたり、古い作品も多いため、私もけっこう広く浅く読んでいるつもりですが、五分の一も読んだことがないと思います。知っている作品が取り上げられている回はそれはそれで嬉しいですし、知らない作品の回はなるほどなーという感じで興味深く読めたりします。マンガ好きには多分有名な「孤独のグルメ」という作品がありますが、私はこの作品で取り上げられていたのを読んで興味を持ち、買って読んでファンになりました。

 あと、この作品のメインの登場人物たちは、マンガを読むことが仕事みたいに表現されているのがいいなー、とかついつい思ってしまいます。いや実際そんなわけはないし、働かざる者食うべからずなわけですが、書店員とかに幻想を抱いている私としましては、そう思ってしまうわけなんですよ。

 今の仕事がクビになったり会社がつぶれたりしたら、書店員になりたいなー、と日々妄想しているのですが、書店員って理想と現実のギャップが今でさえかなりあると思っているので、現実には果てしなくあるんだろうなぁ……(聞いてない

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